好きな人といられるって良いな
薄い雲が広がる空、西に傾いた太陽の光が眩しい。
黄色く色付いた銀杏の葉の隙間を通って目に届く。
でも同じ様に風が隙間を通ると、葉っぱがかさかさと音を立てて舞い落ちる。
こんなにも光が溢れているのに寒い、地面に落ちた葉っぱがかさかさと動く。
可愛らしい二人の少女達の足元に、かさかさと吹き寄せる。
「あああああああ、僕のお嫁達さんは素敵だ」
そしてここが、待ち伏せをする公園だ。
「優、寒~い」「もう12月前だからね」「コート着て来て良かった」
「二人共、絵になるよ、素敵だよ」「当然」「有難う優」
「でぇ、どうしてラヴさんも来てるんですか」
「良いじゃない、お婿さんの仕事ぶりを見に来て何が悪いの」「誰ですそれ」
ラヴさんが指をさす、しかしその先には銀杏の木があるのみ。
ふふふ、僕は避けた。
「いやぁ~~、ラヴさんの様な美人に見初められた彼は、果報者だなあ~、あっ、いや、字が違うな、この場合家宝物かなっ、がはははははっ」
「いぃーーーっ、マリィ、やっておしまい」ぽかん。「痛いぃ」「出来ません」
「それじゃあ、依頼はキャンセル、赤字で終了させてやるぅー」
僕は二人を引き寄せる。
「望ところです、僕はドロシーもルイーズも危ない目に遭わせたくない、是非そうして下さい」
「マリィ、マリィ、わたくしもこの様に言って下さる殿方が良いですぅ~~~」
「その様な事を望まれてはなりません、お相手の方は、没落された名家の末裔、気位だけが大変高く、『世界中の女は俺の性処理肉便器だあー』と、憚る事なく口になさる、大空けに御座います」
「いぃーやあぁーっ、どうして、どうして、わたくしがその様な空けと、婚姻せねばならないのです」
「ご安心なさいませ、お嬢様。私の調べでは、口にするだけの事はあって、営みの方は大変お強く、早い時期から性犯罪を重ね、未成年期には、この国の法を盾にやりたい放題。被害者は数知れず、成人してからは順当に前科が付きまして御座います。あっと言う間にお嬢様を孕ませて下さる事でしょう。これで真法家本家に跡取りが生まれれば安泰で御座います」
「嫌っ、嫌っ、嫌っ、聞いてない、聞いてないから」
ラヴさんはマリオンさんに縋る様に取り付く。
「可哀想」「と言うか哀れ」
「二人共」「「御免なさい」」
「マリィ、マリィはそんな男の子供を産めるの、ねぇ~」
「お断りです、私を物の様に扱う者の子供など、絶対宿しません」
「どうして、ねぇ、どうして私、ねぇ~、どうしてよぉ~、助けてよ百合ぃ~」
ラヴさんが、マリオンさんの襟を掴んで、泣きながら揺する。
「百合様は女性ですからお助けす事はかないません、もしこの瞬間にお嬢様の身に何かあれば、真法家本家の血筋が絶えてしまいます。それ故に、後を継ぐ事のできるお子様が必要なのです」
「マリィ、お父様とお母様はどちらにおいでになるの、ぐすん」復活した。
「今日はお二人共、お屋敷においでになります」
「マリィ、帰ります」「どちらに」「お屋敷です」「仰せのままに」
ラヴさんは歩き出していた。
「あの~、このまま進めても良いんですか」
「お嬢様に心残りが有ってはなりません、このまま進めて下さい、残金は明日、私がお持ちします」
「マリィ、お急ぎなさい、それから、お父様とお母様に伝えて頂戴」
「はい、お嬢様」マリオンさんは、お辞儀をして立ち去った。
二人が僕の両側に来て、腕を組む。
「お金がないのは困るけど、私は好きな人と一緒に居られてよかった」
「優は、私の事もルイーズの事も、一番に考えてくれてる。私達も優の事を考えてるの、これから生まれて来る家族の事も、だから手伝わせてね」
「・・・有難う、でも避けれるなら避けたい」
「大丈夫、優、来てくれるでしょう」
「うん、助けに行くよ」「うわ~ぃ、頼もしいぃ~」
僕達は、広くはない道を腕を組んだまま、僕が待機する予定の公園に向かう。
何て迷惑な奴等だと行き過ぎる人は思っているだろう。
100、2、30m、この幸せな時間をどうか許して欲しい。
それから僕達は、ドロシーとルイーズが交代で待機する予定の駅前に移動した。
すっかり日が落ちてしまい、ケーキ屋さんには行けない。
目の前にいつものスーパーがあるので、市販のちょっといい目のプリンと、パン売り場の横に並べてあった、一応モンブランを買って、この日は引き上げた。




