その2
ガジェットステージ2‐2 荒野の戦地場
突然現れたオズの魔法使いに、笹松は驚きを隠せない
口が一回こう動くので精一杯だった。
「何しに来た?オズの魔法使い!」
その返答は返答と言えるのかは解からないが、笹松に対してオズはこう答える。
「・・・消す。」
「何っ!?」
「消す・・・貴方を消す!」
オズはそう叫んだと思えば不思議な事に笹松の視界から瞬時に消え、その後ろに姿を現した。
懐から木製の一丁銃を取り出して、笹松の後頭部に目掛けて構える
「っ!」
それに笠松が気づいた時にはもう遅い、その銃口から紫色の太く彗星のようなレーザーが発射された。
『星屑の破壊!』
「ギャアアアアアアアアアア!?」
『ソルジャーネームSASAMATU気絶、ゲームオーバーです。』
笠松が呼ぶ声がステージ中に響き渡れば、彼は静かに蒼い粒子となってこの舞台から消滅していく
一方で笹松から逃げたあとその様子を近くの枯れた木の陰から見ていた進
するとそれに気づいたオズは片目だけでこちらを睨むようにこっちの方に少し動かす
進は勘付かれたと思いその木の影に隠れた
しかしオズは何かを呟いたと思えば同じ粒子となって消えていった。
(・・・ログアウトした?)
オズが何と言ったのかは解からない
進はパラドを呼ぼうとすると先にパラドが進を呼ぶ
『進さま』
「?」
『レイドボス出現予兆の反応を探知しました。』
「そう・・・じゃあ予想される奴の画像を、モニターに出して」
『ラジャ―』
進は映し出されたモンスター達を頭の中で読み上げる
(ビーストハンターにグリーンダイル、それとベアソルジャーにオオアオダイジャ・・・・ってこいつは!?)
『進さま?』
「パラドさん、蛇のボスってオオアオダイジャまでじゃなかった?」
『いえ去年くらいに、より強力な種が見つかったので何段階か上の者として登録されました。』
「そっか・・・じゃなかったらこんな顔が二つあるオオアオダイジャが表示される訳がないよね?」
進の目の前に六つ表示されたモンスターの中には確かに
『正式名称は『フタマタオオアオダイジャ』のようです。』
「へ~。」
『それよりも進さま、戦いは終わりましたので、そろそろ帰られた方が宜しいかと思います』
「・・・そうだね。」
進はオズが居た所を少し見た後、渋々ログアウトした。
「ログアウト!」
ガジェットソルジャー・カーニバル 地下オフィシャルルーム
「ただいま~」
「お帰りなさ~い」
ルームに帰って来た進を迎えたのは笹松ではなかった
エレベーターからこちらを覗く、ショルダーバックを右肩に下げた深い紺色のセーラー服にポニーテルヘアーの少女だった。
(笠松は足元で倒れて気絶している)
「おっ結!」
「皆実!」
「み、皆実。」
そう、彼女は皆実 結
現在15才で進の義理の妹だ。
「一体どうしたんだよわざわざ実家からこっちに来て」
「前半の方はこっちが言いたい」
「?」
「来た理由は父さんに「もしかしたらあの子合鍵使って店の中入りモンスター狩りとか友或は達と勝負するかもしれないから見て来て頂戴」って言われたからよ。」
因みに言っておくが、結も合鍵を持っている
「・・・へ~」
「へ~じゃないわよ、あんた怒られているのによく平然としていられるわね?」
「いや怒られているとはいえ、相手は妹だし」
「っ!」
結は怒って進に早歩きで近づくと、右手の平で思い切り彼にビンタをくらわせた
「痛いっ!何すんだよ」
「知らない、とっとと帰るよ!」
そう言い張っては結、我先にボタンを押してエレベーターを呼ぶ
進は笠松を放っては置けないからとカーニバルまでは背中に担いでいく事にしてエレベーターに乗った。
その後エレベーターの室内では、進も早く出たいと思うくらいの重たい空気に包まれる
『これぞ、泥沼現場?』
「「黙れパラドックス。」」
カーニバル正門から左へ二建隣に、普通と比較するなら少し狭く茶色い一軒家がある
そこは進と結の実家であり、帰って来た二人は玄関で靴を脱いで靴箱に入れるとすぐに斜め右側のリビングから康介がやって来た
「お帰りなさい進くん、結、今晩はシチューよ。」
康介に「ただいま」を言う事は無く、結は我先に何故か二階に上がって行ってしまった。
「あらあら、相変わらず反抗期ね。」
そう言って階段の方を見上げたと思うと、その顔と視線を進に戻して優しく言った
「進くん、ただいまは?」
「あっ!」
進は少し口を笑顔にする
「ただいま、パパ。」
「うん、お帰り進くん。」
「あっお帰りなさい進くん」
「ただいま、咲子さん。」
二人がリビングに入ると、そこから進を出迎えた女性は咲子
丸いレンズの眼鏡を掛けていて、何かと学校に行けない結の為に康介が雇った結の家庭教師である
「ささっ、今からシチュー盛り付けするから二人共テーブル席に座って」
「「は~い!」」
こうして二人は康介の呼びかけによりテーブルの席に座り、その康介と一緒に圧力鍋から皿に盛られたシチューを食べた
そんな中進は今日あった事を康介に話した。
「・・・って事はじゃあ、本当に居たんだオズの魔法使いって」
「うん、けど斉藤くんやっつけたと思ったらすぐにログアウトしちゃったんだ。」
「ふ~ん?」
オズの魔法使い
半年程前からカーニバルのシュミレーションに突然現れた正体不明のソルジャー
使う武器は一丁銃。
そのモデルは童話のタイトルにもなっているエメラルド町に住む不思議な魔法使いである事以外何もつかめていないのだ。
「それにしてもちょっとまた久しぶりに見た気がする。」
「えっそれってどういう事?」
「言って無かったっけ?オズが有名になる前、僕が赤イノシシに襲われ崖まで追い込まれてたらそのイノシシの尻を銃でバンバン!って撃って撃退してくれた事があったんだ。」
しかしお礼を言おうとしたら「アディオス」と一言言ってはログアウトして去って行ったとの事
「そう、そんな事があったの?」
「その時はたまの偶然だったのかもしれない急いでログアウトしたらルームには誰も居なかったし、二階のお店にはあの時結と連れていたお友達がセルフコーヒー飲んでただけだったし」
「・・・」
「本当に何者だったんだろう?オズの魔法使い、」
「「本当に鈍いわね進くん。」」
「えっなんで?」
「ごちそうさま~」
進はシチューを食べ終わって二階に上がろうとすると、康介に止められる
「あっ進ちゃんちょっと待って。」
「?」
康介はキッチンからシチューの皿をトレーに乗せた物を進に渡した
「これ、結に渡してきてちょうだい」
進は何も文句言う事なくそれを引き受けると、ガジェットをズボンの右ポケットに閉まってからトレーを受け取って二階へと上がり、そのまま左に曲がって奥の部屋の前に着く
「え~っとこういう時には最初にノックするんだったっけ?」
何度もやっている事だが、進は容量が狭い時があるので覚えられていない
進はトレーを足元の手前に置いてそこからノックする
「ゆい~?」
「っ!」
「いつも通りご飯置いといたから。」
「う~ん、分かった!」
結の返事をドア越しに聞くと、進は鼻で息を吐きながら満足して一先ず左隣の自分の部屋に入っていった。
その部屋の勉強席に座ってガジェットを机の奥のワイヤレス充電器に置くと、進は頬杖を着きながら今日のある事を思い返す
それは突然にして現れたオズの魔法使いについてだった。
「伝説の戦士・・・オズの魔法使いか。」
その呟きに気づいたパラドが進に一言問いた
『オズの魔法使いについて、気になる事でも?』
「ん、いや最近話題になって来た戦士だからあんまり実感ないけどね」
「そうですか」
「あっそうだパラドさん、オズに関して何か情報とかは無いの?」
『申し訳ありませんが進さま、それは出来ないです。』
「なんで?」
『私はあらゆる端末や店と連携して、ソルジャーを、管理していますが、その情報を勝手に漏えいする事は許されないのです。』
「ふむふむ」
『ましてや、そのソルジャーが情報提供を許していない場合は、もってのほかですね』
「へ~そんな機能があるのか?」
『たまに容量低いですね進さま。』
「そうかなぁ?」
『その鈍感さが、人を傷つける事に繋がるのです。』
「?」
パラドが言ったセリフが気になった進だったが、その時後ろのベットの方から『ドン!』とという大きな音が響いた
(今のは、結の部屋の方からか・・・今日も先生とじゃれ合っているのかな?)
進は少しの間、その方を見ていたがすぐにガジェットの方に顔と視線を戻しながらもう一つ問う
「そう言えばオズがログアウトする前、何かこっちに何か呟いたみたいだけど、それを調べる事って出来る?」
『そう言うと思って、それはすでに調べ済みです。』
「それでそれで?」
『・・・行動から察すれば『ログアウト』、又口角の動きから予想するに、『助けて・・・』と言っていたようです。』
「なんで・・・助けて?」
進が首を傾げて汗を流していると、ドア越しから康介の声が聞こえた
「進く~ん、お風呂が沸いたわよ~?」
「あっはぁい。」
進はオズに関しては一旦考えるのを止め、部屋を出ては一階のお風呂に向かって降りて行ったのだった。
「その時はたまの偶然だったのかも知れない・・・」
ガジェット・ソルジャーでは、そのルームに居る者しか乱入や対戦が出来ない為、進は(!)ルームに誰も居ない事からオズの正体が解かっていないのだ
スターダスト・インパクト
※作中参考
ビーストハンター
ケンタウロス型の一種
紙が長く少し後ろに伸びているのと、髭が生えているが特徴だ
(クリスマスになると特別仕様によりレイドボスサンタさん、サンタウロスとして現れる。)
ベアソルジャー
ソルジャーに対抗心を抱いた胴体に銅鑼のような鎧を着せた白い熊
そこらの種より攻撃力や瞬発力が並外れており、その強さ初心者ソルジャーの間で少しトラウマを植え付られる程
グリーンダイル
また後ち程




