問題
下書きをしていたら時間がかかりました。
はぁ、戦闘機VSドラゴンがテーマなのにまだ接敵できていない・・・。
もう少し地球世界での話が続きます。
突然だが日本国航空国防軍は大きく分けると二つの航空団となる。
一つは本土防衛を担う本土防空航空団。通称防空組。
もう一つが在日米軍のように国外に駐屯する海外駐留航空団。通称駐留組。
違いは国防という主任務であることに変わりはないが、規模は防空組の方が大きい。最新鋭機や兵装は防空組に優先される。
それはなぜか、それは主任務である国防が大きく関わってくる。
本来駐留組は同盟国の支援、又はPKFによる派遣で活躍する。対して国防組は本土を守る。
敵からの侵略を防ぎ、国民の平和を守るのが任務と宣伝しているほどに。
国防省も予算を国防のためにと防空組に多く出してしまう。
駐留組も本国の生命線であるシーレーンを国外から守っているというのに。そのため、駐留組はいつも不満を持っているのだ。
しかし、駐留組にも防空組に勝るものがある。
それは実戦経験だ。
今現在、世界各地にいる駐留組のほとんどのが戦闘に参加している。
まず、俺達バンシー小隊がいる満州国駐留飛行群は軍閥勢力と戦っている。台湾駐留飛行群も同じく。
こうなったのは少し歴史の勉強が必要になる。中国大陸では大戦中、日本と戦争し勝利した国民中国だったが、共産中国の勢力拡大により南部へと追いやられた。
このまま共産中国が大陸を支配するかに見えたが、そうはならなかった理由がある。満州の存在だ。
日本の傀儡だった満州は米国の主導で新政府を発足して真の独立国となり、対ソ連の陸の防波堤として軍事支援をしていた。
共産中国は満州攻略に多くの兵士を失い、結局攻略できなかった。
そして米ソの介入で三国休戦協定が結ばれた。
ここまでが歴史教科書では第一次中華戦争と呼ばれている。
この戦争は三度起きた。第二次では追い込まれた国民中国を支援するため米軍が世界で初めて原子爆弾を使用。
共産中国の主力が集まっていた場所は巨大なキノコ雲に包まれ、主力は消えた。
ソ連崩壊後、再び戦争となり人類史のなかでもっとも最悪のものとなった。
両中国は開発された核兵器を互いに撃ち合ったのだ。
これ両中国の首脳が壊滅状態となり、複数の都市が消滅。
中国大陸の半分近いの面積が放射能に汚染されてしまった。
首脳をほとんどの失った両中国は再び休戦したが、いくつかの部隊が分裂して軍閥となり中国大陸の真の支配者を巡る群雄割拠となったのだ。
その群雄割拠に満州は巻き込まれ、台湾や満州に租借地を持つ日本も巻き込まれてしまった。
この事態に日本政府は満州国、台湾共和国の支援として参戦して実戦経験を手に入れている。
アフリカや中東にいる駐留組もPKF関係で実戦経験を作っている。
対して防空組は実戦経験がほとんどない。スクランブルで飛んで不明機を追い払うぐらい。
このため、一時的に防空組から駐留組に転属するパイロットも少なくない。
だが、それなのに上のお偉いさんは先の説明と同じく装備を防空組に優先してさらには航空学校訓練生の中でも成績優秀な純血日本人を国防組に置いて残りを駐留組に送られる。そこで技量を磨いてくるようにとそういうことらしいが、これが問題なっている。
飛行時間が短い新米を前線に送るのは死んでこいと言っているのと同じ。純血日本人を残し移民の人を前線に送ることは人種差別。こうマスコミで報道されたこともある。
それとどちらかと小さい問題が空軍内で度々起きている。そう俺と海藤が食器を返却口に返した直後のことだ。
「なんだとッテメェ!!」
食堂に響く怒号。
見ると駐留組のワッペンを着けたハーフぽい男が立ち、隣に座っている防空組のワッペンを着けた男を睨み付けている。
「もう一度言ってみろよ!!」
「あぁ、何度でも言ってやるよ」
防空組の男は立ち上がり見下したような顔で
「お前らのようなゴミ連中と一緒だなんてせっかくの食事が台無しさ」
聞くや駐留組の男は防空組の男の襟を掴んだ。
「黙って聞いてたら調子に乗りやがってッ!!」
腕を構えたのを見てヤバいと思うのが先か、天城と海藤の体はすぐに動き駐留組の男を止める。
「待て待て、こんなところで問題はマズイって」
天城が右から男を抑え
「そうそう少し落ち着いて、よく相手を見てみろよ」
海藤が防空組の男のワッペンを指差した。
よく見るとそのワッペンは防空組のに似ているが少し異なり、小さくこう書かれていた。
近衛飛行隊
陸海空三軍はそれぞれでエリートばかり集め、陛下をお守りする近衛の名を持つ部隊を編成している。
その一つが近衛飛行隊だ。
最新鋭機F-22Jラプターが配備された数少ない部隊の一つでもある。
駐留組の男は相手が近衛であることに気がつき、殴っていたら陛下をお守りする兵士に侮辱を負わせたとして問題になっていた。
「おいおいどうした?近衛と聞いて怖じ気づいたか、情けねぇなぁ」
まだ挑発する男。さすがにいい加減にしてほしい。
小さい問題とはこういったエリートや防空組の一部が駐留組を見下していることだ。
次第に人種問題にまで広がり比較的小さい問題が大きくなろうとしている。
「やっぱり、こんなもんか劣等人は」
ピクッ
劣等人と聞いてハーフぽい男が反応する。
再び殴ろうとするが天城たちが左右から抑えているのでできない。
「近衛の方、いい加減にしてもらえませんか。言い過ぎです」
天城が近衛パイロットに言うが彼はへっと笑い標的を天城へと変えた。
「良く見たらお前ら二人、バンシー小隊のパイロットか、話は聞いてるぞ」
バンシー小隊の話は近衛にまで届いていたようだ。
「近衛にまで名が届いているとは光栄です」
そう答えるが正直そんなのはいいからどっか行けッ!と思っている天城たち。
「そりゃ有名さ、何せお前らの隊長は上官を口説きまくり地位を手に入れたって噂だからな」
ぎゃははと大笑いする男に天城と海藤は拳を震わせた。
「お前たちもお相手してもらったんだろ?でも満足はいかないよな、でもあんな体でも需要が有るからな、上の連中には余程好評みたいだったが最後に運が無くてさ、こんな所に送れて来てしまったなんて自業自得たぜッ」
俺たちの隊長はそんなんじゃないッ!!!!
天城の拳が真っ直ぐ男の顔に向かって放たれた。
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