リープ〜in a days〜
■リープ〜in a days〜
カゲロウが笑う。
「願い事は叶えたぞ」
僕はまたやり直す。
今日もまた、彼女は死ぬ。
8月の暑い日。
僕は幼馴染みの女の子と楽しげに会話していた。
会話の内容はあまり覚えていない。
ただ、彼女は夏が嫌いだと言っていたのを覚えている。
そして、彼女と帰ろうとした瞬間。
彼女の抱いていたネコが腕をするりと抜け出し、道路に向かって走り出す。
青信号。
しかし、信号を無視したトラックが走ってきていた。
「〜〜〜■■■!」
声にならない叫びが喉の奥から出る。
カゲロウが笑った。
「リープ……」
僕は何故かそう呟いていた。
「は……!?」
目が覚めると彼女と出会う一時間前だった。
間に合え!
僕は公園にいた彼女を連れ出し、その場を去った。
だが、
横断歩道の横にある橋、その階段につまづき彼女は転落した。
カゲロウが嗤う。
「リープ」
「あ……」
また。あっけなく、必然的に彼女は死んだ。
このループは何度目なのだろう?
あと、何度ループすれば彼女を救えるのだろう。
「今日も心葉は不機嫌そうだね」
彼女は笑ってそう言った。
それから三十秒後。
彼女は死ぬ。
「あ……」
死に方はどんどん凄惨なものに変わっていく。
「繰り返す。……まだ終わらせない」
彼女を救う。
そのENDにたどり着くまで、僕の旅は終わらない。
「……リープ」
巻き戻る。
彼女は笑って言った。
「心葉、また不機嫌な顔をしてる」
「……頼むから」
「?」
「死なないでくれ」
頭上では鉄筋コンクリートの塊が落ちかけていた。
「心葉!」
バンっと背中を押される。
そして、彼女は死んだ。
「もう、嫌だ」
「もう、いいんだよ」
死に瀕した彼女はそう言った。
「リープ」
今度こそ、助け出す。
たとえ、僕がどうなろうとも。
「心葉、不機嫌そうだね」
「ごめん!」
彼女の背中を押す。
頭上から鉄筋コンクリートの塊が迫ってきていた。
「ざまあみろ」
僕は彼女を助けたぞ。
僕は泣いているカゲロウに向かってそう言った。
彼はまた死んだ。
「ざまあみろ」
そう言い残して。
「現実だよ」
カゲロウは囁く。
「うるさい!」
私は彼にまた出会う。
「心葉は不機嫌そうな顔をしてる」
今から三十秒後。彼は死ぬ。
私を潰す鉄筋コンクリートの塊から庇うかたちで。
「心葉」
「なに?」
「好きだよ」
私は笑って彼を突き飛ばした。




