いざギルドへ
「やっとログイン出来た」
色々あったがやっとログイン成功。目の前に、「ゲームを開始しますか?」と文字が出てくる。もちろんイエスだ。目の前の景色が移り変わっていく。しばらく待つ。
・・・どうやらここがゲーム世界のようだ。西洋風のいかにもファンタジー感あふれる街だ。まあ、よくある始まりの街だろう。周りにはプレイヤーやNPCなどが沢山いる。それらを回避するように俺は動く。人が多い所は好きじゃない。い、いやコミュ障なわけじゃないから。そう、ちょっと人込みが好きじゃないだけ。そういう事にしておこう。
まあ、そんなことはどうでもいい。まず、何をするかだな。このゲーム、チュートリアルは存在せず、ろくな説明もないので、何をするかということはとても重要になる。特に序盤は困る。うん、このゲームがクソゲーなのではないかという疑いが出てきた。いや、もとからか。とにかく何をしようかということだ。まあ、最初だし素材集めといこう。
まずは、ギルドに向かおう。冒険者ギルドと呼ばれる所だ。このゲームのマップは自分が歩いた所がマッピングされていく。つまり、俺はギルドの場所を知らない。誰かに聞かないとな。流石にプレイヤーに話しかけるのは気が引けるので、NPCに聞くことにする。誰だって人に話しかけて「え、誰こいつ」みたいな反応はされるのは嫌だろう。あ、いや誰でもではなかった。世の中には人に冷たい目で見られることで興奮する奴がいるらしいからな。俺には関係のないことだが。
とりあえず、すぐ近くにいた男の人に話しかける。
流石にNPCと言えども、女性と話すのは緊張するから男性に話しかける。という考えの永保。完全にコミュ障である。
「すみません、ギルドは何処にありますか?」
「何のギルドかな?商業ギルド?農業ギルド?」
え、ああ、知らなかったけど色々ギルドがあるんだな。まあ、確かにギルドといえば冒険者ギルドだけではないだろうな。
「ああ、すみません。冒険者ギルドです」
「それだったらこの道をまっすぐ行けばいいよ。ほら、あそこの大きい建物だ。」
男はジェスチャーを交えながら話す。分かりやすくてありがたい。
「ああ、なるほど分かりました。有難うございます」
一礼をして、男の元を離れる。よし、じゃあ行くか。・・・にしても、あんな大きな建物に気が付かないとは。もう年かな。いや、そんな年じゃないけど。
ギルドに向かう道中、武器屋や防具屋などがあったが、とりあえず無視してギルドに行った。ギルドに向かう道には沢山のプレイヤーがいた。人が多くて辟易する。俺はとりあえず前の人についていくことにした。
ギルドに着くと、人の多さが目についた。さっきとは違い、ほぼプレイヤーしかいない。幸いなのはこちらに目を向ける人が少ないこと。まあ、ギルドは人の出入りが激しいから一々気にしないだろうな。俺は、周りの様子を見ながら、受付と書かれた場所に向かった。
受付は全部で五つあった。それぞれの種族に分けられている・・・・・というわけではないようだが、各種族の受付の人がいる感じか。別に自分と同じ種族のところに行く必要はないと。また、受付の人は全員NPCのようである。
・・・そして受付の人は、見た感じ全員女性のようだ。更に言うと全員美人の類である。これはおそらく開発者の趣味だろう。・・・いや、あいつらはそんなことしないな。運営の趣味だろう。まあ、そんなことはどうでもいいのだ。開発者やら運営やらの趣味嗜好を理解したところで何があるというのだ。
とりあえず並ぶとするか。えーと、一応自分の種族と同じ受付のところに並びますか。
―――ガシャーン
いきなり物が倒れる音がする。「なんだ?」と思い音のした方を向く。どうやら、三つ程向こうの受付で何かあったようだ。
「おい、どういうことだ!俺はプレイヤーなんだぞ!」
と、受付に向かって叫ぶ男の声。
あー面倒事の予感がする。そう思い、ため息をつく俺だった。