マックスと桜
待ち伏せの初日は、闖入者があり台無し。
家に帰ると、リビングの壁が、キカイべー01とか言う、秘密基地ぽい、超格好良い物になってるし。
あー、でも、不完全な両親回路って、あれ、元の人格が問題なんじゃないか。
それに、01って言ってるのに、ジローってなんだよ。
それにジローが勝手に扉を開けるからラヴさんが、用も無いのに入って来る。
まあ、そんな事ドロシーとルイーズが許すはずもなく。
ジローを修正して、ドロシー、ルイーズ、そして僕、三人以外の許可なく扉を開けられない様にした。
すると今度は、僕達が愛を深め合っていると、キッチンの壁が、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリと音を立て、気持ちの悪い声で啜り泣くのだ。
それで僕が文句を言うと、それは収まったが、今度は朝早くに家の玄関のカギを開けて入って来るのだ。(マリオンさんはピッキングが出来るみたいだ。)
で、チェーンを掛けて寝ると、昨日、ワイヤーカッターで切断された。
引っ越しをするお金も無し、母さんの目に触れていない事が幸いだ。
可愛い女の子には見境がない。
仕方無く、昨日ラヴさんとマリオンさんとジローと話し合った結果、僕達のプライバシーを侵害しない、探偵業の手伝いをジローにさせる等の条件で、最低優先順位で、ジローの権限をラヴさんとマリオンさんに与える事になった。
注意すべきは、優しい優しいドロシーとルイーズが、ラヴさんとマリオンさんに対して同情的になっている事だ。
とにかく今日でラヴさんの依頼は完了する。
初日以降は妨害も無く、今日まで順調に消化した。
今日も何事も起こらないで終わって欲しい。
今日は昨日、じゃんけんに負けたルイーズが、始めに囮となる。
「だっ、旦那様、ぅ~」
「お早う御座います、マリオンさん、旦那様は止めて下さい」
有難い事にマリオンさんが、朝食の用意をしてくれている。
「でっ、でっ、でも、ここの家の主様ですから、だっ、旦那様とお呼びするのが相応しいかと」
「僕の方が年下だし、名前で良いですよ」
「でっ、では、ゆ~た~かぁ」
「いやっ、そう言うニュアンスはどうかと」
「そっ、それでは、ダーリン」
「そう呼んで良いのはドロシーとルイーズだけです」
「じゃ~、マイ、ハニー」
「ドロシーとルイーズだけが、そう呼んで良いんです」
「どの様にお呼びすれば」
「木下さん、とか君とか、優さんとか、君とか」
「嫌です」「どうして拒否るんですかっ」「キスをして永遠の愛を誓いまし」
「僕が誓ったのは、ドロシーとルイーズです」
なっ、何ですか、何でうるうるするんですか。
「マックス(Max)、パパが、いいえ、ママが立派に育ててあげる、パパを恨まないであげて」
前も同じ様な件があった様なぁ。
「・・・マックスって誰ですか」
下腹を摩ってもダメ、その手が通じるのはドロシーとルイーズだけだ。
「マックスぅ~、パパを嫌いにならないでぇ~」
そんな小芝居、通じないぞ。
ぷしゅーーーうっ。「マリィ~、おはよう、ぉおっ、何をしているの」
「お嬢様あぁーーーっ、パパがマックスを認知してくれないんですぅーーーっ」
「・・・はっ、あかちゃん作戦、うっ、うんん、こほん、桜、パパにめぇ~っ、ってしてあげてぇ、マックスが可哀そうでちゅうぅって」
「・・・ラヴさん」「はい、あなた」
「違います、僕をそう呼んで良いのはドロシーとルイーズです、一応聞いたげます、桜って誰です」
なっ、止めて下さいよ、何でそんな悲し気にするんですか。
「桜、悲しまないで、あなたは間違いなくパパの子よ」
お腹を摩って、・・・お芝居をしても無駄だぞ。
がらがら。「「優」」ちっ、違う、何もしてないっ。
「ルシール、パパがママとドロシー以外の女の人と、兄妹をつくっちゃた」
しくしく。
「ドロシア、・・・ママ、どうしたらいいのぉ、ドロシアぁ」
しくしく。
「「うわあーーーーーーーん」」どたどたどた。走って、行っちゃたよぉ。
「まっ、待ってドロシー、ルイーズ、愛してる、昨日もいっぱい」
どたどたどた、帰って来た。
「優のあほっ」「優のばかっ」「「シャワーに行くのぉー」」
「さあ、お嬢様、お食事の用意が出来ていますよ」「有難うマリィ」
ひもじくても、ドロシーとルイーズと、三人だけの時間が懐かしい。




