14 傲慢なる黒龍と英雄たちの選択1
夏休みとは・・・?(哲学)
霧が晴れると同時に目を開けるとそこには黒い龍と道化師のような仮面をつけたアラガントが立っていた。
『これが・・・、素晴らしい!!。フハハハハハ!』
黒い龍がそう言って笑う。おそらくあの龍がアーザクなのだろう。
「いやぁ、この世界にある魔具とやらは素晴らしいですねぇ。ただの人間をこんな姿にまでしてしまうとは・・・全く、これを作ったこの世界の英雄とは本当に恐ろしいですねぇ。」
話を聞く限りアーザクが自身に突き立てたナイフは人を龍に変える魔具でそれを作ったのはブゲルと同じ戦争から帰還した英雄らしい。
『さて・・・王の慈悲だ。出来る限り楽に死なせてやろう。』
そんな頭の中に直接響くような声と共にアーザクは吠えた。
「響、あまり扉付近から動かないようにしろ。あと絶対にパラディンシールドを切らさないようにしとけ。」
「わ、わかった。カズハも気をつけてね。」
俺はその言葉を聞いてから地面を勢い良く蹴った。もうすでに身体強化魔法はかけてある。
アーザクは向かってくる俺に向かって黒い炎を吐く。俺はそれを切ろうと高周波ブレードにしたレーヴァテインを振るがまるですり抜けるかのように刀身を抜けて俺に襲い掛かった。
「なっ!?」
そのまま身を焼く感覚に襲われながら俺は衝撃で後ろに転がる。
『フフフ、甘いなワールドセイバー。全ての炎が燃えていると思うな。』
そう言ってアーザクは笑った。正直何を言っているのかわからない。炎が燃えていないとはどういう意味なのだろうか。
そう考えてみるが相手は考える暇など与えないと言うかのように追撃を始める。
俺は黒い火球を転がるように避けた。
「あちらは大丈夫そうですねぇ。それでは私はそちらのお嬢さんを排除しておきましょうか。」
黒い火球を避ける俺をちらりと見た後そう言いながらアラガントは響の方へ動いた。そんなアラガントを睨みながら響は銃に弾を込める。
「あらあら、そんなに怖い顔をしないでくださいよ。」
そう言って近づくアラガントから目を離さずガチャンとレバーでコッキングをした。
「まあ、私は彼と違って強くて賢いので・・・」
距離約二メートル強の場所でアラガントは身をかがめるような動作をする。
「貴女のこと、特別に一瞬で楽にしてあげます・・・よっ!!」
アラガントは長い爪を立て背中に生えた黒いコウモリのような翼を力強くはばたかせ響に向かって一直線に加速する。
「・・・なるほど、だから傲慢なのね。」
そう呟いて響は薄く笑った。その瞬間、アラガントはガキンと鈍い金属音のような音を立てて響の目の前で止まった。
「なに!?、まさか魔法を所持していたのか!?」
そんな報告は受けていないとアラガントは血相を変えて叫ぶ。そんな姿に響は目を細めて言った。
「本当に気づいてなかったのね・・・呆れた。」
響はそう冷めた声で言い放って構えていた銃の引き金を引いた。銃声と共にアラガントの右胸に穴が開きそこから赤い液体が噴き出すように飛んだ。
「くっ!」
後退しようと翼を広げたアラガントを睨み響は広げられた翼の根本を正確に撃ち抜く。
「・・・ゲームの知識って意外と役に立つのね。たしかあのゲームのボスもこうやって落としてたっけ。」
そう言って少し笑いながらアラガントを見た。アラガントは先ほどとは逆に響を憎らし気に睨んでいた。
「ただの人間の小娘だと思って見縊っていました・・・ならば!」
アラガントは右手を上げて指を鳴らす。
すると地面から謁見の間の前で倒したはずの英雄達の意識だった。
「噓、さっき倒したはずなのに!」
先ほどまでの余裕は消え去り響の顔は驚愕に染まる。
「アヒャヒャヒャ!!、さあいけ蛮神!、その防壁魔法を破壊してその小娘を殺せ!!」
高笑いをしながらそう叫ぶとヒーローズ・スピリチュアルは溶けるように消え、一瞬にして響の目の前に立った。響は驚きのあまり後ろに転び尻餅をつく。
やられると響は咄嗟に目を閉じた。が、ヒーローズ・スピリチュアルは何かしてくるどころか響にまとわりつくように触手のような黒い何かを響に伝わせていた。
何が起きてるかわからずただ黙って座り込んでいる響にヒーローズ・スピリチュアルは顔のようなものを近づけ呟いた。
『・・・オカアサントおんなじニオイがすル』
瞬間、ヒーローズ・スピリチュアルは光に包まれて写真でみたミーナと同じ姿になった。
『おねえちゃん、おかあさんとお知り合いなの?』
「う、うん。」
まるでテレパシーのように話しかけてくる少女に響は困惑気味に答える。
『あ!、それおかあさんが作ったやつだ!』
少女は嬉しそうにそう言って響のもつ銃を指さす。そんな姿に響はコクコクと頷くことしかできない。
そんな風に少女が楽しむ後ろで我に返ったのかアラガントが叫ぶ。
「な、なにをやっている!!、早くそいつを殺せ!!」
『ウルサイ!、邪魔しないで!!』
そう叫ぶと背中からでた黒い何かがアラガントを殴り飛ばした。かなり強く殴られたのかアラガントは軽々と吹き飛び壁に叩きつけられ動かなくなった。フィア・シャドウのように消えないからおそらく死んではいないだろう。
『おねえちゃん、私たちにできることはない?』
「え?」
突然の言葉に響は素っ頓狂な声を上げる。
『英雄のおにいさんたちがね、おねえちゃんが導いてくれるって。おねいちゃんが俺たちの目的を知っているって、ずっと泣いてるの。』
そう言われて響はふとカズハの方を見る。
彼は全身傷だらけでアーザクと戦っていた。見た限り状況は明らかによくはないだろう。
「・・・じゃあカズハを、あのお兄ちゃんを助けてあげて。」
そう言って響はカズハの方を指した。その先を追うように少女は目を向ける。
『・・・あのドラゴンの名前は?』
ふとそんなことを呟く少女に響は少し考えてから口を開いた。
「あいつはアーザク・フリデンテ。この国の王様・・・らしい。」
響がそう言った瞬間、ピキリと空気が張り詰める。よく見ると少女から表情が消えていた。
『・・・王だ、憎キ王だ。滅ボスベキオウだ。憎い、憎い、ユルサナイ。』
そう言いながら少女の姿は溶け、黒い怨念へと姿を変えていく。
そんな怨念がふと響きの方を向いた。
「おねえちゃん、おにいさんたちがありがとうだって!」
その声はミーナそのものの声だった。
そしてそんな時間も一瞬、英雄達の怨念の塊と化したヒーローズ・スピリチュアルは勢い良く前を向く。
『ばdhjgvだうはdhがjひうあdgじゃふあkはうえg!!!』
それは言語にならないような不気味な叫びを上げてアーザクとカズハの方に飛んだ。
響は少しふらつきながらも立ち上がりコッキングをした。
「・・・ありがとう、ミーナちゃん。」
そう呟いてクリスタルの中に映る黒い龍を狙い、引き金を引いた。
どもども、神刃千里です。
最近連載が四つになり、おそらくそのうちにどれか打ち切っちゃうんじゃって何となく心配です。まあ、僕が血を吐きながら勉強と両立させれば良いだけの話なんですけどね?
それでは次もぜひ読んでください!




