黒騎士の庇護
「クソッ!」
ー ギィィイイイン! ー
攻撃を打ち払われたジンは再度、横薙ぎに斬撃を放つが、またもや乱入者の武器によって阻まれた。
「チッ!」
ー ギィン! ー
「お前が噂の黒騎士か!?」
火花が散る程の激しい鍔迫り合いの後、自ら距離を取ったジンは乱入者である黒い騎士へと問い掛けた。
「・・・」
しかし、黒騎士は答えない。
「シカトかよ!何なんだお前は!?」
メロアへの攻撃を失敗した事もあって、怒りの沸点が異常に低くなっているジンは、激昂の矛先を黒騎士へと向けた。
「格好付けやがって!メロアごと焼き尽くしてやる!『イロージョンフレイム』!」
ジンがスキルを発動させ、彼の片手剣が激しい炎に包まれる。
その光景を見た黒騎士がメロアを背に庇いながら数歩後ずさるのを見て、怖気付いたとみたジンは少しだけ気を良くし嘲笑の笑みを浮かべた。
「うは。ビビってんのかよ、ダッセえ!これは侵略の炎っつって包んだものを壊すまで燃え続ける地獄の炎だ!せいぜい鼻水垂らして命乞いーー」
ー ズガァン! ー
しかし、ジンの付け上がりも長くは続かなかった。
言い終わらないうちに轟音と衝撃が彼の身体を貫いたのだ。
「・・・あ?え?」
ジンが自身の異常に気が付いたのは、既に黒騎士の武器に貫かれた後であった。
「なーー」
結局、彼は最後まで言い切れず、そして、スキルの力を発揮させる間もなく、光の粒子となって消えていった。
ジンが消滅した後、黒騎士は汚れを落とすかのように、己の武器である突撃槍を払い、残るヘルフレイムのメンバーに向けて高らかに言い放った。
「弱い者イジメは駄目!絶対!」
その光景を、同じく助けに入ろうと木々の影から一歩踏み出していたユウは唖然として眺めていた。
(ニ、ニカさん!?)
そう、メロアの窮地を救ったのは、黒騎士は黒騎士でもニカの方であったのだ。
ただ、ニカがこのエリアにいたのは完全な偶然ではない。
待ち合わせの約束はしていないが、メッセージのやり取りの中で、ユウは今日この山林エリアでレベリングする事を伝えていたのだ。
「アンタには関係ないでしょ!?」
「つーか、コイツ倒したら俺ら超有名人じゃん?」
「そうだよな、よっしゃ!リプレイ動画配信しようぜ!」
黒騎士の登場とジンのリタイアに頭が追いつかず、呆然と棒立ちであったヘルフレイムのメンバー達であったが、黒騎士という有名になるための餌を目の前にして立ち直り、そして、欲望に満ちた顔つきとなった。
「不意打ちでリーダー倒したぐらいで調子のんなよ?」
「私らは強いからね」
「せいぜい抵抗して、視聴者を喜ばせろよ!」
3人は各々の武器を構えてニカへと攻撃を仕掛ける。
「ふぅ」
対してニカは軽く息を吐き、愛用の突撃槍を構えてーー
ー ドン! ー
力強く大地を蹴って迫りくる3人へと突進した。




