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乱入者

降り注いだ雷が大地を焦がし、轟音と雷光が五感を奪う。



力なき者達グリフォンは次々と打たれて消し炭になり、ユウやニカでさえもその場で耐える事で精一杯であった。


時間にすれば数十秒間という短い攻撃であるが、受け耐える側からすれば、永遠にも等しい時間であった。



ー ジュゥウウ ー


攻撃が鳴り止んだ後も暫くは至る所から煙が立ち上り、視界の悪さから周りの状況が確認できない。



「くっ!」


追撃の危険もあるので迂闊に動く事もできず、ユウはやきもきしながら防御体勢を続ける。



魔法に耐性がある魔石狼の素材を使用した鎧と篭手盾を装備していたにも関わらず、HPバーの4分の1以上が吹き飛び、傍で同じく防御体勢を保持しているニカのHPバーも半分ほど消失していた。



「ニカさん、大丈夫?」


「危なかったけど私は大丈夫だよ。ユウ君も大丈夫そうだね。・・・メロ先輩はどうかな?」


「分からない。けど・・・」



メロアのローブはユウやニカと同じ『ヨウサイ』の素材が使われているが、物理に耐性があるだけで魔法には耐性がない。


そうなると彼女のステータスによる魔法耐性が頼りとなるが、自分達のダメージ量を見れば、生存は厳しいかもしれない。


しかし、それを口にするのは躊躇われ、重い空気がユウ達に伸し掛る。


威力が高い分、攻撃を連発できないのか、追撃のないまま煙霧が薄まり、次第に周囲の状態があらわになる。



戦場の至る所が焼け焦げ、生き残ったグリフォンは現在ベルと睨み合っている1頭のみとなっていた。


その1頭、グリフォンリーダーも先程の魔法攻撃でHPバーの多くを消失している。


そして、メロアはーー



「メロ先輩、無事だったんですね!」


ニカが喜びの声を上げ、ベルを警戒しながらメロアへと駆け寄る。



「う、うん。グリフォンさんが翼を広げて庇ってくれたの」


彼女は、自分を背に庇う大きな鷲獅子に目を向け、無事であった理由を告げた。



「へえー、ボスとはいえ特別じゃない普通のモンスターがなあ。やるやん、自分。でも、うちも負けへんで」


そう賞賛すると共に自身のギアを上げたのは攻撃した本人であるベル。


彼女はグリフォンリーダーと睨み合いながらも聞き耳を立てていたのだ。


地上に降りた彼女は、棒術のように箒を扱い構えを取った。


やる気は十分である。



ー ピィイイイイ! ー


グリフォンリーダーもその賞賛に雄々しく応え、両者の戦意が一気に膨れ上がる。



「ぐ、クソが!俺たちまで狙いやがって!」


「しかも、麻痺デバフ効果付きとか卑怯じゃない!?」



しかし、彼らの戦闘に水を差す喚き声が戦場に響き渡った。


HolyKnightと聖女フォンデュ☆である。


ただ、激昂している割には、フォンデュは砦盾を構えた防御体勢、HolyKnightは腕を組んで威風堂々と立っている状態のままであり、両者とも動く気配がない。



それもそのはず。


フォンデュの言う通り、彼女達のネーム横には『麻痺』の状態異常が表示されており、身体の自由が奪われているのだ。


唯一動かせる口を以て2人は毒づく。



「仲間だけにデバフ付けるなんて、とんだポンコツだな!早く解毒薬をよこすか、さっさとそのグリフォンとコイツらを狩れ!」


「そーだそーだ!ポンコツぅ!」



だが、罵られた側のベルは一段と表情を引き締め、周囲を警戒する。



「さっきの魔法は威力重視で、デバフ効果は付いてへん」


「ああ?」


「はぁ?じゃあ、あっちのメローー」


ー ゴォオウ! ー


ー バクン ー


「ウ・・・あれ?」



内輪揉めの最中、突如戦場へ乱入した巨体がフォンデュを襲う。


予想だにしない攻撃を受けた彼女は、状況を理解出来ないまま光の粒子となって退場した。



だが、それは幸運だったかもしれない。


たとえゲーム内であっても、自身が喰いちぎられて真っ二つになる光景を見れば、少なからず心に傷を負っていただろうから。



「やはり人間は美味である」



乱入者はフォンデュであったデータを、まるで高級食材のように咀嚼する。



「お前は・・・!」


「な、何で!?」



ユウとニカの口から悲鳴がこぼれた。



「さあ、人間よ。我輩の血肉となれ」



かつて遭遇した時と同じセリフを乱入者は吐く。


乱入者、『暴食侯ドリュミラ』は人間と獅子を融合したかのような顔を嫌らしく歪め、宣戦した。

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