予想を裏切らない落ち
多少、時間をロスしたが、始めはルイーズから、30分後にドロシーと交代する事になった。
二人共、この前買った服装で、シャツにパンツ、踵の低い靴、トレンチコート。
帽子は二人が手を加えて、シャーロックホームズ・ハットと言う物になっていた。
更に僕達は、緊急時に全力疾走しなければならない。
下見をした後、手に荷物を持って走るのは、難しい事が予想され、皆で相談した結果、3人御揃いのウエストポーチバッグを急遽発注した。
大きさは13.5×7.5×26と、トランシーバーもいれるので大きめだ。
因みに、ルイーズが『これが良い』と言うので本革製に、一つ1万9440円、×3と結構な出費だ。
届いた品物はとても良い、ベルトはナイロン素材、これなら少々手荒に扱っても大丈夫そうだ。
ドロシーは『絶対経費で落として見せる』と意気込んでいる。
しかし、二人共腰が細い、パンツにベルトを通して止めている、ポーチは前。
「ち、えっち、配置に付いた」「ト、キャット、了解、感度良好」
「トム、ストーム、到着しました、本日、ミンチが特価」
「ち、えっち、ストーム、場所が特定される様な事言っちゃだめだよ」
「ト、キャット、明日ハンバーグにする、感度良好」
「トム、ストーム、御免なさい、ハンバーグは考えとく」
「ち、えっち、後は定期連絡をして」
「ト、キャット、了解」「トム、ストーム、了解」「ち、えっち、了解」
それからは定期連絡と言うより、コールサインを除けば日常会話だった。
「ト、キャット、ねぇ、ドロシー、あの番組録画入れといてくれた」
「トム、ストーム、えーっ、あれはルイーズが入れとくって言った」
「ト、キャット、私言ってない、ドロシーが入れとくって言ったじゃん」
「ち、えっち、僕が入れといた、それに今日はDVDを見る約束だろう」
「ト、キャット、見せて」「トム、ストーム、くれない」
「ち、えっち、御免なさい、いやでも、両隣にこんなに可愛いお嫁さんが」
「ろに後ろに、誰かいる、優、優、スンスンしてるよぉ~」
「ち、えっち、ルイーズ少しだけ我慢して、すぐ行く」
「トム、ストーム、私も行く、ルイーズ頑張って」
待ち伏せをしている公園は60cmぐらいの柵で仕切られ、その内側に背の高い木が植えられ、その下に背の低い木が植えられている。
しかし背の低い木はびっしりと植えられていないので隙間がある。
公園に到着した僕は、木々の隙間から策を跨いで、一旦身を潜め、ルイーズとその周辺を視認する。
「ち、えっち、ルイーズ、じっとしてて、後ろに人影がある」
「トム、ストーム、私も視認出来た、けど、暗くてどんな人かは分からないの」
「たか、優、早く早くコートの中に入って来てすんすんしてるう」
「ち、えっち、ルイーズ、もう少しだ、今近付いてる、ドロシー」
「トム、ストーム、私、直ぐ傍、ルイーズ、コートからゆっくりと手を抜いて」
「ロシーーー、ゆたかぁ~~~」
「ち、えっち、ルイーズ、振り向いちゃだめだよ、コートから腕を抜いたら教えて」
「尻お尻さわあってるう~~~」「イーズ、ルイーズ、落ち着て、腕ぬけた」
「ううっ、お尻お尻お尻に何かあたってるうううう」
「イーズ、コートを脱いで前に走って」「いやあああああああああっ」
ルイーズがコートを脱ぎ棄て、前方にダシュ。
ルイーズのお尻を襲っていた人物は、ルイーズがいなくなった事で両手を地面に付く、加えて、コートが覆い被さり、逃走する方向を見失っている。
「うりゃぁぁぁぁぁぁっ」「やああああああああっ」
僕とドロシーが犯人に伸し掛かり、取り押さえる。
「ドロシー、こいつの足首に手錠掛けてっ」
ルイーズが帰って来てドロシーを手伝う。
ばたばたばたばた。「放して」
「こいつめ、私のお尻は優だけなんだから」
ばたばたばたばた。「放して」
「ルイーズのえっち」「ちっ、違うのぉ~、あほおーーーーーーーっ」
がちゃがちゃ、ギリギリ。「ドロシー、こっち押さえて、任せて」
がちゃがちゃ、ギリギリ。ばたばたばたばた。「放して放してよお~~~」
「ドロシー、ルイーズ、今度は両手、僕が押さえてるから、ポーチから手錠出して、こいつに掛けて」
「「あい、sir!」」がちゃがちゃ、ギリギリ。がちゃがちゃ、ギリギリ。
「二人共離れて」「「あい」」二人が僕の後ろに隠れる。
「僕の大切な人に何てことするっだあっ」
犯人は両手両足に手錠を掛けられ、さすがに暴れるのを止めた。
つるるるるっ、つるるるるっ、がちゃ。「マリオンさん捕獲成功です」
「はい、それはよろしゅうございました、直ぐに車でお迎えにあがりますので、暫くその人とご歓談下さい」
「出来るだけ急いでお願いします」「はい、2~3分お待ち下さい」
「ドロシー、ルイーズ、マリオンさんが直ぐに来る、まずコートを返してもらう、一体どんな奴だっ」
僕はルイーズに酷い事をした奴からのコートを乱暴に剥ぎ取る。
ばさばさ。僕達は一瞬、声を失った。
驚いたからではなく、ドロシーもルイーズも僕も、心のどこかで、こんな“落ち”じゃないかなあーっと思っていたからだ。
「「 「「ラヴさん」」 」「押し倒されるってこんな感じ」「「ちっがうからっ」」




