探偵帽とトレンチコート
僕達は、まず近所のコンビニでお金を引き出した。
そこから少し歩いてバス停に行き、バスに乗って湾岸のベイエリアに立ち並ぶ商業施設に向かった。
普段の買い物なら、駅前のスーパーで良いが、衣料品や自転車となると、近くでは揃わない。
しかしここなら、ホームセンターもあるし、ウニクロもあるし、自転車屋さんも、電気屋さんも、スーパーもある。
距離があるから車を持たない僕達は、頻繁には来る事は出来ない。
「うわあ~、何ここ、おっきいお店が、あっちまで並んでる」
「優、何でも揃いそだねぇ」
「うーん、ここに来れば、だいたいの物はそろうけど、車が無いと来れないんだ」
「じゃあ、先にお洋服からね、優、行こう」「あー、私も」
「二人共、僕は嬉しいけど、腕を組むと道を塞ぐから、二人は前を歩いて」
「「ぶぅ~~~っ」」「いや、仕方無いから、ウニクロに行こう」
店に入ると二人は、何かを探し始める。
「ドロシー、ルイーズ、来て」「どうしたの」「何々」
僕は二人を呼んで、他の人の邪魔にならない所に行く。
「はい、お財布、二人で店の中を好きに回って来て、それとバスの中で教えた通り、買い物が終わったらスマホで連絡して、あっ、500円頂戴、僕は缶コーヒーでも飲んでるから」
「じゃあ、はい、500円」「お財布落とさない様にしてね」
「分かった」「行こうドロシー」「待ってルイーズ」
僕も30分ほど店の中をうろうろして、飽きたので、外に出て日の当たる長椅子に座り、缶コーヒーをちびちび飲んで、次は自転車かなと考える。
買うのは二人の分だけ、つまり二台、と言う事に思い当たる。
「あー、二人は自転車に乗って帰れるかな、あの道を真っすぐ行けばいいはずだけど、帰りはスマホを繋ぎぱなしにしとこう」
ぶるぶる。ぶるぶる。「おっと、終わったのかな」
ぴっ。「はい」「木下 優さんの携帯ですか」
「間違いないよ、ドロシー、買えた」「うん、買えた、着替えさせてもらった」
「今何処」「入って来た所に向かってるとこ、優は」
「そこを出た所の横にある、自販機の傍」
「分かったもう直ぐだから、切るね」
ヴゥィー。「優」「待ったぁ~」「おーーーっ」
二人は大きな紙袋を一つづつ肩にかけている、帰りは自転車に乗るので、中で着替えて来た。
ウニクロなのに、凄い可愛い、でもやっぱりまずは見た目から入るんだね。
下はデニムのジーンズでドロシーは青で、ルイーズは黒っぽい。
靴も踵の低い、黒色のエナメル質のバレーシューズ。
上はシャツで、ドロシーがグレイ、ルイーズがピンク。
更に上、頭には帽子、紙風船を半分にして、短い鍔を付けた、映画に出て来る探偵が被ってる様なやつだ。
そして、寒くなったとは言え、まだトレンチコートは暑くないかな。
しかし、二人共スタイルが良いし、何を着ても似合うなあ。
「どうかな、優」「どおどお、可愛いでしょう」
「うん、二人共、とっても素敵だ」「良かった」
「この後、自転車に乗るから、ドロシーに髪を結ってもらったの、可愛い」
「ルイーズ、とっても似合ってるよ」「私も髪伸ばそうかな」
「ドロシー、凄く似合ってて、可愛いよ」「有難う」
「私も可愛い」「ルイーズ、とっても可愛いよ」「えへへっ」
「ドロシー、ルイーズ、スマホの使い方、分かった」「「うん」」
「じゃあ、さっき通り過ぎた自転車屋さんまで戻ろう」「「あい」」
「でさぁ、二人共さすがにまだコートは暑くない」「暑い」「私も」
「それ脱いだら寒い」
「多分大丈夫だと思う、店員さんに勧められて、シャツの下に暖かいのも着てるの」
「袋貸して、僕が持つから、二人はコートを持って」
「「わぁ~い」」「優が初めて役にたった」
「ルイーズ、言い過ぎ」「ドロシー、僕の目を見て言って欲しいなあ」
がさがさ。「「はい」」「お願いします」「持ってぇ~」「納得いかん」
お~、二人共体の線がでるなあ~、やっぱりコート着た方が。
う~ん、他の人に見せるの、口惜しいなあ~。
「ドロシー、ルイーズ、やっぱりコート着ない」
「え~、暑ーい」「どうして」「うーん、ちょっと」
「どこか変かな」ドロシーが回って見せる。
「あーっ、ドロシー、優妬いてるんじゃない、ほらこの服、今まで着てたのと違って、体の線が出てるでしょう」
「そう言われれば、ちょっと恥ずかしいかも、優妬いてるの」
妬いてない、妬いてないぞ。
「ドロシー、暫くこのまま歩こう」
「そっ、そうね、少しは私達の気持ち解るかも」
「・・・そうか、じゃあ、行こう、自転車屋さん」




