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第43話


「鮎原君、おはよ」


 教室に入った途端、岡本君たちが俺に声をかけてくれた。


「おはよう(?)」

 挨拶を返すと、他のクラスメイトも俺に挨拶をしてくれる。突然のことに驚きつつも席についてバッグを机の横に引っ掛ける。

 まさか、先週黒谷さんを助けたことでクラスメイトたちが俺に興味を持っている……? とか?

 一方で黒谷さんはギャル仲間と何やら楽しそうに話している。こうして学校にいる彼女を見ていると俺と一緒にいる時のギャップがすごい。クール系のギャルである黒谷さんは、あんなに可愛い女の子だなんてここにいる俺以外の人は知らないのだろう。

「おっはよ、鮎原君」

「あぁ、おはよう岡本君」

「鮎原君さ、メッセージアプリのID教えてよ、これ俺のQRコード」

 岡本くんはスマホの画面をこちらに向けていった。表示されているQRコードを読み込んで俺は彼のアカウントにメッセージを送った。

 すると、彼はそのまま俺はクラスのグループチャットに俺を招待してくれたようでいくつか通知が届いた。

「おっ、これで入れたね。なんかクラスのグループチャット作ろうって先週話になったらしくって。俺も誘われたのさっきなんだけど、鮎原君も是非」

「ありがとう……」

 メンバーを見ているとクラスの半分くらいの人数がいて、そこには黒谷さんのアカウントもあった。俺はこういうものに誘われることは今までなかったし、こんな初期の段階で誘われるのなんて初めてで正直困惑した。

「そうだ、もし鮎原君の知ってる人でここに入ってない人がいたら招待飛ばしてもらってもいい? なんか、全員入れときたいってことらしい」

 岡本くんはインキャだと自分を卑下するが全然そんなことはない。俺のようなひねくれたやつにも優しいし、友達だって多い。昔の俺なら特に何も思わなかっただろうが、今は素直に彼のような人が羨ましいと思う。

「あ、秋田さん」

「あぁ、秋田さんね。そういえばいないかも。鮎原君知ってる?」

「うん、知ってる。招待は……」

 恥ずかしながらグループチャットに入るのが初めてでわからない。

「あっ、ここのプラスマークからそうそう、それで友達を選択でいけるよ」

「ありがとう」

「鮎原君って意外となんでもできそうなのになんかおもろいな。ってか秋田さんの連絡先知ってるのありがて〜。ありがと。ほら、俺ら今週の調理実習で同じ班じゃん? そうだ、班のチャットも作ろうか」

 さすがインキャの皮を被った陽キャ……!岡本君によって「調理実習」という名前のチャットが速攻で作成される。もちろん、黒谷さんと秋田さんを誘うのは俺の役目だった。

「よし、招待完了」

「サンキュー、まじで鮎原君神だわ」

「いえいえ、むしろありがとう」

 チャイムがなって、俺は黒板の方に向き直る。秋田さんたち朝練組はぎりぎりで教室へ入ってきていた。


『(黒谷)空君、なんか招待したっしょ』

『(鮎原)なんか流れで』

『(黒谷)ふーん、岡本って子と仲良いの?』

『(鮎原)もしかしたら友達になれるかもって感じかな』

『(黒谷)ふーん』

 なんだかむすっとした顔の猫のスタンプが送られてきたタイミングで担任が教室に入ってきたため俺はスマホを伏せて机の上に置く。

 さっき岡本君に言われて思い出したが、今週は調理実習がある。黒谷さんとの約束でサボらずに参加することになっていたし、班のメンバー的に俺は人生初の楽しみな学校イベントだと思っている。


『(黒谷)今日の英語の課題見せて』

 さっきの不貞腐れた猫のスタンプはなんだったのか。可愛らしい猫のお願いスタンプ。全く調子のいいやつである。

『(鮎原)了解』


 1限目の英語の授業は少人数で、確か前回の授業彼女はサボっていたはずだ。課題は、英文の翻訳だから写すのにそんなに時間はかからないだろう。



***


 英語の授業の前、黒谷さんからノートを受け取る。

「ありがと」

 教室ではクールな彼女。少しだけドキドキする。とはいえ、俺も「うん」とそっけなく返事をしてノートを受け取った。

 席に戻って授業の準備をしていると、ノートの端っこに可愛い猫のイラストと「ありがとう」の文字。

(黒谷さんって絵も上手いんだな)


「あっ、鮎原君」

 黒谷さんの可愛いイラストにニヤニヤしていたら前の席に座っている秋田さんに声をかけられ慌ててノートを閉じた。

 秋田さんは不思議そうに俺の顔を覗き込んで「どうしたの?」というので俺は「なんでもない」と誤魔化した。

「どうしたの? 秋田さん」

「あぁ、今日の英語さペアでの会話文スピーキングテストがあるじゃん? モカと一緒にやってくれない?」

「いいけど……俺英語あんまうまくないよ?」

「いいのいいの、だから予習で練習してもいい?」

「え? 今から」

「うん……だめ?」

「わ、わかったよ」

「やった、じゃあモカがメアリーで鮎原君がトムね!」

 秋田さんは俺にテキストを開くように命じると、今日テストがある部分を読み始めた。流用な英語に負けないように俺もなんとかついていく。

「うーん、モカ。先生の前では暗記でやりたいからちょっとチェックしてて」

「はいはい」

 一生懸命話す秋田さんに付き合いつつ、ふと黒谷さんがこちらをチラッと見ていたのが視界に入った。彼女の表情が見たことのないちょっとだけ寂しそうな感じで気になったが、秋田さんに「もう一回」とお願いされて俺は視線を外してしまった。





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