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森林の先

森林の奥へ進むにつれ、遭遇するモンスターが強力になり、人面木の『トレント』、頭上から木の槍を持って襲いかかる『ナイトモンキー』、上半身が屈強な二足歩行の虎、『ゴリタイガー』など、一筋縄でいかないモンスターがユウ達の行く手を阻む。


幸いにも、強化した黒鎧はそれらのモンスター達にも通用するようで、やられる心配はないものの、入口付近よりも木々の密度が濃い為、ニカの突進攻撃が十分に発揮できず、かつ、木々などの障害物を活かした奇襲を仕掛けられ足止めをくらう事が多く、森林を突破するのに少なくない時間がかかった。


しばらくして、木々の間から光が指すのを見たユウは、もう少しで森林から抜けられる事を察知する。



「ようやく次の国だ」


「時間かかったねえ」




疲労システムがないので肉体的疲れはないが、森林終盤は奇襲を警戒して常に気を張っていたので、精神的な疲れは溜まっているようであった。


ユウ達は光に誘われるように、森林から抜け出した。



「わぁ〜!」


抜けた先の光景を見たニカは感嘆の息を洩らす。



「凄い・・・」


ユウも目の前に広がる景色に感動を覚えた。


森林を抜けた先は緩やかな丘の上であり、眼下には街が広がり、その先には頂上付近が雪で白く染まる程の巨大な山脈がそびえ立ってる。



山脈名は『ベルカ』。


そして、その巨大な山脈を有する国こそが、ユウ達が今、足を踏み入れた『ベルカ共和国』であった。


ちなみに、『始まりの街』を有する『ファーストパレス王国』の西側に位置しており、森林を緩衝地帯として、お互いに森林までが国境となっている。



ユウはさっそく麓の街へと歩き出した。



「ちょっと待って、ユウ君。あっちに何かあるよ」


しかし、その歩みは別方向を見ていたニカによってすぐに止められる。


彼女の視線のずっと先を辿ると、村らしき集落がみえた。


その村は隠れている訳ではないが、街の方角とは別方向に位置しており、街にばかり注目していたユウは気付く事ができなかった。



「ニカさんよく見つけたね」


「たまたまだよう。あっ!もしかしたら面白そうなアイテムがあるかもしれないし行ってみようよ!」


「ああ、行こうか」



褒められたニカは照れて顔をとろけさせ、村の探索を提案する。


ユウも興味があったので快諾し、2人は村を目指して丘を下っていった。



着いた村はこじんまりとしており、周囲は動物避けの柵が設けられている。



「誰もいないな」


「周辺にもいなかったし、元から無人なのかも」


「うーん・・・でも、何か違和感が・・・」



ユウ達は村内を家の中に至るまで探索したが、プレイヤーともNPCとも遭遇する事はなかった。


ゲームなので無人の村が存在していてもおかしくはない。


だが、ユウは違和感を覚えて首を傾げる。



「無人にしては生活感がある」


家の中には皿に盛られた料理があり、外の畑には農作物が植えられ、傍には農具が地面に刺さっていた。


その光景は先程まで人々が生活していたようにもみえる。



では、彼らはどこへ消えたのだろう。



そんなユウの疑問は最悪の形で解決された。



ー ヒュウッ ー


ー ガギィイイイン! ー



突如、頭上から落下音が聞こえたかと思うと、ユウの背中から金属がぶつかり合う音と衝撃が生じたのである。


完全な奇襲によりダメージが増加され、ユウのHPバーは目に見えて減少する。



「なっ!?」



驚いたユウ達が振り返ると、そこには1人のプレイヤーが立っていた。



「お前はっ!?」



そして、その姿を見たユウは再び驚愕する。


襲撃者は動きやすさ重視の為か、さび色の軽鎧ライトアーマーで最低限の部位のみ纏っており、構える武器は通常の刃と櫛状の峰を持つ特殊な短剣であった。


俗にいうソードブレイカーという類の武器であり、櫛状の峰を相手の剣の刃に咬ませてへし折る事で武器破壊を狙うものである。



しかし、ユウが驚愕したのはそれらの装備ではない。


彼の視線は襲撃者プレイヤーの顔にのみ注がれていた。


正確には、そこに装備した鬼面を。



ユウはゴクリと唾を呑み込む。


襲撃者のプレイヤーネームは『???』。



もはや間違いようがない。



「契約者・・・!」

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