変態さん?
「・・・」「うぅん、・・・みっ、道が、違う」
「・・・」「もっ、もぉ~」
「・・・」「かっ、・・・替え、持ってない」
「・・・」「やっ、・・・いやっだたらぁ~」
ドロシーの声がした途端、風が無いのに葉がかさかさと音を立てる。
闇の中に闇が生まれ、はっきりとそこが周りより暗い事が見て取れる。
その闇は小さな点から始まり、ずぅーと大きく広がり、光だけでなく熱も奪う。
黒い球体の周囲にきらきらと、街灯の光を反射する物が現れる。
闇の中に生まれた闇が瞬時に消えると、きらきらと宙を舞う物を押しのけ彼らが現れる。
「よっ、久しぶりだな」「優、久しぶりだね」「がう」「わん」
「ドロシーは」ドロシーが出てこない。
「ほらドロシー出て来いよ」「今更だよドロシー」「がう」「わんわん」
案山子とブリキがドロシーの手を引いて、闇の中から連れ出してくれた。
「ドロシー、僕の可愛いお嫁さん、こっちに来て」「優、怖くない」
「正直、一番最初に見た時は驚いた」
「ほらなぁ~、やっぱりこいつ、チキン過ぎて動けなかったんだぜ」
「でも今は違う、こっち来て」
僕はドロシーの、つるつるてけてけの顔を、その頬を両手で囲む、すべすべだ。
「素敵だよ、ドロシー、うへへへっ」ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。
「ねぇ、優、僕思うんだ。のぺらぼーの顔を愛撫して、欲情するのは変態さんじゃないかな」
「なっ、なんだよ。ブリキ、可愛いお嫁さんに、こぉ~、なんだ色々、色々したいって思うのは、男の性だ、普通だ」
「優のえっち、変態」
「ドロシィ~~~」僕はドロシーをぎゅっと抱きしめる。
「ひゃう」「ドロシー、ドロシー、ドロシー、可愛いよう」
「この親にして、この子有り、って誰か言って無かったか。なぁ、ライオン」
「がぅうぅ」「トトはどう思う」「やっ、やぁん、優、お尻お尻」
「あのさ、優」「ブリキも後でちゅうしてあげるよぉ~」
「いっ、いやぁ、僕は、・・・かっ、案山子を先にはむはむしてあげてよ。僕、後で良いよ」
「がうぅぅっ」「ライオン尖ってるぞ、ちゅうしよう」ぶちゅ~~~~~うっ。
「わんわんわん」「あっ、トト」トトが飛びついて来た。
「おーっ、トト、相変わらず格好良くて可愛いなぁ~~~、ちゅうしてかみかみしちゃうぞぉ~」
「おいっ」「案山子、はむはむして欲しいのか」
「いやっ、あのさ、優」「ブリキぃ~、君の瞳は1万ボルトだよ」
「あ、有難う。因みに僕は100万ボルトだよ、優」
「おい、優」「何だよ、案山子、順番だぞ」
「順番って、ドロシーのお尻ばっかりじゃないか」
「あ~、悪かったよ案山子、さぁ~、おいで」
「あっ、あ~、後でな」「どうしてだよ」
「西の悪い魔女、ほっといて良いのか」
「・・・」「こっ、・・・こんなとこ、連れて来てぇ~」
「・・・」「ほっ、んとぅに、入るのぉ~」
「・・・」「えっ、・・・えっちぃ、なんだかあらぁ~」
「・・・」とんとんとん。「せっ、・・・せきにぃん」
「あっ、あーーーーーーっ」
ぱっちん。「優のばかぁ、ルイーズの事忘れてたの」
「そっ、そんな事無いよ」「ルイーズに言い付けるからぁ」
「いっ、いやっ」ぽん。「ドロシーが可愛い過ぎるのが悪いんだ。う~ん」
「えーーーっ、私の所為ぃ~、じゃぁ~仕方ないかなぁ~」
「ドロシー、それはあんまりだよ。可愛そうだよ」
「さすがの俺も、それは言えないよドロシー、優も酷いなぁ~」
「がうぅぅぅ」「わんわん」
「悪かったよ。ルイーズの事を忘れてた訳じゃない。ドロシーが可愛いからつい」
「優、それでどうするつもりなのさ、僕達まで呼び出して」
「そうだ。俺達が皆こうして出て来た時は、他の人間にも俺達が見える。結構危険だぞ。誰か一人でもドロシーと一緒になっていれば見えないが、正確には人間か動物に見えるはずだ」
「ルイーズを探すのを手伝ってくれ」
「いいとも」「そうだね、僕も手伝うよ」「がうっ」「わんわん」
「それでね、皆は妖精さんなの。ルイーズが特別な力を持ってるって」
「俺達が妖精かどうかは知らないし、特別な力と言うのも持ってない」
「そうだねぇ~、案山子は耳が良いぐらいだし、僕は見た通り目玉だから目が良いくらいかな。あー、ライオンの声はどんな状態でも戻せるかな、トトは犬だから、鼻がいいかなぁ~」
「だなぁ~、この状況なら、トトとライオンが役に立つんじゃないか。相手は姿を変えるんだろう。ライオンなら元の姿に戻せると思うし、魔女が異常な状態ならそれも戻る。トトなら何時も魔女の匂いを嗅いでいるから、すぐにでも追えるんじゃないか」
「トト、何時ルイーズの匂いを嗅いだの」
「何をとぼけているんだドロシー」
「そうだよ。大好きな魔女の匂いを、毎晩ベットですんすんしてるじゃないのさぁ」
「しっ、しっ、しっ、してない、してないからあーっ、ばかあーーーっ」
「トト、ルイーズの匂い、追いかけられるか」
「わんわんわん」トトを下に降ろす。「トト頼めるかい」「わん」
「OKって言ってる。じゃぁ僕と案山子は、ドロシーと一緒に居るよ。それで周りに気づかれる事は無くなると思うよ」
「俺は戻るから、優約束は守れよ」
「分かった、ドロシーが泣いて嫌がってもはむはむするよ」「ばっ、ばかぁ」
ドロシーも案山子も赤くなった。やっぱり連動してるのか。
「ぼっ、僕もだよ、優」「見つめるよ100万ボルトの瞳」
「じゃあな」「またね、優」
そう言うと、ドロシーの顔が、闇を眩く照らし、熱風をまき散らした。




