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少年兵と蒼空  作者: 酒月沢 杏
第二章 蒼い剣と煤け色のヒーロー
7/25

蒼い剣と煤け色のヒーロー後編

お待たせしました。

気が付くと夕焼けが空を染めている。

 俺たちは回りに軍がいないかを警戒しながらフォルスたちの家へ向かった。

 その警戒も考えすぎだったのか特になにかあったわけでもなくなんの問題も無くつくことができた。

 家の前に立つとフォルスがうつむいて立ち止まる。よく見ると手は震えていた。

 「大丈夫か?」

 「あ、ああ。ちょっと怖くなっただけだ。」

 俺の言葉にフォルスは震えた声で答える。

 「お前なんていらないなんて言われたらどうしようなんて思っちゃってさ。」

 「はっ、お前の親がそんなことを言うやつだと思うか?」

 フォルスは首を横に振る。

 「なら、ちゃんと話せ。そうすればハイネスさんたちもわかってくれるさ。自信を持て。」

 俺はフォルスの背中を軽く叩く。

 「・・・ああ!」

 フォルスは自分を押し上げるように明るい声を上げる。

 「とりあえず俺から入るから。」

 俺は扉の目の前に立ち少し強めに戸を叩く。

 「ハイネスさん、アリアさん。ただいま戻りました。」

 扉のむこうからドタドタと慌てるような足音がしたあと勢いよく扉が開かれる。そこには少しだけ息切れをしたハイネスがいた。

 「ああ、カズハくん、お帰り。大丈夫だったかい?・・・?!」

 ハイネスは俺に目を向けているとその後ろにいたフォルスを見た瞬間息を飲む。

 そんなハイネスの反応にフォルス はビクリと肩を震わせると恐る恐る口を開く。

 「と、父さん。ただいま・・・」

 しばらく沈黙。そのあとハイネスはフォルスの前に立つと

 思いっきり顔を殴った。

 「なっ・・・?!」

 「フォルス!!」

 響は動揺で後退りアレンはフォルスに駆け寄ろうとする。俺はそんなアレンを手で止める。

 「このバカ息子!、父さんも母さんもどれだけ心配したと思ってんだ!」

 そう言ってハイネスはフォルスを抱き寄せた。

 すると扉からアリアも走って出てきた。

 「フォルス!、無事だったのね!」

 アリアも駆け寄りフォルスを包む。

 「父さん、母さん。ごめんなさい。」

 フォルスの目には涙が滲んでいた。

 良かったと俺は内心息をつく。しかしそれと別に俺のなかにこの光景を見ても何も思わない自分がいることに気づく。

 そんな自分が気持ち悪くて仕方ない。まるで人間じゃない、そんな自分がいた。

 無機質で冷淡で機械的な思考は俺を常に冷静にしてくれる代わりになにか大切なものを奪っていく気がした。

 俺はハッとしてそんな思考を振り払った。響はそんな俺を不思議そうに見ていた。

 「カズハどうしたの?」

 「い、いや、何でもない。大丈夫だ。」

 「そう?、冷や汗とか凄いけど、体調悪い?」

 「気にするな、俺は大丈夫だ。俺はそんなにやわじゃないからな。」

 俺は取って付けたような言い訳を並べる。

 「・・・そっか、なんかあったら言ってよ?」

 「ああ、すまんな」

 そんな話をしている間に三人は落ち着いたようで離れて立ち上がる。

 三人は泣いていたせいか目を赤くしていた。

 「とりあえず家に入りましょう。回りの目をもあれですし外だと話もしにくいでしょう。」

 俺は家のなかに入るように勧める。皆はそれぞれ頷く。

 家のなかに入ると俺たちは立ったままでハイネス、アリア、そしてフォルスとアレンが席についた。

 そんな状態でハイネスが口を開く。

 「ずっと聞きたかったんだがそちらのお嬢さんは?、ただの友達ってことはないだろう。」

 「・・・ちょっと長くなるよ」

 そう言ってフォルスは自分が今まで何をしてたかやアレンとの関係、そして俺に魔法を移植したことを話た。

 「・・・そんなことが。カズハくん、本当に何から何までありがとう。息子の魔法のことまで。」

 「本当にありがとうございましたカズハさん。」

 「いえ、僕が頼んだことなんで。僕が必要だったから貰っただけです。」

 俺はそう言って頭を下げる二人から逃げた。やはり感謝される、というのは慣れない。

 「あと、父さん、母さん。一つだけ頼みたいことがあるんだ。」

 「・・・ああ。」

 ハイネスは腕をくんで聞く姿勢をとった。

 「アレンを、この家に置いてほしい。勿論俺もしっかり働いてちゃんとお金を稼ぐから・・・だからお願いします。アレンを家に住まわせてください。」

 フォルスは席から立ち頭を深々と下げる。

 「・・・フォルス、約束は守れよ。」

 「・・・!!」

 フォルスは勢いよく顔を上げる。

 「家族が増えるのは嬉しいしね」

 アリアが嬉しそうに言った。

 アレンはあまりの展開に着いていけないのかあたふたしている。

 ・・・というか俺なにもしなくても良かったな。

 あたふたしているアレンにフォルスは笑いかける。

 「アレン、これからは家族なんだ。」

 アレン不安そうな顔からパァッと明るくなる。

 「私ここにいてもいいの?、フォルスの側にいてもいいの?!」

 「ええ、なんたってアレンちゃんはもう家族だもの。」

 アリアは優しい声音でそう言った。

 さてと、今度は俺の話だ。

 「話もまとまったようなので僕からも話があるので良いですか?」

 「ああ、どうぞ。」

 ハイネスはそう言って俺の目を見た。

 「僕たちは、東の国を襲撃しようと思うんです。」

 「なっ?!」

 「お、王国転覆だと・・・!?」

 ハイネスもアリアも驚愕する。

 それもそうだ、自分達を支配している国の本拠地を見ず知らずの旅人が『潰す』と言ったんだから。

 「・・・り、理由を訪ねてもいいか?」

 「俺は宝具《楽王の鐘笛》を取りに行こうと思っています。」

 「そんな、この国の伝説の宝具を狙いに行くなんて、いくらなんでも無茶ですよ。売りに出したとしてもすぐに足をつかれて捕まってしまうのが落ちです。」

 アリアは警告と言わんばかりに声を鋭くして言う。

 「売ったりしません。僕はこれをアレンに使おうと思っています。」

 「・・・そうですか、事情はわかりました。」

 ハイネスは頷く。そんなハイネスを見たアリアは声を上げる。

 「そんな、事情がどうであれ勝算のないような戦いに行くなんて自殺も同然です!。あなたもそんなことを許して良いの?!」

 「アリア、彼らは本気だ。最初はただの世間知らずかなんかかと思っていたが、違った。少なくてもカズハくんは本物だ。フォルスの魔法を移植しているのが何よりの証拠じゃないか。並の覚悟じゃ他人の魔法を背負うなんて出来ない。」

 ハイネスは落ち着いてなおかつ熱の籠った声でそういった。

 「・・・そうですか、わかりました。では、私は止めません。その代わり約束してください、必ず生きて帰って来て下さいね。」

 アリアはまるで吹っ切れたような呆れたような、そんな顔で言った。

 無事に戻れるかは正直五分五分だが、約束を結ぶことが何かに繋がるのなら俺はそれで良いとおもった。

 《約束》は、絶対に守る。

 「はい、わかりました。絶対に帰って来ます。」

 俺の言葉にアリアは優しく微笑んだ。

 「さて、お腹も空いたでしょう。ご飯にしますね。」

 アリアは手をパンッ!と叩いて声を上げる。

 その夜の食卓は雑談などでとても賑やかなものとなった。

 

 「それでは、おやすみなさい。」

 「ああ、おやすみ。カズハくん。」

 俺たちは昨日泊まった部屋に戻った。

 部屋に入ってすぐ、俺は響に座るように言う。

 干し草のベッドに腰を下ろした響に俺は話を始める。

 「・・・明日のことだ。」

 響は肩を少し震わせるとすぐに姿勢を正し「うん。」と頷く。

 「明日は早朝から出発する。食事中に聞いた話だと明日来る積み荷の馬車に乗るのが早い。そのあと約四、五時間ほどの移動、国に着いたら今日の兵士から奪った国書を見せて中に侵入。1日は準備のために滞在。それから次の日に襲撃する。宝具は城にあるだろうから城にレーヴァテインで穴を開けて侵入して、中から叩き潰す。宝具は宝物庫か王の間のどちらかだろう。町から情報を得て宝物庫がなかったら王の間で確定するから制圧、邪魔するやつは基本殺せ。躊躇すればこっちが殺される。わかったか?、とりあえずざっと説明したが。」

 一気に言いすぎた感はあるが。

 「大丈夫、だいたい覚えた。」

 「そうか、じゃあよろしく頼む。細かい事はその都度臨機応変に対応する。」

 臨機応変、全ての作戦に付きまとう最難の課題。しかし、なんとかなりそうと思える自分がいた。

 「あと、これを持っておけ。」

 俺はブラックボックスからある機械を取り出す。

 「ん?、それは?」

 「これは《自動式物理防御装置パラディンシールド》だ。」

 「パラディンシールド?」

 「ああ、ここを押すと物理攻撃を遮断するための防壁を作ってくれる装置だ。俺は使うことなかったからかなり余ってるんだがな。今回、援護と言う役割上、こういうのがないとかなり危ないからな。三つは持っとけ。」

 「無敵ではないんだね。」

 響はパラディンシールドを手に取りながらそう言った。

 「当たり前だ。流石に無限無敵というわけには行かない。腐っても量産型だしな。でも、この世界の魔法や銃弾ぐらいなら全然耐えられると思う。が、ひびが入ってきたら頃合いを見て別のものに変えろ。」

 「うん、わかった。・・・どこに入れよう?」

 あ、そうか、弾薬パックに入れるわけにはいかんからな。

 俺はブラックボックスをもう一度漁る。するとそこには少し大きめの肩かけバックがあった。おそらく俺の世界でなにか備品を回収したときのものだろう。

 「とりあえずこれにいれとけ。」

 「ありがとう。」

 響はバックを受け取りそのなかにパラディンシールドを入れた。

 これである程度の準備は良いだろう。

 「よし、あとは明日に向けてしっかりと睡眠をとれ。」

 「うん。」

 そう言ってロウソクの火を消す。

 「俺はあと少し準備するからお前は先に寝てろ。」

 「ありがとう、おやすみカズハ。・・・明日、頑張ろうね。」

 「ああ、当たり前だ。おやすみ、響。」

 響の何気ない言葉に少しだけ胸を締め付けられる。だがこれの正体が俺にはわからなかった。

 俺は結局すぐに考えるのを止めてレーヴァテインに血を入れたり武具の手入れなどをした。

 

 日が上る本の少し前、青白くなり始めた空を見ながら目を覚ます。

 どうやら寝坊は避けられたようだ。

 隣にいた響を起こして支度をさせる。昨日と同じで寝起きが少し酷かったが状況が状況なのですぐに覚醒した。

 黒いローブを着て家に入る。

 家の様子を見るとまだ家族は寝ているようだ。好都合ではあるが昨日の笑い声が嘘のように静まり返っているのはどうにも不気味な感じがした。

 荷物をまとめて食卓の部屋へ出る。

 「カズハ、あれ」

 響はなにかに気づいたのか机の上を指差す。

 そこにはパンとリンゴが二つずつ手紙と共に置いてあった。

 俺は手紙を手にとって目を通す。

 『カズハ様、響様へ。これを読んでいるということはもう、出発されるのでしょう。今回はこの家に泊まっていただきありがとうございました。私たちは昔から宿屋を営むことが夢でした。しかし、このご時世に旅人はおらず、戦争が激しくなるとそんな余裕すらありませんでした。なのでお二人が家に来てくださったのは私たちにとってとても幸せなことでした。息子のことも含めてありがとうございます。朝ごはんにパンとリンゴを置いておきます。馬車の中などで食べてください。必ず戻ってきてくださいね。・・・アリア』

 俺たちは手紙を読み終えパンとリンゴを手に取る。

 リンゴはストレージにしまいその代わりに昨日作った干し肉を取り出し机の上に大葉と共に置いた。

 パンを一口だけ頬張る。

 少し硬くて塩の味がする。

 俺たちは食卓に背を向けて扉の前に立つ。

 「行こうか。」

 「うん。」

 扉を開け外へ飛び出し市場へと走り出した。

 

 市場は住宅街と違い、朝早くから多くの人が店の準備などをしていた。

 「多いね、人。」

 響は感嘆を漏らす。それくらいこの市場には人が集まっている。

 「とりあえず積み荷をしている馬車を探そう。そうすれば東の国に行く馬車もきっとある。」

 「わかった。」

 そう言って二人で今まさに荷物を積んで運ぶところ、という馬車を探した。

 すると意外なことにすぐに見つかった。

 「あの、お訪ねしたいのですが。東の国に向かいますか?」

 「ん?、ああ。俺は東の国に薬を運びに行くんだ。」

 その馬車の主と思われる男に話を聞くと見事に東の国行きの馬車だった。後は交渉するのみだ。

 「では、良かったら俺たちも乗せていってくれませんか?」

 「良いぜ、400シルバーだ。」

 シルバーとはこの世界の通貨のことだろうか。俺はブラックボックスから《賢王の財宝袋》を取り出し、もらったときの説明どうりに頭のなかで出したい金額を思い浮かべながら取り出す。するとそこから少し大きめの銀の硬貨が四枚出てきた。

 すると袋に書いてあった30000という文字から26000になっていた。どうやらこの世界でのお金の価値は1シルバーで10円になるらしい。

 その取り出した銀貨を男に渡すと「毎度!」と言って俺たちを荷台へと案内してくれた。

 俺たちは荷物の入った箱に腰を掛けて一息つく。男が言うにはここから五時間ほどで着くらしい。

 俺は思い出したようにブラックボックスからリンゴを二つ取り出して一つを響に渡す。

 「・・・ありがと。」

 「ああ。」

 そう言って黙々と食べ始める。昨日にあらかた作戦の流れは話したので特に話すこともなかった。

 そうこうしていると男が前に乗って「出発するぞー!」と声をかけてきた。俺もそれに「わかりました。」と相槌をうった。

 ガタンと馬車が動き出す。俺は地面を走る乗り物にあまり乗ったことがなかったためこの揺れや遅さなどはとても新鮮だった。反応を見るに響も同じようだ。

 「響の世界には地上を走る乗り物はあるのか?」

 俺の何気ない質問に驚いたようにこちらを見る。

 「・・・カズハって、普通の雑談なんて出来たんだ。」

 「失礼だな。」

 いくら人間らしくない生活をしていたとはいえ、そこまで人間を止めてはいない。しかし、それを強く否定できない自分がいるのに酷い不快感を覚えた。

 「・・・純粋な好奇心だ。俺は飛行機ぐらいしか乗らなかったしな。地上を走る乗り物がお前の世界には多かった気がしたんだよ。」

 「うん、まあ、そうだね。あれは自動車っていう乗り物なんだよ。ガソリンを燃料にエンジンで動くの。」

 「ほぉ、エンジンで走るんだな。興味深い。」

 俺の世界では燃料というものが貴重なため、かなり古い技術であるピストンエジソンはもうほとんどなかった。俺の持っているエンジンブレードも正式にはエンジンでは出来ておらず、太陽光で発電した電気で動いていた。

 「やっぱり、私にとってもカズハにとっても他の世界のものは珍しいものばかりなんだね。」

 そう言って響は笑う。

 当たり前だがそうだ。自分の住んでた世界とは根本的になにかが違う。もし似ていたとしても何かしらは違うものがあるのだろう。

 ・・・退屈はしないのだろうな。

 「だが、未知ほど怖いものもない。確かに発見は退屈しないがそれ以上に自分の知らない脅威があるのも事実だ。だからこれからも警戒していかなければならない。」

 「・・・そうだね。 」

 響は真剣な顔で頷く。

 「まあ、気を引き締めすぎても行動に支障が出るだけだ。適度に休むことも大事だろう。」

 俺はフォローをするようにそう付け加えた。

 それから少し、響は大きなあくびをした。

 それを見られたからか響は恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 「響、東の国まではまだ時間がある。どうせ襲撃は明日だから今は休んでもかまわんだろ、朝も早かったしな。たとえ俺も寝てしまったとしてもきっとあの、馬車の主が起こしてくれるさ。」

 「そうだね。じゃあ寝るよ。」

 そう言って響は横になる。するとすぐに小さな寝息をたてていた。

 「早いな・・・」

 思わずそう呟いてしまった。

 とりあえず自分も仮眠を取るためにローブを体にかけ丸まった。

 自分では気づかないほど疲労が溜まっていたのか俺の意識は意外にもすぐに闇に落ちていった。

 

 夢を見た。

 知らない女性が俺を抱いて笑っている。

 隣には俺によく似た男が立っている。

 わかることと言ったら彼らがとても幸せそうと言うことだ。

 なぜか何を話しているかは聞こえない、まるで耳を塞がれているようにぼやけて聞こえる。

 世界が暗転する。それが夢の終わりを告げたのは嫌でもわかる。

 そして、なぜか聞きなれた声が頭に響く。

 『《約束》は、お前の中の《人間》を満たす。』

 俺はその言葉を理解する前に眩い光に包まれた。

 

 「兄ちゃん、もう着くぜ。」

 「カズハ、起きて。もうすぐ着くって。」

 二人の声が耳に入り俺は目を覚ます。

 「おはよう、カズハ。意外だよ、カズハがなかなか起きないなんて。」

 響は無表情でそう言った。

 「すまん、想像以上に疲れていたようだ。」

 「そっか。気を付けてね。」

 少しだけ優しい声音で言った。

 そんな響の声にどこか安心している自分がいる。この感情はなんなのだろうか。なんだか胸のあたりが暖かくなるような、そんな感じがする。そういえば由良魏博士と話してるときもこんな感じがした気がする。

 「なあ、金払ってもらっておいてなんだが、荷物下ろすの手伝ってくれねぇか?、お礼はするからよ。」

 馬車を動かしていた男が俺たちにそう言った。

 「いいですよ、任せてください。」

 「そうか、兄ちゃん強そうだからな、頼りにしてるぜ。」

 そう言って話していると男が思い出したように口を開く。

 「おい、外を見てみろ。城壁が見えるぜ。」

 俺たちは馬車の外をみる。そこには堂々とそびえ立つ巨大な壁があった。

 「この辺じゃこのでかい壁は名物なんだよ。」

 パッと見は60メートル位だろうか。かなり大きい。俺の戦っていた帝国でもここまで大きい城壁ではなかった。

 大きくて40メートルあるかないかぐらいだった。

 「そういえば兄ちゃん達って通行書って持ってるか?」

 これはどう説明しようか。と上手い具合の言い訳を考える。

 「俺たち、実は軍に徴収された特別兵でして、でも足がなくて困ってたんですよ。」

 我ながらちょっと苦しいかとも思いながら交戦した兵士から奪った国書を見せる。

 「なるほど、大変だなぁ。軍になるんだったら早く戦争を終わらせてくれよ。俺の嫁さんも大変なんだ。」

 「絶対終わらせますよ。必ずね。」

 終わらせるというより、明日やることのせいで強制的に終わるだけなのだが。

 「じゃあ荷物まとめとけよ。門のところでそれを見せないと国に入れないからな。」

 「わかりました。」

 俺はもうひとつの国書を響にも渡した。

 その後、馬車は城壁にある大きい門のところで止まる。

 そこには検査官と思われる青い軍服を着た男がいた。

 「積み荷と通行書の調査をする。馬車に乗っている人間は全員降りて通行書を見せろ。」

 俺たちは荷台から降りて国書を見せる。

 「・・・よし、良いな。お前たちは入ったら役所へ向かえ。そこで軍服をもらうといい。」

 「はい。有難う御座います。」

 俺はその男の敬礼を真似て敬礼をする。

 そのあと男の馬車の荷物を下ろすのを手伝った。

 終わってからはお礼にと200シルバーをくれた。

 「・・・とりあえず入れたね。役所には行くの?」

 門を抜けるときに響が小声で聞いてきた。

 「行くわけないだろ。俺たちが徴収されてないってのがバレる。」

 「あ、そっか。」

 「とりあえず夜までに城に関しての情報を集める。後は町を時間潰しにぶらつくか。」

 そう言って俺たちは歩き出した。

 

 町を歩いていて気づいたが、ここは賑わっているところとそうでないところの差が激しい。おそらくは貧困の差だろう。

 大通りは人々で賑わい店なども多いが少し裏に入ると薄暗く、みすぼらしい服を着た人々がゴミを漁ったりしていた。

 この国の状態はかなり深刻なのだろうか。

 「響、あまり細い道に行くなよ。あと、声をかけられても反応するな。」

 俺は響に釘を指すように言った。

 「?、どうして?」

 「貧民は食べ物や金を常に求めている。良心を漬け込まれたら搾られるだけ搾り取られて面倒事に巻き込まれるのが落ちだ。彼らには悪いが出来るだけ知らぬ存ぜぬで通せ。」

 「・・・わかった。」

 響は少しだけ悲しそうな顔をする。

 「俺だって、別に好きで見捨てるわけじゃない。あくまで響の身を第一にしているだけだ。酷い言い方をするがこれが現実だ。」

 「うん、ありがとうカズハ。」

 「あ、ああ。」

 お礼を言われるとは思わなかったからかたじろいでしまう。

 そして目の前に武具屋と書かれた看板を見つけ俺はそっちを向く。

 「な、なあ。あの武具屋に入ろう。これから役に立つものがあるかもしれない。」

 「へー、やっぱり異世界だからかこういう店もあるんだね。」

 「こういう時に国民も武器が持てる状況を作るのはどうかと思うけどな。」

 「え、なんで?」

 響は不思議そうにこちらを見て首をかしげる。

 「こういう時は国民の不満も溜まりやすいからな。反乱が起きる可能性があるから・・・いや、どうでもいいな。早くはいるか。」

 「・・・政治って複雑なんだね。」

 感心したように響は呟く。

 「国を治める者なら誰でもわからなきゃいけないような気もするがな。」

 昔読んだ本の中に内乱が理由で潰れた国があった。

 だから、この国は俺がなにもしなくても潰れるような気がする。

 店に入るとそこには武器や鎧が店を埋め尽くすように並んでいた。

 「いらっしゃい。」

 店主の男が低い声でそう言った。

 「カズハ、どんな武器を買うの?」

 「とりあえず、響でも使える近距離用の装備が欲しいな。」

 「え、私の?」

 響は驚いたように自分を指差す。

 「必ずしもお前の近くに敵が来ないとは言い切れないだろ。ないとしても持っておいて損はない。」

 そう言って俺は棚を見る。

 響はいくら銃の扱いが上手いからと言ってもそれ以外は普通の女子だ。直剣などの少し大きい武器は持たせられない。

 「・・・響、これなんてどうだ?」

 俺は一本のナイフを持って響に見せる。

 それは刃渡り15センチほどの戦闘用ナイフだった。

 それを鞘から抜いて響に渡すと興味深そうに眺める。

 「どうだ、使えそうか?」

 渡されたナイフを響は振ったり構えたりしてしばらく考える。

 「・・・思ったよりも軽いし使えると思う。」

 「そうか、じゃあそれにするか。」

 俺は響からナイフを受け取り鞘にもう一度納める。

 「カズハは何か買うの?」

 「あー、そうだな。」

 今日の昼食や夕飯もあるしあまり高い買い物は出来ない。

 つらつらと棚を見ながら歩いているとふと、格安品と書かれた木箱が目にはいる。

 「店主、これは?」

 俺は木箱を指差してカウンターに立っていた店主に聞く。

 「ああ、それは駆け出しの鍛冶師やもう処分する武器や防具を格安で売ってるんだ。」

 「ほぉ。」

 俺は何個かある木箱をあさっていく。

 そこでひとつ、大きい袋があるのに気づく。そこには投げナイフと書かれており同じようなものが何個もあった。パッと見一袋50本位入っていた。

 値段を見ると一袋20シルバーと書いてある。

 何かに使えるかもしれない。そう思って俺はその袋を木箱から出して地面に束ねて置いた。

 その他にもガンレットと砥石、投げナイフ用のホルスターなどを見つけた。

 「響、決まったからそろそろ良いか?」

 「あ、うん。」

 俺は買うものをカウンターに持っていった。

 買ったものは投げナイフの袋を一つ、響用のナイフと予備のナイフ二本、ガンレット、砥石二個、投げナイフのホルスターを腰用一つと胴体用一つ、そして脚用を二つ買った。

 「全部で1200シルバーだ。」

 俺は《賢王の財宝袋》から硬貨を取り出して店主に渡す。

 「ちょうどだな、毎度。」

 俺は会計を終えてナイフを響に渡してそれ以外をすべてブラックボックスの中に入れた。そして設定を呼び出して操作をする。

 「何してるの?」

 「ん?、これは今投げナイフをコピー機能に登録してるんだ。」

 「え?!、そんな便利なものがあったの?」

 響は声を上げる。何にか勘違いしているようだ。

 「これは少年兵の消耗品である武器や防具を供給するための機能だから基本は複雑な設計のものや食べ物などの金属以外で出来たものはほとんど複製出来ないんだ。」

 「でも、エンジンブレードやパソコンとかはどうして作れるの?」

 「通信端末やエンジンブレードなどは設計図がインプットされてるけどその他はないんだ。だからただの剣やナイフとかじゃないと複製出来ないんだよ。」

 「へー、なるほど。やっぱりすごいね。四次元ポ○ットみたい。」

 「なんだそれ、よくわからないがおそらくそれだろう。」

 響の突然の例えに俺は訳もわからず頷く。

 「とりあえず買うものも買ったし行くか。」

 「うん。」

 そう言って俺たちは店を後にした。

 

 それから大通りに出て昼食を済ませて休んでいた。

 「ねえ、ここからどうするの?」

 響が飲み物の入ったカップを片手にそう言った。

 「宿を探すか、それで次のことについて考えよう。」

 「わかった。」

 そう言って俺たちはカップに入っている飲み物を飲み干して席を立つ。

 「どうやって探すの?」

 「まあ、しらみ潰しだな。」

 「計画性ないね・・・」

 「いや、全く知らない土地の全く知らない国であてがあったらむしろ凄いと思うぞ。」

 俺は呆れた声で答える。

 「それもそうか。」

 響はそう言って笑った。

 大通りに出てあたりを見回すがそれらしき看板はない。

 近くの人間に聞くのが早いか。

 俺は手近な女性に声をかける。

 「すみません。この辺に宿ってありますか?」

 女性は俺の言葉にパァと顔を明るくする。

 「宿をお探しなんですよね!?、だったらうちへ来て下さい!!」

 女性は俺の手を握って嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねる。

 「私はフィールと言います。宿屋猫八亭で働いてるんです。客引きに失敗したら給料カットされるところだったんですよぉ、人助けだと思って!」

 「わ、わかりました。行きます、行きますから離してください。」

 なぜか後ろで響が不機嫌そうに俺を見ている。だから、早く離してほしかった。

 「ありがとうございます!!、ではこちらへ。」

 俺は引きずられるように歩く。俺の後ろをついてくる響が俺の手をやけに睨んでくる。

 「どうした響、俺が何かしたか?」

 「別に、何も。」

 響は俺と目を会わせようとしない。

 よく見ると俺の手を掴んでいるフィールの手を睨んでいるようだった。

 それがなぜ、不機嫌に繋がるかはわからないがこれが由来魏博士の言っていた『女心』と言うやつなのだろうか。たしかに、こうやってみると難しい。

 俺は若干不本意だなと思いながら響にどうやって機嫌を取り戻してもらうか考える。

 「着きました!、ここです!」

 フィールが突然止まり目の前の建物を指す。

 そこにはベッドの絵の看板がある大きな建物だった。

 俺はフィールに連れられるがまま建物の中にはいる。

 「女将さん!、お客様を連れてきました!!」

 フィールが女将さんと呼んだ先にはカウンターで洗い物をしている四十代位の女性がいた。

 「おお、いらっしゃい。私はここの女主人をしてるイタリカさ。あんた強引に連れてきたりしてないだろうね?」

 「してませんよ!、ちゃんと宣伝をして来てもらったんですから!」

 半ば強制だったような気がするが・・・。響も同じことを思ったのか目をそらして苦笑している。

 「あ、そういえば名前を聞いてませんでした!」

 フィールが思い出したかのように言う。

 「えっと、俺がカズハでこっちが・・・」

 「響です。」

 「カズハと響か、珍しい名前だね。」

 「旅のお方なんですか?!」

 「ま、まあ、そんなところです。」

 ぐいぐい近付いてくるフィールに俺は後退りをする。一層不機嫌になった響を横目に俺は大きなため息をつきそうになりそれを必死に飲み込んだ。

 「と、とりあえず部屋に案内してもらえませんか?」

 「ああ、そうだね。何泊だい?」

 「一泊だけ。」

 「たったそれだけなんですか?」

 フィールが寂しそうな声で言った。

 「こらフィール!、お客様にも事情ってもんがあんだよ!」

 「は、はい!すみません!!」

 「わかったら部屋に案内してやんな!!」

 「わかりました!、こ、こちらです。」

 イタリカに怒られてプルプルと震えているフィールに少しだけ同情しながら俺はあとをついていった。

 

 「ここが部屋になります。夕食は下の酒場が夜に開くのでそこで食べられます。それではごゆっくり・・・」

 フィールは怒られたのがショックだったのか見るからに落ち込んだ様子でそう言った。

 「えっと、これを良ければ・・・」

 俺はなんだか放っておけなくなって思わずポケットに入れていた200シルバーを渡す。

 「ふぇ?!、そ、そんな大金頂けませんよ!!」

 「あ、いや、じゃあチップだと思って。生活費の足しにでもしてください。」

 フィールは涙目になりながら俺の手に飛び付いた。

 「ありがとうございますカズハさん!!。この恩と出会いは一生忘れません!」

 「いや、そこまで・・・」

 言えなかった。たまたまポケットの中に入っていたから渡してしまっただなんて。

 そして嬉しそうにするフィールと平行するように響の顔が不機嫌になる。

 どうやらフィールが詰め寄ったり俺の手を握ったりすると不機嫌になるようだ。なんとなく法則がわかってきた。

 「それではまた夕ご飯になったら呼びに来ますね!!」

 そう言ってフィールは嬉しそうに走っていった。

 「・・・部屋に入るか。」

 「うん。」

 どっと疲れた体を引きずるように部屋の中に入る。

 部屋は思ったよりも綺麗でベッドもちゃんと二つ用意されていた。

 「さてと、響、どうしたら機嫌を直してくれるんだ?」

 ムスーとした響に俺は呆れた声で訪ねる。

 「別に、機嫌悪くなんてないし。」

 「いや、明らかに怒ってるよな?、俺がなんかしでかしてるなら言ってくれ。じゃないと直しようがない。」

 響は言いにくそうに下を向く。

 「・・・わかった。じゃあこうしよう。どうしたら許してくれる?」

 響は少し考えてから顔を上げる。

 「・・・手を、握ってほしい。」

 「はぁ?」

 俺は思わず間抜けな声を出してしまう。

 「たったそれだけか?」

 「・・・うん。」

 わりと本気で『女心』ってのがわからなくなってきた。

 響は顔を赤くして手を差し出している。俺はそれを包むように握った。

 響は顔を真っ赤にしているがなぜか幸せそうに息をつく。

 「・・・何がそんなにいいんだ?」

 ただ手を握っているだけなのに。だが、たしかに安心はする感覚だった。

 人肌というのは人を安心させると何かの本で呼んだことがある。

 「わからない。でも、なんだか胸がぽかぽかする。」

 なるほど、わからん。

 だがしかし、響が幸せそうにしているのでこれ以上無粋な突っ込みは不要だろう。

 響は俺と同じように幼くして親を失った。そしてまわりの環境もあんな風立ったからか愛情に飢えていたのかもしれない。昔、まだ施設にきてすぐの頃、由来魏博士が俺にそう言っていたのを思い出した。

 『カズハには親からの愛情が足りないから代わりに私があなたにあげる。』と、そういって俺の頭を撫でた。

 「・・・か、カズハ?!」

 俺は無意識のうちに空いていた方の手で響の頭を撫でていた。

 「あ、すまん。」

 俺は手を離そうとしたが響が撫でていた方の手を掴んで止める。

 「響?」

 「も、もうちょっと。な、撫でて・・・?」

 恥ずかしそうにそういう響に俺は断ることが出来ず頭を撫でる。

 響は親が死んだことを乗り越えられたようで思うよりも乗り越えられていなかったらしい。

 今日ぐらいは良いかと俺は響を撫で続ける。

 由来魏博士は俺にこうしたかったのかもしれない。

 俺の中にある《人間》は響を見ながらとてつもない幸福感と安心感を覚えていた。

 

 あれから数時間たち、お互いに落ち着いて武器の調整などをしていると扉がノックされる。

 「フィールです。そろそろ夕ご飯をと思いまして、呼びに来ました。」

 「今行きます。」

 俺はそういうと武器をしまって扉を開ける。

 「こんばんは!、ご飯を食べに行きましょう!!」

 俺が部屋から出てくるやいなや俺の手を掴んで引っ張るフィール。

 元気すぎるだろこの人・・・

 響がまた不機嫌になるかと後ろを見るが今回はそうでもないらしい。さっきまでのが効いたのだろうか。

 俺たちはそのまま部屋に鍵をかけ最初に入ってきたロビーへと向かう。

 「女将さんの作る料理は絶品なんですよ!!」

 廊下の途中、フィールは誇らしげに言った。

 「お二人もきっと気に入ると思います。」

 ロビーにつくとそこは昼とはまるで別の場所のように人で賑わっていた。

 これが世に言う酒場のようだ。

 「席は取ってあります、こちらへどうぞ!!」

 俺たちは案内されてカウンターの端の席へ座る。そして当たり前のように俺のとなりへフィールが座った。

 「・・・何でフィールさんも座ってるんですか?」

 響が目を細めて声を低くしてフィールに聞いた。しかしそれに答えたのはフィールではなく女主人のイタリカだった。

 「カズハさんがチップをくれたからさ。うちの伝統でね、善意でチップをくれたお客さんにはお酌をするって言うね。まあ、たっぷり食べていってくれよ?、サービスするからさ。」

 「そう言うことです!、食べましょうカズハさん!!。あ、これメニューです。」

 フィールは俺にぐいっと近づく。

 「あ、あの、あんまりくっつくと暑い・・・」

 「フィールさん、食べにくいので離れてください。」

 俺には響のまわりだけ急激に温度が下がったように感じた。

 それに動じないフィールは俺の腕に抱きつく。

 「え?!」

 「ふっふっふ、響さん、もしかして嫉妬してるんですかぁ?」

 明らかに悪のりしているフィールをどう振りほどこうか考えていると反対側の腕にも同じような重みが引っ付く。

 「わ、私だって、これくらいできるし。」

 「ちょ、響?!」

 挑発に乗ったのか響まで対抗して抱きついていた。顔が真っ赤なのを見ると恥ずかしくても無理しているのだろう。

 「はは!、モテモテだねーカズハさん。こりゃサービス分も注文してもらわないとね。」

 イタリカが茶化すように笑う。

 「いや、茶化す前に助けてくれませんか?!」

 俺は心の底からそう叫んだ。

 

 食事が終わり部屋のベッドに体を投げる。

 料理はどれも美味しかったがそれ以上にどっと疲れた。酒を飲んで加速したフィールとそれに張り合おうとする響が俺を想像以上に苦しめた。

 今、響は風呂に行っている。俺は疲れたので部屋に戻ってきた。

 明日はついに城に乗り込む日だ。

 できることはある程度したが、やはり情報が少ない。響もいるから一人だけで突っ走ることも出来ない。

 特攻兵だった頃とは違うのだ。

 「前みたいには出来ないよな・・・」

 天井を見ているとジリジリと睡魔が襲い掛かってくる。

 今は休もう。明日は大切な日だ。

 彼らとの《約束》は守らなければならないから。

どもども、神刃千里です。

いやー、やっと一区切り着きましたね。いや、全然終わってないんですけど。

という訳で後編です。と言っても皆さん、読んだ方なら「は?」と言いたくなるような終わりかたになってますね?

そうですね、すみません。実はこれ、ちゃんと書くとあと二話分位必要なんです。なのでこの章は一旦区切りとして接ぎに王国の話はスパッと終わって出来ればこの世界出たいなー、なんて思ってます。計画性なくてすみません。

なので出来れば待っていただけると嬉しいです。僕も頑張るので。

では、次でまたお会いしましょう。僕が最近ハマってる紅茶クッキーをつまみつつ・・・

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