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紫銀の少年と異世界転生  作者: 桜餅
第二章 旅立ちと冒険者
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第19話 妖精卿の眠り姫

一週間ぶりです。更新遅れてごめんなさい。京都とかいって忙しかったんです。

お待たせしました。第19話です。どうぞ!








『────あなたはどうしてそこまでするの?』



振り返れば、ここまで案内してきた、真白な長髪を真紅の血で濡らした少女が【わたし】に問いてくる。


その目は探るように、嘲るように、そして何より“楽しそう”に嘲っていた。


その問いに応えずまた前を見る。


先程と変わらない景色。


数多の返り血塗り潰された、真紅の部屋。


ところどころに飛び散るのは、元は人であったであろうものの、肉片。



何も応えない【わたし】に血濡れの少女はもう一度問う。



『そんなに許せなかった?』



【わたし】は応えない。



『そりゃあ許せないわよね。私だって許せないわよ。だからこうしたんだけど、ね?』



彼女は【わたし】に問いかける。





『ねえ、あなた────────』















………………………。


………………。


……。




─◇─



「───ン。──ン」



声が聞こえる。頭がぼんやりとしてきた。



「────レン。おきて」



──そして僕はそこで目を覚ました。うっすらと目を開けると、ちらりと映る蒼銀の髪。

どうやら僕は夢を見ていたらしい。

…………それにしても、随分と懐かしい夢を見た気がする……。



「レン。早く【起きて】」


「…………ん。そこまでしなくてもいいよ、ノルン」



よく頭に響く言葉ですっかり目を覚ました僕は今どこにいるか分からないから回りを見渡してみた。


だって風が直接当たってるんだよ?家のベッドじゃ無いことは確か。


しかし昨日は普通にベッドに入ったはず……。はて、これいかに?



「今日はけっこうさがした。なんでわたしをほうっていくの?」


「え?いや……」


「朝布団からいなくなったとおもったらいつのまにかコレとあそんでた」



ちょんちょんと指で地面をつつく。そういえば、なんだかやけに地面が固いな……。


ん?“遊んでいた”?



下を向いてみる。そこに答えはあった!



「……い、いつのまに…」



僕が寝ていた地面……いや、背中をもう一度みる。


黒い四肢。赤い瞳。尾にあたる部分は大蛇。


そして何より、何も通さないといわれる白い甲羅。




僕が寝ていた地面は、全てを壊す歩く災害、北の魔山の主といわれる魔物、黒白玄武モノクロ・タートルだった。




……………へ? (; ̄Д ̄)?






─◇─






「ふむ、わしの背を寝床にするのは構わんが、朝食を作ってないというのは感心せんのぅ、レンよ」


「ごめんなさい」



マジで申し訳ない。


どうやら僕は寝ぼけて彼女の背に登っていたようだ。全く覚えてないが……。


急いでノルンと家に戻って朝食をつくる。

といっても、別に『創造クリエイト』は使わない。あれには幾つか制約?があるみたいで、生物、植物の類いはどうしても作れなかったのだ。

物質を作る行程をショートカットする方法でも無理だったのだからしょうがない。


とりあえず寝かせていたパンを火の精霊魔法で焼きながら、四角いフライパンに溶いた卵を流し込む。



「おはよう、レン。今日は卵なのね?」


「あ、おはようリリス姉さん。ごめんね、遅くなって」



階段を下りてリビングに入ってきた金髪の少女──『吸血姫ヴァンパイア・プリンセス』リリス姉さんに謝る。


三歳で記憶が無くなっていたらしい僕を助けてくれた人────いや、吸血鬼ヴァンパイアだ。

彼女は『吸血姫ヴァンパイア・プリンセス』という吸血鬼種の頂点であるらしい。


実際、魔法なしで大地を割るくらいだから凄いのだ。



「ふふっ、気にしてないわよ。それより、今日はコハクもいるのね?珍しいわ」



あっ、コハクっていうのはさっきの黒白玄武だよ?

今は蛇の絡まった杖をもち、黒いワンピースを着た白髪の幼女の姿でちゃっかり朝ごはんにあやかろうとしている。

別に問題はないが。


…………それより魔物姿のときと人間姿のときのギャップが凄い……。あの大亀がこんな美幼女になったのもだけど、その姿で爺言葉話すものだから……ねぇ……。



「よいではないかの、吸血姫きゅうけつき。ワシだってあの山で何もせず過ごし続けるのは暇なのじゃよ」


「……それでは人里踏み潰しといてよく言う……」


「お主はいままでに踏んできた蟻の数を覚えているのかの?それと一緒じゃよ。自分より強いものが弱いものを気にかけぬのは最早こもわりに近くなっとる。特に人間種には強い傾向にあるのぅ。なぁ吸血姫?」


「……まっ、それもそうね。人間は勘違いと逆恨みが生きがいだもの」



僕そっちのけで話す二人。…………僕だって、人間なんだけどなぁ……。でも前に聞いたら人間種なのかはよくわからなかったらしい。不思議だ。


何かシリアスな空気が流れとる。き、気まずい……。


誰かっ、誰か助けてぇぇぇ!ヘルプミィィィィ!


マジで助けて!気まずすぎる!ノルンも座ったまま寝ちゃってるし!


と、ここで救いの神が現れた。



「おはよう……あら?コハク様が来ていらっしゃるとは」



見事空気を壊しながら『妖精女王ティターニア』クリフィーシャ姉さんが降りてきた。


…………服、はだけてます。ちゃんと直してください。


いやぼく以外ここに男はいないしぼく自身クリフィ姉さんに何か(具体的には腕ひしぎ固めとか)する訳じゃないけど……ちょっと警戒薄すぎませんか?




…………あ、もう卵焼けてる。危ない危ない。焦げるとこだった。



僕は焼けた卵焼きをササッと皿に移し、丁度よくトーストもできたのでこれも皿にのせた。

そして最後にクファの実のタルトを乗せて持っていく。朝は軽めでいいからね。


因みにクファの実は甘酸っぱいブドウみたいな味の果実である。これには薬草より強い回復作用もあるから凄く便利な食材の一つだ。


盛りつけが済んで僕はチラリと窓の外を見やる。


そこには延々と広がる緑の森が茂り、小鳥の姿をした精霊が飛び交う。

かと思ったら今度は小妖精がおいかけっこをしていた。


そして何より目立つのは────この森の中央に生えた、樹齢一万年はくだらない1本の樹。


未だ若葉のように生気と魔力が溢れるその樹の名前は────世界樹ユグドラシルという。





僕は目線を窓の景色から放した。



「さて、朝ごはんもできたし、皆と食べようか」



僕は丁寧に盛りつけた皿を朝ごはんはまだかと待ってくれている彼女たちの所に持っていった。










こうして妖精卿の一日は始まる。






レンの中では服が無防備=(物理的に)襲われるという謎の方程式ができています。千雨のせいですがね!


新キャラコハクちゃん、登場。ロリババァとか言っちゃいけません!まだ1000歳なんです!(魔亀の寿命は約10000~20000年)

肉体年齢はまだ10歳なんです!合法ロリです!


…………ま、桜餅は別にロリコンじゃないのですが、一応いっておきました……。


友人から、違法か合法かは重大なウィークポイント(?)だと教えてもらったので……。



次回、第20話『旅立ちは突然に』

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