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※主人公がナルシストなわけではありません。客観的な感想です。

「痛……っ」

 現在十歳の私、イノア・アストリアは、頭痛とともにある記憶を取り戻した。


 私は、今回の人生が三度目だ。

 一度目の人生は、桐原伊織として、日本に暮らしていた。

 私は地味子で、眼鏡女子だった。定期考査では必ず首席で、友達はただ一人、綾守千花だけだった。地味だろうが何だろうが、気にせずに過ごしていた。

 どうやらそれが気に障ったらしく、すれ違いざまに誰かも知らない人に

「ブース」

「オタク女」

 と言われたり、

 逆に難しい課題が出ると

「伊織ちゃ~ん、勉強教えて~」

 と頼ってこられたり。

 手のひら返しがすごいな、と何度も思ったが、いじめられても困るので何とかやり過ごしていた。

 そして十五歳のある日、トラックにひかれて死んだ。


 二度目の人生は、朝比奈一夏として、また日本に暮らしていた。

「あれ、私転生してる……。ていうかめっちゃ可愛くない?ラッキー」

 これで人生イージーモードだー!とめちゃくちゃ喜んだ。

 さらに、その後柊紬として私と同じように転生していた親友に再会し、舞い上がっていた私。

 それがいけなかったらしい。

「ちょっとかわいいからって調子乗ってんじゃねーよ」

「ナルシスト!」

 また、嫌な思いをした。

 そして、十八歳の誕生日、悪化したいじめによって死んだ。


「噓、でしょ……」

 いきなり二回分の人生の記憶が戻ったからなのか、ひどい頭痛がする。

「入るよ、イノア?」

 誰かが入ってくる音がしたが、もう気にしている余裕もないほど、頭が痛い。

「イノア!?」

 誰かが何かを叫ぶ。

 あまりの痛みに耐えられえず、私は倒れてしまった。


「う………………」

 あれ、私……。

「イノア、起きたのか!」

 いつの間にか人が入ってきていたようで、それはお兄様だった。

「お兄様、私、倒れてしまったのですよね?ご心配をおかけして申し訳ございません」

 今回転生したことを受け入れるのに時間はかからなかった。きっとそれは、一度転生しているからだろう。

「ああ、体調は問題ないのか?」

「はい、何の問題もございませんわ」

 今世は異世界だ。きっと令嬢同士の争いは絶えないだろう。この国では十三歳からアルセノア魔術学園に通うとかなんとか……。学園で目を付けられないように、普通に生きよう。


「ああああああああ!?」

 嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ。

 見間違いであってほしい、ともう一度鏡を見る。

「……現実だ」

 私は、とんでもなく美人だった。


 これは、まずいのではないか。

 二度目の人生で、私はかわいさに嫉妬されていじめられた。

 令嬢たちに目を付けられないようにするためには、平凡であることが大前提である。どうにかして、この美人さを隠さなければならない。


 ……どうやって?


「どうしよう……!!!!」

 まるで私の目の前に大きな壁が立ちはだかっているようだ。

 そんな時、部屋にノック音が響いた。

「はい」

 返事をすると、入ってきたのはお父様だった。その後ろには、ちょうど私と同じくらいの女の子がいる。

「イノア、少しいいだろうか」

「はい……?」

「実はだな、このリセル・フェルミナ子爵令嬢が、イノアに会いたい、と言っているんだ」

 リセル・フェルミナ……?知らない名前だな、と思い顔を拝見する。

「……」

 顔を見ても、ピンとこない。どうして私に……?

「少し二人になってもよろしいでしょうか、アストリア伯爵様」

 部屋に入ってきてから一言もしゃべらなかったリセルさんが言った。可憐な声、だがどこか芯のある声だった。

「ああ、かまわない」

 何だろう、私は早速何かやらかしてしまったのだろうか。怖い、怖すぎる。


「ふう、やっと二人きりになれた……。単刀直入にお聞きしますわ。あなたは、桐原伊織、朝比奈一夏、という人物を知っていらっしゃいますか?」

 ……それは、私の前前世と前世の名前だ。なぜ、リセルさんが知っているのだろう。

「知っていらっしゃいますか?」

 リセルさんは同じ言葉を繰り返す。

「知っていたら、何でしょうか」

「……私は、綾守千花、柊紬です」

「……っ!」

 それは、私の親友の名。どういうこと?リセルさんは、いったい何者なの……?

「イノアさん、あなたは、私の親友でしょう?」

「リセルさんは、千花なの?紬なの?」

「ええ、そうです。本の虫でトラックにひかれて死んだ伊織の、かわいすぎていじめられて死んだ一夏の、親友よ」

 間違いない。私のことを知っているのは、親友の千花、紬しかいない。

「紬……!」

「わっ、待って待って、ここではリセルなんだから、イノア。それから、私明日からここであなたの専属侍女として雇ってもらうつもりでいるのだけど」

「本当!?」

 唯一の親友と再会できただけでも十分すぎるほどに幸せなのに、その親友が私の専属侍女!?すごく幸せだわ、私。

「でも、子爵令嬢なのでしょう?いいの?」

「私は三女なの。だから、何かしらの職に就くか、誰かに嫁ぐかしなければならなくて。でも、嫁ぐよりもイノアのそばにいたほうがいいと思って」

 なるほど、そういうことだったのね。納得だわ。


 ……あ、そうだわ。

「ねえ、リセル。あのね、私今世も美少女じゃない?」

「あー、そうね。隠したいの?」

 言わずとも察してくれる親友に感激する。

「そうなの、目を付けられない程度に平凡な顔にしたいの。化粧で何とかなるかしら?」

 そう、化粧だ。化粧だったら厚めにすればなんとかいけるかもしれない。

「そうね……。私ならできるかもね?」

「ありがとう、リセル!」

 こうして平凡な顔立ちにするためのリセルの化粧特訓が始まった。

面白いな、続きが気になる、などと思っていただけたら幸いです。

もしよろしければ評価、リアクションしていただけるとありがたいです!

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