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話題のVRMMO

VRMMOが普及し、多くのソフトがリリースされ、全世界でプレイされている時代。

また新たなソフトが本日発売された。


タイトルは『パラレル・エイジ・オンライン』。

舞台は日本列島に似た島『ヒノモト』。


その広大なフィールドをプレイヤーは駆け巡って冒険する。

また、ヒノモトには数多くの国があり、プレイヤーはどこかの国に所属する事もできる。

逆に、どこにも所属しないフリーランスとして行動する事もでき、更には、誰もいない辺境の地でのんびりスローライフを楽しむ事もできるという自由度の高いゲームとなっており、発売前から話題となっていた。


だが、それよりも話題となったものが、『オンリーワンスキル』制であった。


パラレル・エイジ・オンライン、略して『PAO』は、他のゲームと同じくレベルとステータスが存在し、レベルが上がる毎にステータスポイントが獲得でき、『攻撃』『防御』といったステータスにポイントを振り分ける事で、その項目ステータスを強化する事ができる。

ただ、PAOには、他のゲームと決定的に違う点がある。


それは『スキル』であった。


他のゲームでのスキルは一般的にゲーム内のある条件を満たす事で獲得でき、個人で異なるスキルをいくつでも、有用スキルであればプレイヤー全員が獲得しようとする。

特にトッププレイヤー達の『スキル』の組み合わせは強さも証明されているので、獲得しやすいスキルについては真似されやすく、テンプレスキルセット等とうたわれ、そのスキルセットばかり装備するプレイヤーで溢れかえるゲームもある。


PAOの開発陣はそんな状況が面白くないと思ったのか、普通のスキル制を不採用にした。

そして、代わりに導入したのが『オンリーワンスキル』制である。

PAOでは普通のスキルは存在せず、代わりに各プレイヤーは最初から1つのスキルを与えられる。


それが『オンリーワンスキル』である。


読んで字の如く、そのプレイヤー個人に与えられたスキルであり他のプレイヤーと同じスキルは1つも存在しない。

そして、開発陣の意地の悪さがみえるのが、このスキル、キャラクターをリセットしてもスキルは変わらないのである。

だから、強いスキルを引き当てるまでキャラクターをリセットする、いわゆる『リセマラ』も無意味なのだ。


正に完全な運ゲーである。


しかし、だからこそ発売前から話題となり、人気となった。

何故なら、公平だからだ。

完全に運ゲーという事は、誰もが強いスキルを手に入れる事ができる可能性があるからだ。

かつ、誰にも真似されない。

宝クジもそうだが、最初から当たりを諦めて買う者などどこにもいない。

全員、当たる事を信じて買っているのだ。


だから、このPAOを手に入れた全てのプレイヤーも、自分が強スキルもしくはレアスキルを引き当てて、周りから羨望の眼差しを浴びる事を想像しながら、ゲームを起動させキャラクター設定へと進んだ。


PAOが市場に出て数ヶ月。


今年、大学1年となった結崎大和ゆうざきやまとは、一人暮らしを機に、初めてのVRMMOに挑戦する事にした。

ゲームタイトルは『パラレル・エイジ・オンライン』。

話題になっていたのは知っていたが、VRMMO自体初めてなので、他のプレイヤーのようにオンリーワンスキルにあまり固執していなかった。


購入した理由も、まだ新しいゲームだから古株プレイヤーとかいないし気楽にできるからである。

鼻歌を交えながら、大和はヘルメット型デバイスを被り、ベッドに横たわる。


「ゲームスタート」


彼は弾んだ声でゲームの始動コマンドを発し、PAOの世界へと潜っていった。

オンリーワンスキルは成長したり、稀に進化したりします。

なので、当初与えられたスキルが役に立たなそうなものであっても、一概に外れスキルとは言えません。

多くのプレイヤーはガッカリするものの、逆転を信じて、PAOの世界を駆け回ります。

そのあたりも、不公平なゲームと言われようともPAOが人気となっている理由の1つです。

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