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プロローグ

「好きです」




「は?」




もうすっかり西に傾いた日が背中を暖かく照らす。


高校二年の教室が並ぶ三階には日が射しているが、グラウンドに映る校舎の影は長く伸びて校舎の二階までを丸呑みにする。




「先輩のことが、大好きです」




また一歩、距離を詰められる。




「だから……」




距離を詰められた女生徒の警戒に強張る手を取る。その手は穏やかで、暖かくて、男子高校生の手とは思えないほど艶やかだった。




「僕のために、毎日歌ってください」





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