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近距離戦闘

ユウ達が戦いを始めたと同時に、ニカもHoryKnigtへと突撃した。



ー ガガガギィイイイ! ー


不意を突いた強烈な突撃であったが、聖女フォンデュ☆の砦盾タワー・シールドに阻まれて火花を激しく散らす。



「っ!」


真っ向から止められた事が初めてであったニカは驚きの声を上げた。



「ナイトはやらせないよっ。」


立ち止まったニカへとフォンデュが横殴りに盾を振るう。



ー ブォオオオン! ー


「ふっ!」



ニカは転がるように盾を避けると、立ち上がりざまにバックステップで大きく後退する。



「ナイトォ、褒めて褒めて!」


「このぐらいお前なら余裕だろ?」


「冷たーい。でもそこが好き!」



攻撃を防いだフォンデュは人目もはばからずKnigtへ甘えた声を出す。



「聖女なのに人前でイチャイチャしておかしくない!?」


「別にただのPNだし。なに?負け惜しみ?かっわいそ〜」


「むっかー!」



ー ズガァアアン! ー



再び槍と盾がぶつかり合い、轟音が響き渡る。



「攻撃もアンタと一緒で単純ね!」


「なにおぅ!」



戦闘と共に口撃戦も繰り広げられ、戦場はヒートアップしていく。



ー キィン! ー


ー ガァアン! ー



一方、ユウとベルの戦いも激しさを増していく。


遠距離攻撃が乏しいユウは、空へ飛ばすまいと畳み掛けて攻撃するが、ベルは近距離戦闘の技術も高いようで、有効打を与えられていない。



PAOにおいて魔法を行使するには決められた呪文スペルを唱える為に集中する必要があり、他のゲーム同様、魔法のみで戦うプレイヤーにとって近距離戦闘は鬼門であった。


ベルの場合、九色スキルの尾によって呪文を唱える必要はないが、接近されれば魔法行使が困難な事には変わりない。


その為、ベルを含め魔法をメインで使うプレイヤー達は各々で対策を練らねばいけなかった。



ギルドやパーティメンバーの壁役に守ってもらう者、トラップを張り巡らし接近を阻む者、防御力強化の魔法を自身に掛ける者。



そして、ベルはーー



ー ギィイイイン! ー



ユウの剣とベルの杖が激しく打ち合い火花を散らす。


伝承武器なだけあって『魔杖・魔女の箒』は、『初心者片手剣オーバーコート』の斬れ味をものともしない。



鍔迫り合いの最中、ユウは相手のバランスを崩そうと足を払いにかかるが、先読みしたベルが足を引いて回避し、お返しとばかりに身を引いてユウのバランスを崩しにかかる。


案の定、ユウは押す勢いで前につんのめり、引くと同時に放たれたベルの回し蹴りを背中に当てられ地面へと強制的にヘッドスライディングした。



ー ズザザザ! ー



勢いよく転がったユウの周囲に砂埃が舞う。



「カグラに叩き込まれてるし、油断してたら痛い目みるで!」


ローブのスカート部分をはためかせ、ベルは得意気に言う。



そう、ベルの対策は近距離戦闘技術を磨く事だった。



PAOは他のゲームと異なり、職業ジョブシステムが存在しないので、スキル以外での戦闘動作補正はないに等しく、戦闘技術については各プレイヤー自身の実力に左右される。


その為、契約している特別なモンスターのカグラに近距離戦闘を徹底的に教え込まれたベルは、現実世界での元々の身体能力の高さもあり、着々と技術と実力をつけていき、現在では近距離戦闘専門の中堅プレイヤー達にも引けを取らないほど強くなっていた。



だが、彼女の本領はあくまで魔法攻撃である。


ユウとの距離が離れたとみるや、追撃の機会などに目もくれず即座に箒に跨って宙へと駆ける。


と同時に、巣内のグリフォン達が一斉に翼を広げベルへと襲いかかった。



大地を踏み荒らすのはまだ許そう。


だが、空、自分達の領域を侵す事は絶対に許さない。


グリフォン達は鋭い嘴や大爪、風の奔流を駆使して、彼女を攻撃する。


ベルはそれらの攻撃を巧みにかわし、時に迫りくるグリフォンを蹴り墜としながら、縦横無尽に空を舞う。



箒の軌道はスキルによって空に描かれ、円、そして模様が浮かび上がる。


第三者からすれば美しい光景だろう。


しかし、当事者ユウは知っている。


これは攻撃であると。



「ヤバい!ニカさん、先輩!攻撃がくる!」


ユウは急いで仲間へと注意を促す。



「っ!」


ニカは激しい戦闘中にも関わらず、ユウの警告を完全に聞き取り、戦闘を放り出して彼の元へ馳せ参じた。



一方、メロアはベルとの戦いに敗れ、地面へと墜ちたグリフォン達へ治癒魔法を掛ける事に気を取られ、反応が遅れてしまった。



「あっ・・・」


気付いた時には既に魔法陣が完成しており、魔法の光が大地へと降り注いでいた。



魔法陣の色は黄色。



「ちっ、フォンデュ!」


「任せて!」



ベルの攻撃に巻き込まれないよう、フォンデュがHolyKnightを背にして庇い、防御体勢をとる。



「前は氷やったから効かんかったけどこれはどうかな?

さあて、グリフォンや雇い主共々、綺麗に散ってな〜」



もちろん、そんな彼女の呟きは地に足をつけている者達には届かず、代わりに魔法陣から発生した幾筋もの雷が轟音と共に大地へ降り注いだ。

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