お猿さんの方が良いっ
「あーもうっ、やっぱりラヴさんが犯人じゃないですか」
「可哀そうだけど、警察に」
「いやあー、止めてぇー、出来心何です、ここに来れば必ずドロシーちゃんかルイーズちゃんがいて、可愛い尻がぷりぷりゆらゆらしてると思ったらつい」
「何が『つい』ですか」これはマリオンさん知ってたんじゃ。
「依頼者が犯人って、何処のB級、・・・いや、ランク外の小説ですか」
「あっ、それは優様、言い過ぎですわ、“小説家になったろか”も“カクヨン”も、異世界物に偏った読者しかいない中で、それ以外のジャンルを書いて読ん頂くのは、大変な労を要するものなのですわ」
「何処に訴えてるんですか」「さっ、さあ~ぁ」
「とにかく、依頼はこれで完遂ですね」
「いいえ、優様、お嬢様は通りすがりの痴漢で御座います」
「マリィ~、皆がいじめるのぉ~」「はい、ではお屋敷にお戻り」
「嫌っ」「旦那様と奥様がお帰りになりま」
「嫌っ、嫌っ、嫌っ」「ではどうなさるのですか、寮に戻る所はありません」
あっ、そんなうるうるした目で見ても泊めませんよ。
「優、負けちゃだめっ」
「私のお尻を好き放題した人なんだから、負けないで」
「さっ、お嬢様、お屋敷で殿方がお待ちです」
「あんな人の子供を身籠るぐらいなら、お猿さんの方が良いっ」
「分かりました、では類人猿の雄を、お連れします、ゴリラですか、森の賢者ですか、チンパンジー、ボノボ」
「マリオンさん、いくら何でも」「嫌あーっ、お助け下さい、優様」
参ったな、取り敢えず手錠を外そう。
「まあ、そのままじゃ、歩けないですし」
「「うーん」」「まあ、それは仕方ない」「優、優しいから」
「取り敢えず手錠を外しますから、家の嫁に手をださいで下さい」
「うん、分かった」かちゃかちゃ。かちゃかちゃ。「立って下さい」
僕はラヴさんに手を差し出す、相変わらずうるうるしてる。
うーん、仕方ないなあ、僕は片膝を突き、再び手を差し出す。
彼女がそっと手を乗せる。
彼女が立ち上がるタイミングに合わせて、もう片方の手を取り、ラヴさんを支える。
僕もだけれどラヴさんも泥だらけだ。
「わあああぁぁぁーーーー、行くところが無いのぉぉぉーーーっ」「「あっ」」
ラヴさんが抱き付いて泣き出した。「「離れてっ」」
ドロシーとルイーズが引き離す、一旦離れて、二人に抱き着き直す。
「嫌っ、嫌っ、嫌っ、嫌っ、嫌っ、あんなの嫌あぁぁぁーーーっ、わあーーー」
余りにも必死の様子で、ドロシーもルイーズも困惑している。
「とっ、とにかく離れて」「優どうしよう」
「問題は大変シンプルで御座います、優様が、お嬢様とえっちい事をして、お子を作って下さればよいのです、サッカーチームが作れるぐらいが望ましいですね」
「だめ、だめ、だめ、優は、私達だけで十分なの」
「ルイーズのえっち」「ちっ、違うのぉーーー、ドロシーのあほーーーっ」
だめだこれ、捕獲した依頼主が、わあわあ泣いて、今日はこれ以上続けるのは無理だ。
通り過ぎる人が足を止め始めた、真の犯人があの中にいたら、もう来ないかもしれない。
「人が集まって来そうなので、移動しましょう」「わーーー」「「ゆたかぁ~」」
「車の方へ、お送りします」「分かりました、取り敢えず僕達の家に」
あぁ~あ、トラブルがなければ、ドロシー、ルイーズとプチデートをしてお金がもらえる、美味しい仕事だと思ったんだがなあー。
「いやいやいや二人と後ろにろるぅのぉ~」
あーもう。「ドロシー、ルイーズ、いい」
「大丈夫そうだから」「まあー仕方ないかなあ」
「ドロシー様、ルイーズ様、有難う御座います、では優様は、死亡確率の最も高い助手席に」ばたん。
「・・・分かりましたよ」ばたん。
ばたん。「シートベルトをなさいましたか」
「「Yes」」「わあー」「お願いします」
「優様、太ももをなでなでしないで下さい。事故を起こしますので」
「「優」」「してないしてない」「冗談ですよ」
車の中はラヴさんの泣き声以外聞こえない。
とても静かだ、さすがは黒塗り高級車、マリオンさんの運転も丁寧だった。




