第7話 庭園で その②
誰かひらがなとか漢字の間にひらがなが入った言葉にルビをふる方法を教えてくださ~い!
死活問題になりそうなので!
期間が空きましたが、第7話です。
まず動きを見せたのは、僕たちの後ろの柱の影に隠れていた人だった。
後ろで魔力集まっているのが何となくわかる。
「(風よ眠れ。睡魔の微風『スリープウィンド』)」
なるほど、風の元素魔法か。確か風には状態異常の魔法が多かったな。
さて、大人しく眠るつもりは毛頭無いので、対処させてもらいますか。
『────『神盾』」
そう呟くと、僕とリリスの周りに不可視の結界が張られる。今つくったのは対状態異常の防御魔法。物理防御力も折り紙つきだ。
いつの間にか使えた、というか、知らないうちに知っていた、という奇妙な魔法。
あの魔導書に書いてあったのかな?
何やらリリスは目を丸くしているようだが、ちょっと荒れそうなのでじっとしておいてもらおう。
僕が盾を作ったのを見て、周りの暗殺者(?)が一斉に襲いかかってきた。その手には小ぶりのナイフが。
先端が濡れているところを見ると、何らかの毒でも仕込んでいるのだろう。危ないなぁ…。
あぁ、何かこの光景に既視感があるよ。確か千雨姉に真滅流の技を教えるといって乗り込んだヤ○ザの事務所でドス持った黒づくめに教われたときだ。
いや~、あのときは正直焦ったなぁ……。
懐かしい風景を思い出していると、黒服(めんどいからこう呼ぼう)の一人が僕に切りかかってきた。
顔ではなく腕を狙ってきている。ということは目的は殺傷ではなく拉致。つまりナイフの毒は麻痺毒か睡眠毒か!
…………かすっても不味いな。仕方がない。安全策でいこう。
僕は切りつけてきた黒服のナイフをしゃがんでかわすと、そのままアッパーの用法でナイフを殴り飛ばす!
指の隙間から外れる角度で殴ったため、ナイフは意図も簡単に吹っ飛んでいった。
「……っ!このガキっ!」
覆い被さって捕らえようとしてくるが……遅い。
千雨姉の拳に比べたら、ハイハイとバイクぐらいの差があるくらい遅い!
バックステップで難なく回避する僕。勿論逃げるだけじゃ済まさないよ?
手を上に掲げて詠唱する!
「火よ、水よ、風よ、地よ。我に岩を砕く剛力を。傷癒す回復を。空駆ける疾風の速さを。決して倒れぬ鉄のごとき体を授けたまえ。四色合成『多重強化』」
自分に強化魔法をかける。此処からは彼らに抵抗の二文字はない。
まず、覆い被さろうとしてきた男の腹に突きをいれる。
ドスン──と言う音は聞こえない。聞こえるのはボキボキッと骨が折れる音だけ。
痛みで悲鳴をあげそうだったので、顎を下から蹴りあげる。3歳児の身体だ。足元に潜り込むなんてわけもない。まずは一人!
次に襲いかかってきた五人の黒服は魔法の詠唱にはいっていた。
「「「「「風よ縛れ!『エアロック』!!!」」」」」
おいおい、たかが三歳の子供を捕まえるのに大人五人がかりってどうよ。弱虫だなぁ……。
そう思っていたら、僕の周りの空気が重くなってまとわりついてきた。結構重い。ま、五重だしね。
さて、今僕には『神盾』がかかっていない。何故ならリリスを対象として魔法を使ったからだ。
『神盾』は対象の半径二メートル僕辺りに不可視の防御結界を張る。今僕はリリスから離れているので、『神盾』の力は働いていないのだ。
僕が動けないのを見て、魔法をかけた黒服達が近づいてきた。
……僕が抵抗出来ないとでも思ったのかな?
少しずつ全身に力をいれていく。僕には『多重強化』がかかっているんだよ?
少しずつ、ミシミシと言う音が大きくなっていき、ついにパリィン!と音をたてて風の拘束が解かれた。意外と脆いなぁ……。まだ一割くらいだったのに……。
何やら面白い顔で黒服達が固まっているが、もう飽きた。
さっさと終わらせよう。
僕は一人の黒服Aの懐に入ると、思いっきり足で蹴りあげる。吸い込まれるように入った僕の蹴りは、大の大人を三メートルほど上空に蹴り飛ばした。
次に隣にいた黒服Bには回し蹴りを横腹に叩き込んでおいた。
僕の後ろにいた黒服Cに向かって反転して、腹に掌打を叩き込む。
そのまま黒服Cの頭を蹴ってジャンプ。
残っているのは……まだ茂みとかに隠れているのも合わせてあと四人か。一気に片付ける!
「風よ、一つに固まり敵を潰せ!『エアハンマー』」
残った黒服四人の頭上にエアハンマーを叩き込む。効果は……まぁ言葉通り空気を固めて相手に叩きつけるだけの初級魔法なのだが──今回、すこ~し多めに魔力を込めたので、一週間ぐらいは起きないかな?
ついでに一人だけ弱めにしておいた。後で聞きたいことがあるかなね。
ガツン!バタバタ(×4)
残りの黒服も気絶する。しん──と庭園の音が止んだ。聞こえるのはサワサワ、と風で木の葉が擦れる音だけ。
『リリスを守りながら刺客(?)を殲滅する』ミッション(勝手に作った)、終了!
─○─
まあなんだ、なぜ襲われたのか分からない僕は茂みの中に隠れていた黒服の一人の側にいった。さっき弱めにエアハンマーを使った相手だ。
顔に着けていた覆面をひっぺがえすと、その下には三十才かそこらの男の顔があった。髪は赤く染められている。
ちょうど意識が戻ったのか、焦点が定まらない目で辺りを見回していたが、こちらの姿を捉えると信じられないものを見るような目付きで見てきた。失礼な。
「な、何故だ……。」
お、何かいってる。
「何故、こんな子供が四種類の元素魔法を違和感無く使える……。それに最初の盾、あれは何の魔法だ!?」
あ~、何か不味かったかな?『神盾』とか『多重強化』見せたの。
「なぜあなたたちは、僕たちをさらおうとしたのですか?いったい『誰に』、『どういう目的で』?」
ゆっくりと、しかし威厳(+魔力で威圧しながら)問いつめる。
……何か脅迫みたいだ。いや、これは実際脅迫か。
案の定、男はビビりながらもこちらを睨み付け、毒を吐いてきた。
「ふっ、例え知っていようが、誰が貴様なんかに教えるか、この小娘風情が───」
「誰が小娘だこの変態年下苛めオヤジィィィィィィイ!!僕は男だっ!!」
「「そんな馬鹿なッッ!!」」
「よしリリス、後でじっくりこってりこの件ついて話そうか。」
もう、いや……。ハッ、気を取り直せ!リュカ・エルニアート!
まだ傷は浅い!!
「どっからどう見ても女の子でしょ!」
「嘘をつくな、この小娘ッ!!
よ~しこのオヤジに死の鉄槌を!
「墜とせ、『奈落』ぅぅぅぅぅ!!!」
『りょーか~い♪』
男を奈落に叩き込む。何故かって?
奈落の効果には記憶干渉がある。これを使ってこの男の最近の過去を洗っていって……。
「───解った。主犯はクーニ・マルダ男爵。領地からの税に飽き足らず、貴族からから身代金を捕るために手持ちの刺客とならず者を雇い、今回のパーティーに紛れて貴族の子供を誘拐───か。また狡いやつだなぁ………。」
うわ~、こんな身勝手な理由で襲われたのか。腹立つッ!
…………あれ?何か、さっき誰かが僕の言葉に返事しなかったか?
……………。空耳か……。
と、リリスが近づいてきた。どうしたんだろう?
「守ってくれてありがとう。だけど……。」
何故そこでどもる。
少し迷ったような素振りを見せるが、意を決したようにして、聞いてくる。
「私にかけてくれた盾の魔法……あれは何?あんなの見たこと無い。一体、何なの?あの魔法は?」
そこに食いついてきますか……。まあ、リリスなら教えてもいけるだろう。
そう思って、少し悩んだあと、僕は口を開く。
「ああ、あれは───」
ここで僕の言葉は途切れてしまった。
何故なら見てしまったからだ。
僕の視線の先、このパーティー会場の周りを囲んでいる壁の上に、気を失ってるであろう桃色の髪をした少女を肩に担いだ男が、まさに外に逃げようとしているところだったからだ。
今回、桃色の髪をした少女何て一人しかいない!
────王女様がさらわれた!
さくらもち は てすとの てんすうが わるかった!
おや の こうげき ! じょうたいいじょう 『すまほとりあげ』 に かかった!
さくらもち は しょうせつ を かく じかん が せいげん された!
こうかは ばつぐんだ!
3/6 魔法の詠唱を修正