【漫才】なろうになろう6
二人「はいどーもー! 『ナローになろう』でーす!」
ボケ「知ってるか? 交差点でトラックに轢かれたら異世界に転生できてチートもらって無双できるらしいぜ?」
ツッコミ「分かってるって。異世界転生コントやりたいんだろ? 俺とお前の仲じゃん? やろうぜ?」
ボケ「痛み入るぜ。」
ツッコミ「構わんさ。さあ転生してくれよ。」
ボケ「いやいや、転生するのはお前だよ。ほれ、あそこの交差点でトラックに轢かれてくれよ。」
ツッコミ「俺がかよ……まあいいけどさ……ふぅ……ぐちゃっ……」
ツッコミ「ううっ、異世界に転生したのか……」
ボケ「人間、人間よ。ここはこの世とあの世の狭間。これから貴様の行き先が決まる。」
ツッコミ「待て待て、すっと転生させてくんねぇの!? まさか閻魔大王?」
ボケ「いーや、ここは転生管理局第三課。貴様のような平凡な人間はここで手続きを行うことになっている。」
ツッコミ「ええー!? 転生ってそんなお役所的な手続きがいるのぉ!? 平凡な人間って……じゃ、じゃあさ! 偉い人は違う窓口が対応すんのか!?」
ボケ「当たり前だろう! 貴様みたいな凡人と偉人を同じ窓口で扱うわけないだろう! 身の程を知れよ凡人! 三途の川に流すぞ凡人!?」
ツッコミ「くっ、こいつ公務員のくせに横暴だ! じゃ、じゃあさ! 最近どんな有名人が来たんだ?」
ボケ「……そんな有名人がここに来るはずないだろう……」
ツッコミ「ははぁん、てことはアンタも凡人なんだな? 別に花形部署があるってことだな!?」
ボケ「ああ、あるぜ! それがどうしたよ! どうせ俺はしがない局員だよ! うるせぇんだよ! 三途の川に流すぞ!」
ツッコミ「へぇ、じゃあさ、どうやったら出世できるんだ? 場合によっちゃあ協力するぜ?」
ボケ「貴様みたいな凡人が協力しても意味ないぞ……転生先での功績が局員の功績となるんだからな。」
ツッコミ「つまり俺が来世で活躍すればいいんだな? 任せろよ! 頑張ってくるからよ!」
ボケ「はあ……まあいい。では行け。貴様の来世は地球で言う白亜紀だ。」
ツッコミ「恐竜時代!? そんなとこでどうやって活躍しろってんだよ!」
ボケ「だから貴様のような凡人には無理なんだよ。貴様の来世は白亜紀の海底に生息するゲボクグソクムシだからな。はい次の貴様〜」
ツッコミ「次の貴様!? 俺の来世虫!? ちょっ、待っ……」
ボケ「はい、次の貴様の来世はゴキブリー。はい次の貴様〜」
ツッコミ「待て待て待て! これじゃあコントにならねーだろ! 白亜紀って! 微生物って! あんまりだろ!」
ボケ「あのさ、転生ってさ、今までの生き方が問われるんだぜ? つまりお前みたいなクソカスが転生したら必然的にそうなるわけよ?」
ツッコミ「クソカス!? 俺クソカスなの!? 必然なの!?」
ボケ「当たり前だろ? お前の醜い顔が視聴者の方々にどれだけ迷惑をかけているか。だから異世界転生コントをやるためにはまずお前が悔い改めないといけないわけよ? 分かる?」
ツッコミ「顔が!? な、なあ、教えてくれよ。こんな俺が悔い改めるってどうしたらいいんだ? 無理じゃん!」
ボケ「んー、やっぱ定番なのは身近な人間に感謝を示すことだな。感謝を忘れちゃあいけねぇよ。」
ツッコミ「なるほど。例えば誰がいいと思う?」
ボケ「そんなの分かってるだろぉ? お前みたいなクソカスでも最低限の人権を保証してくれるこの国と……」
ツッコミ「基本的人権の尊重どうした!? 俺の人権って最低限なの!? 感謝しないといけないの!?」
ボケ「当たり前だろ? お前みたいなクソカスでも国民と認めてもらえるんだぜ? それでも異世界に行きたいのか?」
ツッコミ「行きたい……いやいや、そもそも異世界転生したがってるのはお前だからね!? 俺は嫌だよ! これ以上底辺に落ちたくないし!」
ボケ「それからお前みたいなクソカスとコンビを組んでやってる俺。こんな優しいやつなんか白亜紀にはまずいないぜ?」
ツッコミ「そりゃ恐竜しかいねーよ!でもそうだよな……俺が友達いなくて一人で弁当食べてたら、いつもお前が声かけてくれたもんな……」
ボケ「だろ? 感謝の心を忘れちゃいけねぇよ。あ、それから感謝ってのは形で表さないといけないんだぜ?」
ツッコミ「何が言いたいんだよ……」
ボケ「金貸してくれ! 100万円!」
ツッコミ「ねーよ! 何に使うんだよ!?」
ボケ「整形するんだよ! これで来世も安心さ!」
ツッコミ「そんなわけねーだろ! 三途の川に流されろ!」
ボケ「流されないぜ? 俺が流すのはトイレと浮名だけだからな!」
ツッコミ「めっちゃドヤ顔してる……」
二人「人生は細く流れる。『ナローになろう』でした。
今回は真面目に書きました。
酔っておひません。