蒼空の英雄の誕生
この小説に興味を持っていただきありがとうございます。
これからもかもしれませんが少し短いです。
初投稿なので生暖かい目で見てやってください。
誤字脱字などは指摘してくださると嬉しいです。
2018/6/1 誤字修正しました。
警報がなり目を覚ます。
見慣れた天井に硬いベッド。
すぐに服を整え走り出す。
指令書を受け取り作戦の場所と時間、配置などを確認する。
武器を手に取りシャッターの前まで走る。
大人たちは口を揃えて「敵は殺せ」と俺たちに教えてきた。
自分でもそれが当たり前だった。
殺られる前に殺る、それが俺たちの絶対のルール。
これは《戦争》、国同士の大きな《喧嘩》、とても下らない。それでも生きるためには戦わなきゃいけないから。
だから、俺は戦場を駆け、剣と銃を使って敵を殲滅していく。
これは、蒼い空で守りたい物のために戦い、どこまでも紅く染め上げることでしか守れなかった少年兵の話。
《戦場》、そこはまさに地獄そのものだった。
当たり前のように死体が転がり、ただ永遠と続く焼け野原には無数の剣が突き刺さっている。
身体中全てを蝕むような鉄の臭いの中で走って敵を撃ち、斬りつけていた。
「・・・っ、今日はやけに多いな」
思わず呟いてしまう。それでも今日の敵の数は少しおかしい、いつもの倍ほどがあった。
機械兵たちのモーター音が響く、もう何度聞いたかわからない。
それがいつにも増して騒がしく俺の鼓膜を叩いていた。
「作戦に支障がなければ続行、自分の判断で動け。」
無機質な声が冷静さを呼び戻す。
「黙ってろ、ガリア、俺は俺のやり方で敵を殲滅する。」
こいつはガリア、《エリヘンヤル リアルサポート》通称ER、俺たち少年兵のメンタルサポートや指示、監視や調整などをする人工知能プログラムだ。俺は昔からこいつがどうも気にくわなかった。
「E-5627番、カズハ・ブルーローズ、撤退命令だ、座標0に戻れ。」
「ちっ、その名前で呼ぶなといつも言っているだろ」
仕方なく俺は拠点に向かって走り出す。それと同時に武器をストレージにしまって、代わりに手榴弾を取り出す。
「手榴弾の使用許可を申請」
「了解。本部からの通達を確認、使用を申請する。安全を確認し、確実に敵を殲滅しろ。」
「あたりまえだ!」
ピンを引き抜き力一杯投げ飛ばす。手から離れた手榴弾は放物線を描きながら機械兵たちのど真ん中に落ちて大量の熱と爆風を帯びて破裂した。
「敵、約19体の消滅を確認、ナイスアタックだ、カズハ。」
何故こいつはわざわざ人のことを名前で呼ぶのだろうかと心底うんざりしていた。まぁ、名字をつけられなかっただけましな方だろう。
基地に戻るとポイントが加算されるのを呆然と眺めていた。
このポイントは俺たちの金みたいなものでこれを使って娯楽品や装備などを買うことができる。まあ、俺は使ったことがないからわからないが。
「お帰りー、相変わらず強いねー、さすが我が部隊最強ソルジャーくんだね。お姉さん感動しちゃうよ!」
「心にもないこと言わないでください、由良魏博士、あなたと違って俺はただの兵士なのであまり話さないほうがよろしいかと。」
「まあまあ、そう硬いこと言わないで、カズハくんも何かポイント使って装備を買ってくれると嬉しいなー、なんて下心は微塵もないよ?」
「せめて口には出さないようにしてください。」
彼女は桜野 由良魏、この基地の兵器開発の第一責任者であり、自称俺の姉である。俺たちのような少年兵は階級では一番下に当たるからどれだけ親しくても敬語は欠かせなかった。
「いやー、いつも戦っている時はイキイキしているのにどうしてそんなに他の人と話すときはそんなにドライなのかなぁ、お姉さん悲しくなっちゃう。」
「ここでフレンドリーな奴なんてそうそういませんよ、それにしてもここに来た理由は俺を出迎えるなんてためじゃないですよね?」
「そうそう、察しがいいねー、私のことお姉ちゃんって呼んでくれたら教えてあげる。」
「事務関係のことにあまり私利私欲を入れないほうがいいですよ。」
「はい、ゴメンナサイ・・・」
全く、これだからこの人は少し苦手なのだ。
「今度の新装備なんだけどね?、まだ試作品なんだけど、カズハくんみたいな近距離特攻兵が使うタイプの武器なんだ。」
「近接武器なんて、支給品のエンジンブレードやソルジャーナイフで良いじゃないですか。」
「それがね、相手がただの鉄の機械兵ならいいんだけど、最近なってレアメタルなどでできた強力な機械兵、我々は王国騎士と呼んでいるんだけどそいつらはそこらの強化金属で作ったうちの武器では切れないらしいのよ。その上他とは違う特殊な装備をつけていたりとまさにゲームの中ボスってわけ。」
「王国騎士か・・・、皮肉なものですね。」
「全くよ、名前はアルセーノ"帝国"なのにね。」
俺も王国騎士についてのことは同僚の報告から聞いたことがあった。様々な形や色、武器を所持しており、他の機械兵と比べて圧倒的な強さを誇る、最強レベルの帝国製機械兵らしい。今までも何人もの兵士が死んでいると言われたがそのときの俺は都市伝説の類いか何かだろうと聞き流していた。
「そんな、王国騎士に対抗するために特攻兵の成績トップレベルの兵士たちのために造っているのがこの高周波ブレード、その名も《レーヴァテイン》なのだよ!」
「はぁ、また面白いネーミングセンスですね。」
「なんで?!、格好いいだろ?、噂によるとこの王国騎士は神殺しの異名がついているらしじゃないか、だから神殺しの剣が一番いいと思ったのだよ。」
「いい加減その中二病を治してください、業務の邪魔になりますよ?」
「うぅ、カズハくんが辛辣過ぎてお姉ちゃん泣いちゃう・・・」
真面目に仕事すれば凄いのに、残念な天才だった。
「おっと、そろそろ私の休憩時間が終わってしまう。次は完成してから君に使ってもらうことになるからよろしくー。」
「はぁ、よろしくお願いします。」
彼女はいそいそと研究室に戻っていった。
新しい機械兵、これが今日敵が多かった原因かもしれない。
「カズハ・ブルーローズ、部屋に戻り食事を済ませて待機と上からの命令だ。」
「うるさい、せめてカズハと呼べ、ブルーローズと言うな。」
「全く、我が儘だなカズハ。」
「うるせえ、ほっとけ。」
最後の会話が一番疲れた。
食事と健康チェックを終えて俺はベッドに横になり天井を見ていた。
「浮かない顔だな、カズハ」
「ロボットにも人の表情が読めるんだな。」
「まあ、メンタルサポートが仕事だからな。」
こいつとは最近組まれたばかりで、まだ組まれてから一週間しかたっていない。俺はずっと一人でやっていたから常に自分の近くにいるこいつは少し苦手だった。
「あまり俺の近くを飛ばれると邪魔になるからやめてほしいんだが。」
「だからカズハの右斜め後ろを極力飛ぶようにしているのだろう。」
「解ってはいるが、正直鬱陶しいからな、お前。」
「そうか、私なりに視界に入らないように努力していたのだがな。」
ロボットでも落ち込めるのかと彼らAIロボットの感情について少し疑問をもった。
「しかし、大丈夫だ、その分のサポートをしっかりとさせてもらう。」
「ぶれないな、お前。」
「カズハ、ぶれないとはどういう意味だ?」
「変わらないということだよ。」
そのまま、部屋の電気を消してベッドに体重を預けた。
「例のものの調整は済んだか?」
暗い部屋に老人の声が響いた。
「ええ、いつでも潰せますよ。」
男はクククッと怪しい笑い声をあげる。
「まだだ、例の日になったら座標0を潰しにいく。それまでに万全にしておけ。」
「かしこまりました。皇帝閣下」
男はスッと敬礼をすると機械の調整に戻った。
「絶対潰してやるぞ、我が忌まわしき一族、《ブルーローズ》・・・」
皇帝閣下と呼ばれた老人は強く拳を握りしめ、廊下の闇に消えた。
エリヘンヤル、それは国のために戦う正義の使徒、俺たち少年兵はこの呼び名を誇りに思い戦神ハルハセーノの名の元に敵を殲滅する。
そんなことを軍校時代に教わった覚えがあった。
神に祈ったのなんてもう何年前だろうか。いつの日か俺は神なんて信じなくなってしまっていた。
「起きろカズハ、起床時間5分前だ」
耳元から機械らしい無機質な声が俺のモーニングコールになる。全然嬉しくなかった。
「ああ、おはようガリア、今日は任務はなかったはずだが。」
「由良魏博士からメールが来ている。『徹夜して頑張ったら《レーヴァテイン》、完成しちゃいましたー!、ぜひ取りに来て下さい。眠りながら待ってまーす。』だそうだ。」
ガリアから楽しそうなボイスメールが流され俺の頭を覚醒させる。
「相変わらず、頭だけはいいんだもんな。」
「それには私も同意だ、世界とは理不尽だな。」
初めてこいつと意見が合ったような気がした。
研究室に入ると由良魏の助手である佐野さんが出迎えてくれた。
「おはようカズハくん、早めに来てくれて助かったよ。」
彼は見た目も中身も爽やかな好青年である。でもいつもの爽やかさはなく目の下にはひどいくまが出来ていた。
「博士は先に寝ちゃってね、カズハくんが来たら起こして欲しいと言われたから寝るに寝れなくてね、コーヒーをがぶ飲みしながら待っていたわけだよ。」
佐野さんが急に可哀想に見えてきたんだけど。と俺は由良魏博士に振り回されている佐野さんを想像しながら同情していた。
「すまないがカズハくん、博士を起こしてくれないか?、僕じゃどうしても起きなくて。」
「わかりました。博士はどこですか?」
「あっちの仮眠室で寝てます。」
そのまま仮眠室の扉を開け電気をつけた。そこには幸せそうに眠る由良魏博士の姿があった。
「由良魏博士、起きてください。カズハです、来ましたよ。」
「うぅん・・・、にゃー・・・」
反応はするが起きる気配が全くない。
俺は最終手段を使うことにした。
「今からやることは絶対他の人に言わないでください。」
「うん?、わかった。」
「了解、今から起こることにメモリーロックをかける。」
そして俺は由良魏博士の耳元に近づきスーッと息を吸い
「お姉ちゃん」
とささやいた。すると
バサッ
由良魏博士は勢いよく起き上がるとブンブンと辺りを見回した。
「アイエェナンデ?!オネエチャンナンデ?!」
「おはようございます、由良魏博士、人のことを呼んでおいてなにぐっすりねむっているんですか。」
「あ、おはようカズハくん。ってそうじゃないんだよ!、今私のことお姉ちゃんって呼ばなかったかい?!」
「ん?、呼んでませんよ。夢かなんかじゃないですか?」
「あー、また夢か!、忌まわしき夢め。くそぉぉぉ」
「カズハくん、これどうゆう原理なんだろ。」
「深く考えないほうがいいですよ。脳が変態に犯されてしまいます。」
「相変わらず博士には容赦ないね。」
佐野さんは苦笑いしながら俺の肩を優しく叩いた。
「ほら博士、カズハくんにレーヴァテインを見せてあげないと。」
「はっ!、そうだった、完成したんだよ。」
それは聞いたと言いたかったがあえてつっこまなかった。
「だから来たんですよ、それで完成品はどこですか?」
「実技実験室にあるからついてきてくれるかい?」
俺はその言葉に頷き由良魏博士のあとを歩いていく。
「相変わらず広いですね、基本入れないからこうして見ていると新鮮ですね。」
「ここには軍事機密が多いからねそう簡単には人が入れられないんだよ。中には国家機密レベルの技術も扱っているからね。」
と佐野さんは笑いながら言った。
「確かワープホールの技術もその一つでしたよね。」
「あぁ、時空開口制御システム、略してワープホール。君たち兵士が使っているストレージの元の技術だね。」
ストレージ、俺たち兵士が自分の予備の弾や武器をいれたりするためのバックパックのようなものだ。俺たちへの食料供給もここから行われている。
そうこう話しているうちに実技実験室にたどり着く
「ささ、入って、飛びっきりいいものなんだから早く使ってほしいな!」
由良魏博士の口調はとても楽しそうで相当の自信作なんだろう、とそんな感想を抱いた。
厚い強化アクリル板の扉が開きその部屋の真ん中には一つのスーツケースのような箱が置いてあった。
「これが対王国騎士用高周波ブレード初期モデル《レーヴァテイン》だよ。」
佐野さんがそっとケースを開けると中には漆黒の鞘に包まれた剣が入っていた。
「全体的に黒が目立つ感じですね。格好いいですけど。」
「だろだろ?、まぁ、これは素材的に仕方なかったんだけどね。これにはカリリウスライトという金属を使っているんだよ。多分この世界の中で一二を争うぐらい硬く、衝撃吸収力にも優れている希少金属なんだよ!、どうだい!、これだけでも十分強そうだろ?!」
由良魏博士は目を光らせ鼻息を荒くしながら俺にマシンガントークをぶつけてくる。
「まあ、まずは鞘から抜いてみてくれるかい?」
佐野さんに言われて俺は鞘から剣を抜いてみる。そこから出てきたのは血管のように線が入った黒く美しい刀身だった。
「この高周波ブレードはそのままでも剣として使えるけれど、本当に高周波ブレードとして使うには使用者の血液が必要なんだ。」
「え、血ですか?、それって俺死なないですよね?」
俺たち特攻兵たちに取ってほんの少しの隙でも命取りになる。ましてや貧血なんかで敵を目の前に視界がくらみでもしようものなら大きな隙となってしまう。
「大丈夫だよ、使うのはほんの2,5㎎ぐらいだから。」
「何ですかその微妙な数字。」
なんだか無性に嘘臭く感じてしまう。
「これがレーヴァテインのためられるエネルギー量の限界なんだよ。血が1㎎で大体二時間ぐらい動くから一回の補給で五時間ぐらいぶっ続けで動くね。めっちゃ燃費いいんだよこれ。」
由良魏博士は誇らしげに胸をはった。
「なるほど、まあ、それぐらいの血の消費なら戦闘にあまり支障はないでしょう。」
多分これで消費する血よりも傷から流れてる量のほうが何倍も多いだろうからよっぽどは大丈夫だろう。
「血は、ハンドルのところにある極小液体管が大動脈から体を傷つけないように取り出してくれるから大丈夫だよ。」
傷がないなら尚安心だ。正直毎回痛みを被るのは嫌だからな。
「あとは、エネルギー残量がわかるメーターがこの時計ね」
由良魏博士が渡してきた時計には小さい液晶画面がありそこには帯状メーターとパーセント表示が合った。
「これは太陽光電池だからできるだけ日に当ててね。」
「ずいぶん懐かしい技術を使うんですね。」
「こっちのほうが他のエネルギーよりも何倍も実用性があるからね。人間、過去を振り返ることも大事だよ!」
「そうですね。で、あとは?」
「スルーされた?!、私今すごく良いこと言ったのに!」
ここは触れないほうがいいだろうという俺なりの気遣いなのだが、お気に召さなかったらしい。
「うぅ、あとはー、鞘に納めたらエネルギー消費がなくなるのと、時計のスイッチで高周波ブレードのオンオフを切り替えられることかな。」
「へー、意外と単純設計なんですね。」
「まあ、戦いの中で使うものだしあんまりごちゃごちゃするのはよろしくないからね。」
俺としても単純設計なのはとても助かる。囲まれたときや大型兵器と戦う時はそんなにゆっくりと考えている余裕がないからこれは嬉しい機能だった。
「かなり説明が長くなってしまったけど早速使ってみてくれるかい?」
「わかりました。」
俺は頷きいつもどうりに構える。
「重さはあんまりエンジンブレードと変わらないんですね。」
「まあ、カリリウスライトがそこまで重い金属じゃないからね。」
そして握ってみると何か手首に違和感を感じる。すると時計にあるメーターがみるみる赤色になりその上に100%の文字が出来ていた。
「おお、こうやって血を取るんですか、多少こそばゆさがあったけれどそこまで気になることはないですね。」
「気持ち悪いとかがなければ大丈夫だと思うよ。それで時計のスイッチをオンにしてみてくれ。」
俺は言われたとおり時計の横にある小さなスイッチを押してみる。すると刃の部分と血管のような線が赤色に光った。その赤色は鮮やかで紅に近い色だった。
「これで周波を生み出してどんな硬い物でも切れるようにするのさ。」
とりあえず人がいない方にむけて軽く振ってみる。やはりあまりエンジンブレードと変わらず変わってるのは空気抵抗が少し減って振った時に空気が振動するような感覚が合った。
「一応実験では王国騎士に使われているというコバルトとアダマンタイトを切ってみたが普通に切れた。しかし同じ素材のカリリウスライトが切れなかった。」
「というよりは敵がカリリウスライトの装備をしていた場合、かなりの苦戦が予想されると。」
「そういうことになるね。でもカリリウスライトはかなりの希少金属だ、それこそ作れて防具か武器のどちらかぐらいさ。」
「それに、これを加工する技術があっちにはないはずだからね、多分大丈夫だと思うよ。」
それでも慢心だけはしていけない、奴らの技術力も常に進化している。その証拠に王国騎士が完成したのだから。
「一応ストレージに登録しておいたからいつでも使えるはずだよ。」
「ありがとうございます。」
「よし、これでレーヴァテインの受け渡しは終了かな。うん、もう戻って大丈夫だよ。」
「わかりました。ご希望に答えられるよう、頑張ります。」
すると由良魏博士はいつになく真剣な顔になる
「これから君には特殊兵器を与えられた義務として王国騎士が出現した場合、誰よりも前に立ち敵を殲滅しなければならない。その《レーヴァテイン》と戦神ハルハセーノに誓って逃げることは許されない。それを心に刻みなさい。」
「はい、その言葉心の芯に刻みいくたるときも忘れません。有り難きお言葉、ありがとうございました。」
俺は由良魏博士にしっかりと敬礼をとる。
「あとこれは上司としてじゃなくて一人の、カズハ・ブルーローズの姉として。」
由良魏博士。いや、俺の自慢の姉は俺に優しく微笑んで
「けして無理をしない、そして絶対死なないで。これは私の、貴方の家族としてのただひとつの《お願い》」
全く、どんなときでもぶれないなこの人は。
「ふっ、家族なら俺を信じなよ《姉さん》、絶対死んだりしない。家族を残して死ねるもんか。」
「《約束》だ。」
「っ!、・・・」
由良魏博士は顔をふせ少し黙ってからこちらをバッとむいて
「カズハくん!、もっかい、もっかい姉さんって呼んで!!」
「調子に乗らないでください、俺今日休日なので部屋に戻ります。お疲れさまでした。」
あまり甘やかすと何をするか解らないのでここで退散しておく。
「佐野さんもお疲れさまでした。しっかりと休んでくださいね。」
「ああ、ありがとカズハくん、おやすみ」
俺は部屋から出て自室に向かった。
取り残された二つの人影はただ沈黙の中にたたずんでいた。
「博士、貴方は強い方ですね。」
「弱いわよ。最愛の弟に兵器を渡して戦場に、しかも最前線に送り出すなんて、私なんか一番後ろで研究しかしてないんだもの。」
由良魏の目には涙が浮かびそれが頬をつたり床に落ちる。
「それでも、貴方はカズハくんの前ではけして弱さを見せない。それだけでも十分です。」
佐野は由良魏の前に立ち諭すように言った。それはまるで母親が子供を慰めるような、そんな風に。
「うっ・・・でもあの子に、っ・・国のこと、全部、押し付けて。」
「全部博士が押し付けてる訳じゃないです、子供に頼るしか後がないこの国がそもそも間違ってるんですよ。こんな時はいっそ何もかも上のせいにしてしまっていつもどうり明るい博士をカズハくんに見せてあげれば良いじゃないですか。愚痴でも酒の相手でも今日は何でもしますから。どうせ明日休日ですし。ね?」
由良魏に向かって微笑んでそっと背中をさする。
「グスッ、朝まで付き合いなさいよ・・・?」
「あはは、お酒と頭痛薬、買って来ますね。」
そこには、いつもどうりの二人の姿があった。
警報が鳴り目を覚ます。
レーヴァテインを受け取り一週間ほど経過したある日、耳を叩くような警報が響いていた。
『警告、座標0地点に向けて多量の帝国製機械兵と王国騎士と思われる巨大兵器を確認、上層指令、及び研究員などの非戦闘員は直ちに地下シェルターに避難を。兵士はすぐに武装をし、準備が出来た者から即座に対応してください。E-5627番は特攻兵の指揮をとり、巨大兵器の対応に当たってください。』
「くっ、思ったより早かったな。」
「カズハ、我々も早く行くぞ、他の基地からの情報が本当ならここに王国騎士を近づけるわけにはいかないぞ。」
「わかってる、早く入り口に行くぞ」
俺は即座にストレージからレーヴァテインと防具を出して入り口に向かった。
外を見るとそこはまさに地獄を絵に書いたような場所だった。空は澄んだ蒼色、そこに煙が所々に立ち上ぼり機械兵が壊れる音と人々の悲鳴や罵詈雑言が俺の体を震わせた。
「今までにない量だ、これは完全に潰しに来ているな。」
「敵の索敵をを開始。だめだ、測定不可能。カズハ、一番奥にとんでもないエネルギー反応がする、気を引きしめろ。」
「わかった。ガリア、援護射撃を頼む。」
「ああ、わかった。ER-58、特殊装備の展開許可を申請。オールグリーン。艤装展開、援護用機関銃」
空飛ぶ箱のようなガリアから銃身が三本現れ盾のような装甲が身を包んだ。
「死角は私が守る、カズハはただ一番後ろの敵にたどり着くことだけを考えろ」
レーヴァテインの高周波ブレードをオフにして他の部隊に指示を出す。
「全少年兵につぐ、防衛戦は1200メートル地点にと500メートル地点とする。500メートル地点は絶対に死守しろ。あとけして敵より奥に行くな目の前の敵だけを片付けろ。」
『了解!!』
通信を切り勢いよく走り出す。
目の前に見える機械兵すべてを切りただ、走り続ける。
ガリアは横や後ろから飛んでくる機械兵や銃弾を防いでいる。
すると後ろに巨大な空戦車が見えてくる。
「あれか!!?」
「いや、違う、反応はあの中だ。巨大兵器ではない。この反応は多分人型か人と同じサイズのものだ。」
「なっ、そんな、3つも主力基地を潰した兵器が人型だって?!。ありえないぞ!」
「しかし、この反応はそうとしか言いようがない、高エネルギー反応の形がまさに人と同じ大きさであの空戦車の奥で光ってる。」
「マジかよ、とりあえずあの空戦車に乗り込むぞ。」
空戦車はそう高く飛べない。高くて10メートルぐらいだ、それに今目の前にある空戦車は1メートル飛行だから、簡単に届く。
「ガリア、レーヴァテインで切り裂く、空洞を教えろ。」
「右方向、羽の5メートル下のライトのすぐ下に奥に続く廊下らしき物がある。そこをたたけ!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
俺は勢いよく飛び上がりオンにしたレーヴァテインを振り下ろした。
すると何かの装置に当たったのか壁が爆発し人一人通れるぐらいの穴があいた。
「ここから入ればいいんだよな!?」
「ああ、入って右、奥に真っ直ぐ。大きな道に出たら直線、それでたどり着くはずだ!」
俺はそこに飛び乗り走り出す。
「閣下、ついに奴が来ました。」
軍服を着た男が一人の老人に敬礼する。
「ご苦労、予定どうりすべての兵を外に出して私とブルーローズの二人だけにしてくれ。」
「かしこまりました。」と頭を下げ颯爽と大広間から出ていった。
機械の鎧に身を包み深い笑い声を出す。
「クククッ、ついに・・・、ついにこのときがきた。」
老人は美しい女性が写った写真を手に取る。
「ああ、愛しき、そして憎き我が娘よ。今こそこの長き因縁に終止符を撃つとき。」
老人は写真を懐にしまい兜を被った。
「この扉の先に王国騎士がいるんだな。」
汗が滲み出る、今までには感じたことのない強いプレッシャー、考えられないほどの緊張が押し寄せる。
「ああ、この先で間違いない。落ち着いていけカズハ、私が着いている。」
「はっ、言うようになったな。」
ぐっとレーヴァテインを握る。
「《約束》、守らなきゃな。」
扉に手を当てて押し出す。重い音をたてて扉が開いた。
「よく着たな、カズハ・ブルーローズ。待っていたよ。」
そこには機械のような鎧に身を包んだ人間だった。
「なぜ俺の名前を知っている。」
鎧は黒く盾と剣もまた黒色だった。しかし、鎧には金色の筋が入っておりその存在感をより引き出す。
「ああ、まだ名乗っていなかったな、私はロジウス・グラデスト、アルセーノ帝国の第98代目皇帝閣下にして、君の祖父に当たる。初めまして、だね?」
え?、今なんて言った。俺の祖父?、確かに母は帝国出身だと聞いていた。しかし、どういうことだ?
「疑問ばかりのようだな。ならば少し昔話をしてろう。」
「私には一人の娘がいた、名前はハルハ・グラデスト。あの子は妻に似てとても美しかった。しかし、ハルハが19の時だった。帝国に一人の旅人が来ていた。奴の名はラズル・ブルーローズ。お前の父親だ、街で買い物をしていたハルハに出会い、そしてラズルに恋をした。ハルハは城に奴を招き『彼と結婚する』と言った。もちろん私は反対した。するとどうだ。次の日にはハルハはいなくなっていた!、妻はハルハを生んで死んでしまったから私にはハルハしかいなかった。なのに奴が、ラズルが私から唯一の家族を奪いその唯一の家族、ハルハは男のために私を捨てた!。何故だ!、何故なのだ?!、私はただ娘とハルハと幸せに暮らしたかっただけだったのに、 誰よりもハルハの幸せを願っていたのに!。なあ、何故なのだカズハ・ブルーローズ!!。」
俺はただひとつ疑問を持った。確かに家族を失うのは悲しい、ましてやただ一人の家族に逃げられるように去られたならば尚更だろう。しかし、何故・・・
「何故、娘の幸せを一番に考えてるのに、父さんについていくのが娘の・・・、母さんの幸せになるかを考えなかった?」
俺の質問に怒りのこもった声で返す。
「そんなの当たり前だ、金も礼儀も無いような旅人と結ばれ幸せだと思うか?。ありえない、ならば私がお見合いを組んで他の貴族と結ばれたほうが幸せに決まっているだろ。」
この言葉に怒りを覚える、しかしこいつどうしてもこのままにしておいてはいけない気がした。
「じゃあ、例えば貴方の妻はきっと美しく性格も優しく、礼儀正しい方だったんだろう。」
ロジウスは「当たり前だ」と頷いた。
「うん、じゃあもし貴方の妻がただ貧乏でお金がなかったら貴方は妻と、祖母と結婚していましたか?」
俺の言葉にロジウスは即答する。
「ありえん、絶対に私の権力すべてを使って幸せにして見せる。」
それが聞ければ十分だ。
「それとおんなじなんだよ。あんたの考える娘の幸せと娘が考える幸せは違った。どれだけ周りの環境が良くたって、本人が幸せだと思わなきゃそれは幸せじゃないんだよ!!。」
そうだ、俺はどれだけ下に居ようとも家族が居てくれたから幸せだった。きっと母さんも父さんと一緒にいるほうが幸せだったのだろう。たとえ帝国に一生追われ続け殺されるようなことになろうとも。
「ええい、黙れ!!、たかが小僧に私の何がわかる?!。ここですべて終わらしてやるわ!!」
ロジウスは人間とは思えない速さで間を詰めてくる。
「っ!」
剣が交わる。カキンッと音をたて火の粉が飛ぶ、その隙に高周波ブレードをオンにする。
「許さぬ、その汚れたブルーローズの血、ここで終わらせてくれる!」
ロジウスは高く飛び上がり剣を振り下ろす。
「切る!!」
俺はレーヴァテインを上向きに上げる、これならあの剣を切ることができる。しかしそこで由良魏博士の言葉を思い出す。
『カリリウスライトが切れなかった』
そしてすぐに受け流しに変える。すると受け流した分はガンッと鈍い音をたてた、しかし、ロジウスの剣は折れていない。
「まさかその剣と盾、カリリウスライトで出来てるのか・・・!?」
「ほう、よくきずいたな。そうだ、これはどちらもカリリウスライトで出来ている。」
最悪だ、一番なってほしくない展開になってしまう。このままでは一切攻撃が入らない。
「カズハ落ち着け、防具は普通の強化鉄だ。しかし、あれがパワースーツになっているようだ。あの装備を壊せればなんとかなりそうだぞ。」
「その空飛ぶ箱、喋れたのだな。ふん、あまり告げ口などされては邪魔だな。消しておくか。」
ロジウスがまた突進の構えに入る
「させるか!」
突進してきたロジウスをレーヴァテインで受け止める。しかし、その衝撃に耐えきれず俺は壁へ吹き飛ばされた。
「ぐぁ!」
「カズハ!」
俺は薄く目を開ける。そこに映ったのはガリアと、その後ろで剣を振り上げたロジウスの姿だった。
「ガリア!、後ろだ!!」
俺が声を出す時にはもう遅かった。剣はガリアの本体に直撃し物が壊れる音と共に叩き潰された。
「ふっ、機械のくせに苦労させおって。次はお前だ、カズハ・ブルーローズ」
ロジウスがじわじわと近付いてくる。俺の中でガリアの壊される映像が繰り返される。
「ガリアヲ、家族ヲカエセ!!」
俺の心が壊れる音がする。唯一の戦友、家族が目の前で奪われた。俺の叫びにロジウスは後ずさる。
「なんだ、機械ひとつで狂ったのか。所詮はただの小僧というとこか。」
ユルサナイ
レーヴァテインを強く握り走り出す。目標はただひとつ。奴を殺して母さんと父さん、そしてガリアの敵を取ること。
衝撃と共にレーヴァテインを大きく振り上げ叩き下ろす。
「くっ、なんて力だ。こやつ、本当に人間か・・・?」
盾で弾き返された。今度は右側に振りかぶり体を捻って叩き込む。
「がっ?!」
ロジウスは盾を弾かれ大きく飛ばされる。その隙を俺は見逃さない。
「終わりだ。ロジウス・グラデスト!」
ここでは、俺はすでに正気を取り戻していた。が、怒りはまだ消えない。それに俺には戦争を終わらす業務がある。
レーヴァテインを前に突き出しロジウスを貫いた。
「っ!、何故なのだ。何故私は幸せになれなかった。」
「簡単さ。あんたが幸せだと思えなかったからだ。自分の幸せ理論を母さんに押し付けて結局はどちらにとっても最悪の結果になった。俺と同じように壊して奪うことでしか自分を守れなくなった。ただそれだけ。」
これが、俺もロジウスも間違えてしまった絶対的な欠点。
「そして、俺とあんたの違いは"支えてくれる誰かがいたかどうか"だ。友人や家族、それが俺たちのたった一つでとても大きな違いだ。」
「たった、それれだけで私は幸せになれたと言うのか?」
「まあ、そうだったら俺は生まれてたかわからんがな。」
それでも所詮は結果論に過ぎない。今、どれだけ考えようともけして結果は変わらないのだ。
そして俺はレーヴァテインを引き抜きガリアのもとへ向かう。
「ガリア、戦争が終わった。俺たちの勝利だぜ。」
ガリアは動かないしかし、残っていたブラックボックスから光が発せられ音声が流れる。
『カズハへ。これが流れているということは私は何かしらの理由で壊れてしまったのだと思う。しかし、大丈夫だ。ストレージ機能はブラックボックスに入っている、ストレージはそこから使ってほしい。そして、カズハ、お前と過ごした日々は楽しかった。人工知能のはずなのに感情が持てたのはカズハのお陰だと思うだから今、私はカズハに《感謝》が出来ているのだと思う。友よ、いつまでも胸を張って生きてくれ。去らばだ。』
プツッと音声が消える俺はブラックボックスを拾い上げた。
友と呼べた。そんな大切なものが死んでしまったはずなのに、何故かこの手の中にまだガリアがいるような、そんな気がした。
「こっちこそ、ありがとなガリア。俺も楽しかったぜ。」
不思議と涙は出ない。これが別れじゃないような気がしたから。
すると急に爆発音と振動が響いた。
「?!、どういうことだロジウス!!、終わったはずじゃ!?」
「よくある話だ、暗殺だよ。この混乱に乗じて部隊の誰かが皇帝である私を暗殺しようとした。お前も一緒に始末するつもりで、な。」
「くそっ、最悪だ。今から走って逃げても間に合わない。」
すると通信が入る。
「カズハくん!、私だ、由良魏だ!、聞こえるかい?!」
そこから聞こえたのは聞きなれた女性の声だった。
「聞こえるよ。まずい、空戦車が爆破された。今から走っても間に合わない。」
「な?!、何か、何か他の方法はないのかい?!。」
「方法ならある。」
そこで声を上げたのはロジウスだった。
「今の声、帝国の皇帝、ロジウス・グラデストじゃなかった?!」
「ああ、そうです。俺が倒したあとにこの爆発が起きたので。」
「二人とも、黙って聞いていろ。方法はひとつだけ、カズハ、お前が異世界に避難することだ。」
「はぁ?!、異世界ってどういうことだ!」
わけがわからない。そんなおとぎ話のようなこと。
「私たちがどうやってこんな技術や資材を集めたと思う。その技術や資材を異世界から集めていたのだ。その世界のどれかにカズハを一時的に送り込めばいい。」
「でも、そんなことできるのか?」
俺の発した疑問に答えたのは由良魏博士だった。
「可能よ、ストレージの古源機能である。空間開口制御システム、《ワープホール》ならね。」
「ああ、それを使えばカズハを異世界に送ることができる。もうあまり時間がない、手短に説明する。」
するとロジウスは剣を杖のようにして立ち上がる。
「今からカズハにはこの空間開口制御装置を使い異世界にいってもらう。設定している時間は無いからどの世界に行くかはランダムだ、しかし基本的にどの世界にも文明はある。まずは集落や街を目指せ。そしてそれで時空間の狭間《サラルの目》を探すんだ。そこに入ればそことは違う世界にいくことができる。それを繰り返せばいつかこの世界にもう一度戻ってこれるだろう。」
一度きりがついたことを確認すると俺は質問を投げ掛ける。
「そのサラルの目ってのはどうやって見つければいいんだ?」
するとロジウスは機械をいじりながら答える。
「それはそのサラルの目から現れる魔物、《シャドウ》を追って行けばたどり着くはずだ。奴らはサラルの目から現れて様々な被害を出していく。そしてサラルの目に近付けば近付くほどシャドウは強力になっていく。シャドウを追って倒していけばサラルの目は見つかるだろう。」
なるほど、結局は戦いに巻き込まれるのか。
「よし、出来たぞカズハ!、ここの台にのれ。」
そして歩き出すと由良魏博士が泣きそうな声で
「カズハくん。絶対、絶対戻って来るよね。」
由良魏博士は心配そうに言った。
そりゃそうだ。何せサラルの目もランダムだもしかしたら永遠と世界を渡り歩くことになるかも知れない、それでも
「大丈夫、絶対帰って来るから。待っててね、姉さん。」
もう一度、家族としての再確認をする。
「うん、待ってる。絶対帰って来てね。」
「ああ、任せろ。」
そして少し間を置いてロジウスが口を開く。
「別れの挨拶はすんだか?、なら早くしろ、いつ爆発するかわからん。」
そして俺は台の上に飛び乗る。
「ありがと、ロジウス。でもあんたは来ないのか?」
「私はここで機械を操作しにゃならんしな。それに、私が行ったところで長くはもたん。」
ロジウスの腹には大きく穴が空きそこからは多量の血が流れている。
「さあ、いけ!。そしてまた戻ってこい!、馬鹿孫めが!!。」
ロジウスはそう叫ぶとレバーを下げる。すると俺の周りは光に包まれる。
「じゃあな、じいさん!、ありがと!!。」
俺は力いっぱい叫ぶ。そして目の前が真っ白になった。最後、ロジウスが笑っていたように見えたのは気のせいじゃなかったはずだ。
カズハと約束を交わしたあと、由良魏は通信が切れていないのに気づく。
「よかったんですか、ロジウス皇帝さん。貴方も逃げなくて。」
由良魏は皮肉混じりに答える。
「お前たちからしたら好都合だろう。敵の頭が死ぬのだぞ。」
「それもそうですね。これでやっと戦争が終わります。」
「カズハなら大丈夫だ。何せ私の孫だ。そう簡単にはくたばらん。」
そんな言葉に由良魏は毒を吐く
「今さら祖父ずらしないで、あの子を殺そうとして置いてずいぶんな手のひら返しだわ。」
それに答えるようにロジウスはハハハと笑う。
「そうだな、それは彼にも失礼だな。しかし、私の孫云々は関係無しに彼ならば大丈夫だ。」
「当たり前です。何せ私の自慢の弟なんですから。」
そう彼は、カズハは絶対に約束は守る。そんな人間だから。
「さて、そろそろ時間だ。私の死に関しては君が報告してくれるかね。」
「わかりました。それと、カズハくんのこと、ありがとうございました。」
「なに、私のほうが彼に救われたからね。最後のお返しだよ。」
そういってロジウスは笑った。
「私が歩めなかった幸せな世界をいつか戻ってくる彼のためにも作ってやってくれ。」
「当たり前です。それではおやすみなさいませ。第98代目帝国皇帝閣下、ロジウス・グラデスト」
そして大きな爆発音と共に通信は途絶えた。
その後、終戦を迎えた国では彼は《蒼空の英雄》と呼ばれ歴史に名を刻んだ。そしてその英雄が戻ってくるのを人々は待ち続ける。
皆さん初めまして神刃千里です。
初めての投稿なのと小説を書くのが不馴れなのもあり、日本語がおかしかったりしたかもしれませんが許してください。お願いします。
初投稿という事でわけもわからずここも書いていますがそういうところも指摘が出来るならしていただけると嬉しいです。
読んだ方はお気づきかもしれませんが異世界転移と描いてあるのに言うほどしてません。
正直最終目標的な話なので出来れば「あぁ、そうなんだー」程度に理解して頂ければいいと思います。
ここからは今後の話を、
連載と書いていますがもし不評だったら大変身勝手ながら打ちきりにさせていただきます。
僕はガラスメンタルなので不評のコメントを見ながら書ける勇気は持ち合わせていません。
でも、不評のコメントが来たらそれを受け止めてまた別の作品に生かせればと思います。
続けることが出来るなら、リアルに支障がでない程度に頑張って書こうと思います。
あ、あと続きを書くときはタイトルを変えるつもりです。(大丈夫なのか?変えても)
今、続きは3分の1ぐらい書いちゃったのでちょっと微妙なのですが、まあこちらも指摘で変えていこうかと思います。
少し皆さんに頼りすぎですが右も左もわからない状態なので優しくしてくださると嬉しいです。
では謝礼を、
今から読もうとしてる方も、読んでくださった方も僕の小説に興味を持っていただきありがとうございます。
これからも下の方に張り付くような思いでやっていく所存ですのでどうかできるだけ末長くよろしくお願いします。
では、続きを書けることを願いつつ・・・