変質的な奴と変心的な奴
何があったのか。そう思い耳を凝らして聞いてみる。周りの人も目や、耳を凝らしているようだ。
「だから、~~したって~~じゃ~~か」
「こ、困ります。やめてください。」
ん?なんだ?なんて言っているんだ?よく聞こえない。受付の人が困っているのはわかったが、問題の男の声が聞こえない。
「いいじゃねえか。頭を~~~てくれたって!」
ん?どういうことだ?頭?疑問が解消されない。頭が云々といっていたがなんだろうか。男の頭に何かあるというのか。見ても何もない。ただの短髪赤毛だ。よくわからない。そうだ、受付に向かって言っていたなら受付の人になにかあるのか。・・・う~ん、ただの獣人の幼げな女の子だ。特に変わったところはない。ただの幼い、獣人、女の子―――ハッ!もしかして彼は・・・。
「いいから頭を触らせろー!モフモフさせろー!」
彼は・・・変t・・・紳s・・・いや、変態でいいや。うん。彼は紳士ではないな。
さて、彼は受付の子に向かって飛びかかったわけだが・・・・。
―――――バチンッ!
何かがはじける音とともに受付と正反対の場所へ飛ばされていった。それはもう見事に。現実だったら死んでるレベルだ。
・・・まあ、ゲーム内でも死んだのだが。そう、彼は光の粒子となってどこかへ行ったようだ。
と、その時チャイムのような音が鳴る。迷子センターとかのお知らせみたいな音である。続いて、声が聞こえてきた。
「ギルド員の許可なく、ギルド員に手を出そうとしたものはこうなります。」
と、やや無機質な声が聞こえてくる。そうか、彼の犠牲は無駄ではなかったということか。彼はその命と引き換えにして周りにこうなることを知らしめてくれたのか。・・・まあ、飛びかかっていく奴なんて彼奴以外にいなさそうだけどな。つまり、結局無駄ということか。哀れ。
ま、まあ中々ショッキングな出来事だったが、彼のことは置いといてギルドの登録をしよう。
ということでまずは列に並ぼう。先程の事件でやや列が乱れているがどうにかなるだろう。皆、事が終われば元に戻るものだ。
しばらく並んでいると、受付の番が回ってきた。受付の人は俺と同じリザードマンの種族。女なのにリザードマンとはどういうことなのか。まあ、気にしてはいけないよね。あ、いきなり棒立ちになっていたものだから不審がられている。俺は冷静を装って話しかけることにした。
「すいません、登録したいんですが。」
「わかりました。登録ですね。少々お待ちください。」
そういって、手元でなにやら作業をし始める。そして、何かを取り出した。・・・取り出したのは黒いカードだ。それを俺に渡してきた。
「こちらが冒険者ギルドカードとなります。」
「あ、ありがとうございます。」
「使い方をご説明しますね。」
「あ、お願いします。」
「ステータスを確認したい場合、右上のボタンを押してもらえれば見ることができます。ステータスは基本、本人しか見ることができませんが、許可を出した場合には相手にも見せることができます。また、倒した敵も同様に見ることができます。以上で終わりとなります。何かご質問はありますか?」
内容を理解するのに手間取っている俺に質問をするほど余裕はない。自慢ではないが、知らない人としゃべるのにプチパニックを起こすのは得意なのだ。・・・うん。本当に自慢ではない話だ。自分で言ってて悲しくなる。人の社会に適応できなかった形がこれか・・・。
まあ、いつまでも気にしていてもしょうがない。自慢でなくはないが、へこむのも、立ち直るのも早いのだ。
「あ、特にないです。ありがとうございました。」
そういって、足早に立ち去る。これも自慢でなくはないが、その場から逃げる力はあるのだ。
・・・・あれ?へこむの早かったら、立ち直るの早くてもそれ、長所でもなくね?その場から逃げる力ってあんま自慢できるようなことでもないし・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
まあ、いっか。次は、フィールド出て戦闘しに行こうっと。
へこんでから立ち直る。その間約5秒。
やっぱり、切り替えだけは早いのであった。
遅くなってしまいました。すみません。
全ては、壊れたパソコンのせいです。ああ、ゲームのデータが・・・。