プロローグ(強襲編)
「何だコイツは、学校の門の倍の大きさだ。」
突然現れた白く大きい熊は、大きな雄たけびを挙げて通を仕留めようと右手を振り落とした。
「グオオオオオオオオオオオ!」
「おっと!?」
進はそれを跳んで躱した次の瞬間、その隙を狙った左ストレートが迫る
しかしそれをあたる寸前で進はその手を両手で掴みジャングルジムのように地面跳んで回避し、その一瞬きの中、右腰の鞘から右手坂手持ちに東和刀をボウガンの矢を飛ばすように引き抜きその刀の柄をすぐにで普通持ちに掴んだ。
まだ地面に着地していないなか、その勢いで唐竹割りを繰り出す。
「くらえ!」
それは上から左脚をピッと少し掠める事ができ、熊は少しよろめいた。
進は後ろに一歩下がって間合いから脱出し刀を鞘に閉まったあと後ろへと逃げて行く。
「はぁぁぁぁっ!」
ガジェットソルジャー・カーニバル 地下オフィシャルルーム
その巨大な熊に敗れた結は倒れ込んだ姿勢でそこに転送される
「痛たたた・・・ここは?」
『お帰りなさいませユイ様。』
結は起き上がってパラドの名前を呼ぶ
「パラド!」
『はいなんでしょう?』
「何でさっき呼びかけたとき応答しなかったの?」
『・・・すみません、気づきませんでした。』
結は頬を膨らまして怒っていると、父が居ない事に気がつく
「あれ、パパは?」
『マスターならレジに戻られて行きましたよ。』
「そう・・・?」
ふとモニターには進対熊の戦いが生中継で映し出されており、そのの轟音が鳴り響く
『ガァァァァ!』
「はっ!」
そこには、さきの大きい熊から進が逃げる映像がながれている
「あれは、チャームココアベア!?」
『はい、ユイサマは、このモンスターに負けてゲームオーバーに、なりました。』
「そうなんだ。」
結は下部にキーが刺さったガジェットを左手に握り、モニターを静かにそしてじっくりと眺める。
「・・・進くん。」
場所を戻し、進はチャームココアベアと言う熊から逃げていた。
「はっ、はっ、はっ、はっ・・・・」
すると途中でチャームココアベアは立ち止まる。
そして地面に思いっきり拳をぶつけそれにより砕けた地面のつぶてを飛ばしてきた。
「っ!!」
進は後ろを振り向いたがその瞬間にはすでに全身に三発がぶつかって吹っ飛ばされしまった
そして仰向けに倒れ込んでしまう。
吹っ飛ばされた先は、『森林の中にある花園』という場所らしい。
チャームココアベアはまた四つん這いになりトドメを差してやると言わんばかりに吠えた。
その時、進から見て右の茂みから白い小さな熊が一匹、「キュ~」と甘えた鳴き声を発して現れる。
「「っ!」」
それにすぐ気づいたチャームココアベア、進を避けるようにすぐさまその子熊に近づき頬お互いの頬を優しく擦り始める。
そして二匹の熊は小さな鳴き声でこう会話するように鳴く
「帰ろう。」
「うん!」
そして二匹は静かにその茂みの奥へと帰って行った。
進はその方向を不思議そうな顔で見ながら上半身を起こす
「・・・?」
するとパラドからやっとの如くに通信連絡が入る。
『進さま!』
「パラドさん?」
『ご無事のようで何よりです。』
「パラドさん、さっきの大きい熊みたいなのは?」
『あぁそれは「チャームココアベア」ですね、目の前に表示します。』
パラドは画像を進の目の前に白い熊の説明と画像が入った液晶画像を表示する。
『「チャームココアベア」、通称チャームベア。森林ステージに生息する肉食の熊類にして低級レイドボス』
「ほう?」
『この前まで違うステージに出現していたようですが、最近のアップデート追加されたようですね。』
「成る程成る程。」
『そして次に「ジュニアベア」。この世界ではどの熊類であれ子熊の事を大体そう呼びます。』
「へぇ~」
「体は白く好奇心旺盛な性格が特徴的、恐らくさっき現れたのは』
「この花畑の匂い誘われてやって来たとか?」
『おっと鋭い、私も同じ推測・・・いや同じ考えでした。』
「そうなんだ」
『あっそう言えばこの時期はチャームベアにとって子育ての時期でしたね。うっかりしてました!』
「つまり話をまとめるに、「チャームベアはさっき去って行った方で子育てをしていると、大きな音がしたので見に行ってみれば僕たちが戦っていた為このままだと子供にまで被害が及ぶと考えたからその僕たちを倒そうとした」そういう訳だね?」
『恐ろしいくらいの洞察、鋭さです。』
「?」
『では、そろそろ帰りましょう。』
進が「うん」と頷こうとしたその時、突然説明画面だったのが警告に変わってしまう。
『ビー!ビー!ビー!・・・』
「何事?」
『大変です!別のレイドボスが現れました。』
『さっきのチャームベアとは比べものにならないくらいに強力な生物のようです』
「一応聞くけど情報はある?」
『検索中・・・・出ました!』
「おっ!」
『名前は「オオアオダイジャ」、「アオダイジャ」が大きく成長したレイドボスです。』
「ふむ、そんなのが居るんだ?」
進は顎に手を当てながら聞くとパラドは答えた。
『はい、そして今現在さっきの親子と鉢合わせしてジュニアをかけてにらみ合いの様子。』
「あのよく分からない。」
『つまりですね、アオダイジャは鉢合わせしたジュニアベアを食べようとしています。』
「うん」
『しかし親がそれを睨み返している為、襲えるに襲えないようです。』
「けどいつかは襲えるって事?」
『そうですが?』
「だったら急がなくては!」
そう言っては進は顎から手を下ろし、さっき家族が消えた方の茂みへと走り出した。
『ちょっと進さん!?』
暫く走っていると木々の間から右側に居る大きなアオダイショウのような生物が上半身を起こし、左端のベアの親子に対し口を大きく開け舌を「シャーッ!」と出しながら睨みつけているのを発見したので、進はしゃがんで身を隠した。
「あれが、オオアオダイジャか」
『ちょっと待ってください。』
「何か?」
『何かじゃないですよ、まさか今の体力で戦おうだなんて思ってませんよね?』
「いや、戦うんじゃない・・・・助けるんだよあの熊親子を!」
『いや名言みたいに言っても・・・・はぁ、仕方ないですね。』
いくらAIコンピュータでも進のやろうとする真剣な眼差しには勝てなかった。
『取りあえずそこの左腰につけてある巾着からを開いてください。』
「っ!きび団子か?」
進はそれを一つ取り出しては口に入れて自分の体力を回復させる
「おぉっ体が風船みたいに!」
『それを言うなら、「体が軽い」の方が伝わりやすいですよ?』
「そ、そうですか?」
すると自分の辺りだけが少し暗くなる
おかしいな?と思い上を見上げると、いつの間にかアオダイジャが上から目線でこちらを睨みつけていた。
「うおっ!?」
絶対絶命のその時、ダイジャの後ろから獣のような叫び声をあげて何者かが襲いかかり押し倒おす
(進は巻き込まれる前に左に回避できたので助かった。)
その正体は全体の毛が薄茶色い大きな熊だった。
「あの熊はもしかして?」
『お察しの通りです進さま。』
「パラドさん!?」
『あれが襲われかけたジュニアベアの父、「ココアベア」です。』
そこで進が「ちょっと、二匹にバレますよ?」と小声で注意すると、『もうバレてます、それに私の声はソルジャーにしか聞こえませんよ。』と自然に返された。
・・・しかしその時。
「グワァァァ!」
ダイジャを食べようとしたココアベアに奇襲を仕掛けるようにしてダイジャが抜け出し、その胴体でココアベアの首を巻き付けた。
「っ!」
『っ!』
次第にその締め付けが強くなっていくのが、ココアベアの弱弱しく聞こえる苦しみの声で解る。
進がふと左の方でココアベアを心配そうにして鳴くチャームベアとジュニアベアの存在に目視して気づくと、不思議に助けたいという思いが更に強くなった。
そして尻もちの体制から起き上がると、刀を引き抜いて進は突進するダイショウに猪突猛進する。
「止めろおぉぉぉぉぉ!」
次の瞬間だった、進の右から紅い筋が通った柴犬が走ってついてくる
そして自然に犬と同化すると進の両眼が紅く染まり一瞬にして光に消える。
するとダイジャの胴体や首元に紅く小さな光の筋が走り、進がそこを通り過ぎた所をブレーキを掛け
た姿勢でまた現れる。
そしてダイジャは体の数か所が斬れながらそれが地面に落ち、蒸発して消えてしまった
助かったココアベアは何も無かったかのように家族の方に近づき、チャームベアとジュニアベアの時と同じように声を掛け、掛け返されては共に奥へと去って行く。
進はその熊親子の足音が聞こえなくなると、静かに仰向けに倒れた。
よく見れば紅かった両眼の瞳は元に戻っている
『進さま!』
数分後 地下オフィシャルルーム
気が付くと、進はその部屋のエレベーターを脚に仰向けにして寝ており、右側には康介、左には結が心配そうに進の様子を見ていた。
「あれ・・・結ちゃん?」
進が起き上がると、結は進を強く抱きしめる
しかしすぐ恥ずかしくなったのか顔を赤くして開放した。
康介は口を開いて進に喋る
「全く、帰って来てみれば急に進くんがさっきみたいに倒れていたからビックリしたわ!」
「え、倒れてたの僕?」
「そうよ、それに結が今みたいに寄り添って何度も「進くん進くん」と少し涙流しながら呼びかけて」
「パパ!」
「おっと、この話しは余計だったかしら?」
「・・・もう!」
進は両親の事を聞くと、康介はこう答えた
「進くんのパパ達なら長くなりそうだから一度帰らせてもらったわ」
「えっ!?」
「まぁ一応家の場所を教えてもらったから、よかったら送るわよ?」
「えっ本当ですか?」
「勿論、それじゃあ車を出すわね」
そう言ってエレベーターの前に立ちボタンを押したが、ある事を思いだしたらしい
「あっそうだ忘れてた。」と言って進に何か小さな物を投げ渡す
進はそれを両手でキャッチし、それが何か確認すると金属のリング状の物だった。
「これは?」
「ガジェットキーの持ちてには少し輪っかが通ってるでしょう?それを引っ掛けて、キーを無くさな
いようにするものよ・・・『ガジェットリング』と言ったところかしら?」
「わ、私も同じの、自分の部屋にあるよ。」
「へぇ~ってこれどうやって開けるんだ?」
「あっそれはオウムの口みたいに開くから、そこをこうして、キーを通す・・・ねっ簡単でしょう?」
「ほんとだ!」
進がリングの使い方を覚えたと思えば、扉が開いたエレーベータ―内部から康介が言う
「車の話しだけど、結も来るのよ」
「えっ私も!?」
「良いじゃない、折角のボーイフレンドと一緒の日なんだから。」
「ボーイフレンドっ!?」
結の顔はさっきよりもまるで沸騰したやかんのように赤く熱くなる。
すると進が結に聞いた。
「ねぇねぇ、ぼーいふれんどって何?」
「知らなくていい!」
結はそう誤魔化したが、進は訳も分からずに結に怒られたと思い少し汗を流した。
「早く乗りなさ~い?」
「「あっは~い!」」
進は下半身を起こしてリングをズボンの前側のフックに掛けてエレベーターに向かい、結もエレベーターに向かおうとしたが少し立ち止まって後ろを振り向く。
「・・・。」
そしてすぐにエレベーターに乗った。
進が青いジャンパーを着せられている事に本人が気が付いたのはこのエレベーター内に居た時初めて気づく。
ガジェットソルジャー・カーニバル 右側駐車場
「ほら、あれが私の車よ。」
康介は手前右側の黒い車を指して言う
「わぁ凄いなぁ~」
「でしょでしょ?それじゃあ今出してくるわね。」
そう言って康介は車に向かう
進は少し左後ろに居る結に「出してくるってどういう意味?」と問うと何処からかパラドックスの声がした。
『この場合は、準備をしてくるという意味です。』
「えっパラドさん?」
「どこ、どこ?」と見回しても誰も居ない。
すると再度パラドの声が聞こえて呼び掛けてくれた。
『ここです、ここここ、ガジェットの中』
「えっガジェットの?」
進はジャンパーのポケットに閉まっていたガジェットを取り出す
するとその画面にはスカイブルーの無地を背景にしたチカチカした白い音声マークが映っていた。
「ぱ、パラドさん?」
『はい、パラドですが?』
「これは一体どういう事で?」
「それは、」とパラドが説明しようとすると進たちの前で自動車のブザー音が鳴る
「っ!」
すると目の前にはさっきの自動車が少し道を塞ぐように出ており、その前のミラーが下ろすと康介の顔が見えた
「お待たせ~。さっ後ろに乗った乗ったぁ!」
「「ハ~イ」」
康介に言われた通りに結との二人は後部座席に乗ってシートベルトを閉めた。
ミラーからそれを確認すると、康介は車を発進して進の実家へと向かった
2分後 その車内
『・・・という訳でですね、進さまがソルジャー登録をされたと同じタイミングで実は端末にログインして私が入れる環境が作ったという訳です。』
「なるほど、それは大体便利な話ですね。」
小学生の進でも、その意味は理解できたご様子
すると結は何を思い出したのか、窓を眺めながら小さく呟いた。
「・・・私もあそこに居たかったなぁ。」
それは進に聞こえていたが、何を言っていたのかまでは聞こえていなかった。
「ん?」
結は窓の景色を見たまま進に、メニューの開き方教えてないのに何故ヘルプを開けたのか聞くと
『それは・・・奇跡が起きて。』と返された。
すると康介が雨で濡れたミラーを見て呟いた。
「それにしても凄い雨ね、進くんの実家は大丈夫かしら?」
「「?」」
二人が窓の景色を良く見ると、確かに豪雨と言って良いくらいに笊の上に小豆を踊らせたような凄い音を鳴り響かせ降っていた。
そしてその横をホース車や救急車などが横を通っているのが解かる・・・
そしてそれらが向かう現場は、今三人が目指していた目的地と同じだったという事は、後に判明する事だった。
それから約10年
進はその瞬間に見た実家の事を、
「パラドさんの言う通りに蛇とは戦わずに帰って入れば、未来は変わっていたかも知れない。」と悲し気に話していたという
今回はここまでです
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進が使っていた武器
打鉄一鉄
抜刀系のソルジャー初期装備であり、耐久性を除けばその使いやすさとそれなりの切れ味に特化した易しさ溢れる武器
強化していくに連れその耐久性と攻撃力を改善でき、『一鉄』→『二鉄』→『三鉄』までと数字が変わるのもまた特徴の一つだ




