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紫銀の少年と異世界転生  作者: 桜餅
第二章 旅立ちと冒険者
25/29

第21話 前夜

お久しぶりです。テストが終わったので予告通りに更新です。

サブタイが予告と変わってますがおきになさらずにどうぞ。

さて、明日からここを出るとなったら用意が大変──なんてことはない。


普段から日用品から魔具まで自前の空間魔法に突っ込んでいるのでそこは問題ない。


では何が問題なのかと言うと…………



「レン」


「どうしたのノルン?」



机に向かって魔導書を書いていると、横からそれを覗いていたノルンが話しかけてきた。



「明日から此処をでて、外の世界に出るんだよね?」


「そうだね。どうかした?」


「外の世界って、どんなところなの?」


「…………どうなんだろうね」


「……。外にも精霊はいるのかな……」



しゅん、とうつむいてしまった。



──そう、僕たちは外の世界を全く知らない。


ノルンは妖精卿で生まれてこのかた妖精卿から出たことがないし、僕はリリス姉さんに記憶喪失だった当時の僕を拾ってくれてから同じように妖精卿から出たことがない。

どうやら僕は外の世界の生まれらしいんだけど、全く覚えてないから困ったものだ。



「大丈夫だよノルン。明日、姉さんたちが出発前に幾らか外の世界のこと教えてくれるって言ってたじゃないか。向こうの事を知ってる姉さん達だから、やっちゃいけないこととか、やらなきゃいけないこととかを詳しく知ってるはずだよ」


「…………ん♪」



頭を撫でながらそう言ってあげたら気持ち良さそうに目を閉じてされるがままになった。


といっても、普段から眠そうな半眼でほぼ無表情なノルンだから見た目ただ目を閉じて撫でられているだけにしか見えないが。


まぁ、ノルンの無表情は完全な無表情無感情ではなくて、顔が無表情なだけで感情はかなり豊かだ。

表情も一見変わってないように見えるけど、実際よーく見ていると喜んでいることとかがよくわかる。




…………なんでこんなにも詳しくわかるかって?そりゃあ13年も一緒の家で暮らしたらわかるよ。


夜中に布団に潜り込んで来るのは咲夜を思い出すな……。



しかし、まぁ。


こうやっていると、皆を思い出すな。

僕がいなくなっても、皆うまくやってるかな?


会えなくなって寂しいけど、いつかきっと会いに行こう。

きっと、外の世界にはその方法があるはずだ。



僕はそのあと魔導書を書き上げ、気がつけばもう夜だったのでベッドへと潜り込んだ。





─◇─





…………レンが寝ている。さらさらと水のように腰まで流れる紫銀の髪はベッドからはみ出して地面すれすれに落ちている。


レンは髪を切りたがっていたけど、そんなに綺麗な髪を切るなんて勿体無い。母さんやリリスさんも必死に止めていたのを思い出す。


あどけない寝顔はヒューマンとは思えないくらいに綺麗で、遥か昔にいたらしい天人みたいだと母さんたちは言っていた。


私はそっとレンの布団に潜り込む。一瞬寒そうに身をよじったから抱き締めてあげたら落ち着いて抱き返してくれた。

起きているときより寝ているときのほうがこういった事をよくしてくれる。いつもお風呂で抱き締めてもそのままでなにもしてくれないから……。



──レンは凄い。母さんやリリスさんの知らない事をたくさん知っている。この間は『くれーぷ』をつくって食べさせてくれたし、もう少し前には透明化の効果のある宝具を作っていた。


私でも『透明化インビジブル』の魔法は風と光の精霊の力を借りてやっとできるのに……。



すやすやと眠るレンを撫でながら──レンについて考える。


もうレンはヒューマンではない。これは私たち全員がわかっていること。

私はヒューマンに会ったことがないからよくわからないけど……。


これにはちゃんと根拠があるみたい。ヒューマンや亜人──“動物の特徴を持たないもの・または持つもの”は自分達の魔力を世界に『供物コード』として捧げて、魔法を──確か元素魔法エレメント固有魔法エクストラと呼ぶみたいだけど──を詠唱キーによって発動させるらしいのだけど……私たち魔人──“魔物の特徴を持つもの”はそうじゃない。


私たちは自分のなかに宿っている“魔臓”に魔力を直接送り込んで、“魔臓”そのもので魔力を魔法へと変換して発動するのだ。


そのなかでも特に私たち『妖精種フェアリー』や『吸血鬼種ヴァンパイア』は精霊と対話・または契約して彼らを媒体として魔法を使うこともできる。このとき吸血鬼種は闇の精霊としか対話できないけど。


私たちがレンをヒューマンではないと断言するのは此処から来ている。






そう、レンは元素魔法エレメント使えない・・・・


辛うじて元素魔法エレメントによく似た固有魔法エクストラ『氷』を使うけどそれも供物コードとしてではなく加護・・の一つで発動しているから人魔法じゃない。




人の姿をしているが、人ではない。



限りなく魔人に近いのに、魔臓が無い。



どうやって魔法を発動しているのかすらも不明。






でも、結局のところそんなところは何も関係ない。


例え何があっても、レンはレン。


私たちの、大事な家族で。



私の、お兄ちゃんなのだから。





いつにも増して輝く銀の月に照らされながら、私はゆっくりと微睡まどろみの中へと落ちていった………


主人公はどうやら元素魔法エレメントを失ったようです。


さらっと書いたつもりですが、この日は第18話『第二章プロローグ』と同日となっています。


皆さん、気づきましたか?



次回、第22話 『旅立ち』


今度こそはこのタイトルに………。



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