兎狩り
時を遡ること少し。
平原のフィールドに出た俺は、ウサギを追いかけていた。
―――――――――――――――――――――――――――
「おい、待て、この、ウサギ!」
息が切れる。何で俺はウサギなんて追いかけてるんだ。
いや、このウサギを倒すためなんだけど。何が悲しくてゲームの中でウサギを追わなきゃならないんだ。
追いかけること数分。
「よっしゃー!!!捕まえたぞ!!」
俺の手元にはぐったりとした様子の兎がいる。
さて、この兎をどうしようか。元々、倒すために捕まえたのだが・・・・。兎の方を見ると、うるうるとした目で見つめ返してくる。なんだかなあ・・・。あざとい。あざといが、しかし、うーん。諦めるか。
捕まえた兎を逃がしてやる。兎は走っていき、俺の手が届かなくなる所まで行くと、不意にこちらを振り返り口元を歪ませた。そう、笑ったのである。
「この、性悪兎があああ!」
すぐに、ナイフを取り出して投げる。そうすると運よく当たったようで、兎は消え、アイテムを獲得したとの通知が来た。獲得した物を見てみる。
ライアーラビットの皮 ☆
『ライアーラビットからとれる皮。素材として様々な所に使われる。』
ライアーラビットの肉 ☆
『ライアーラビットからとれる肉。一般に食用として使われる。』
うん、まあ、普通。。レア度である☆の数も一個と、極めて普通である。この性悪兎がライアーラビットというのが分かったくらいだ。面倒だから兎でいいと思うけど。
さて、さっき投げたナイフでも回収しに行こう。
ナイフを回収した俺は、次の兎を目標に定める。先程のように、追いかけるのは時間がかかるので、なんとかしたい。かの山ではあるまいし、兎を追うのは勘弁してほしいものだ。ということで、数打ちゃ当たる作戦実施。
見つけた兎に向かってナイフをひたすら投擲する。10本投げては回収、10本投げては回収、10本投げては回収.........。
数回繰り返したところでやめる。結局50回以上投げて当たったのは9本ほど。兎は全部一撃で倒せたので、9匹倒したことになる。まあ、当たったほうだと思う。投擲スキルが発動されていたのだろう。
それで、以下が結果だ。
ライアーラビットの皮×6
ライアーラビットの肉×5
ライアーラビットの耳×1
ライアーラビットの尾×1
皮が6、肉が5、耳が1、尾が1。まあ、基本的にドロップするのはこのくらいなんだろうと思う。
数が少なかった耳と尾に関しては☆☆だったが、説明は皮とほぼ変わらなかった。アクセサリーになるというのが付け足されていたくらい。
と、ここで通知。
≪称号【兎狩りし者】を獲得しました!≫
≪レベルが上がりました!≫
どうやら称号が貰えたらしい。それと同時にレベルアップ。称号を得ると経験値も貰えるようだ。
【兎狩りし者】
兎系動物に対し、与えるダメージ上昇。
※獲得条件 兎系動物を10体倒す。
兎系動物というのが日本語的に変な感じがするが気にしないことにした。まあ、与えるダメージが大きくなるのはいいことだ。
レベルも上がったが、ステータスはDEXとLUXに振り分けておいた。ナイフを当たりやすくするためだ。
さあ、まだまだ狩ってやるぞ兎ども!
あ、ナイフ回収するの忘れてた。回収しにいこ。
なぜか1本見つからなかった。失くしたか・・・。
数少ない武器を失くす主人公・・・。