僕だけの初体験
歯磨きを終えて、皆リビングの中央に帰って来た。
「優、目を閉じて」「おっ、おう」僕は素直に目を閉じた。
「こっち来て」ルイーズは、僕の腕に胸を押し当てて、僕を誘導する。
「じゃあ~、ここに座って」「おーう」
ゆっくりと腰をおろすと、手に何か当たる。
手触りから、どうも、さっき丸めて壁に寄せた敷物の様だ。
「これで良い」「うん、良いって言うまで目を閉じてて、絶対だから」
「じっとしててね、絶対だからね」ああーーー、緊張する。
暫くして、僕の口に心地の良い柔らかな、歯磨きの匂いのするものが押し当てられた。
僕は驚いてびっくっとする。「目を開けちゃダメ、お願い」「そう、そうか」
想像通りなら、ルイーズとキスをしているらしい。
「う~ん」僕は正面にいるだろうルイーズを抱きしめる。「ふ~ん」
「あーーーーーーーーーっ、ルイーズ、何故キスしてるのぉー」
「目を開けちゃダメ、ドロシー、邪魔しないで、これはこう言う魔法なの」
魔法、まあ、とってもいい魔法なので、目は閉じとこう。
「嘘っ、絶対嘘っ、そんな魔法絶対ないからっ」
「ふーん、あるんだなーこれが、それにこれ、長い時間維持しないといけないから、時間もかかるの、ドロシーは、そ、こ、で、もじもじしてなさーい」
「うっ、もうううううううううっ、嘘だったら承知しなっから」
「いいじゃない、ドロシーだって、魔声を使うに決ってるんだから」
「優、続きぃ~」「どっ、どんとこい」そしてまた、多分キス。
目を閉じたままルイーズを抱きしめる。
そのままだと不安ていだから仕方無いよ、うん。
「う~ん、・・・ふっ、う~ん、はあ、はあ、まっ、まだ、だから、優」
ちゅっ、ちゅっ。「う~~ん」「おーい、まだなのかあー、ドロシーがじれてるぞ」
「ふん、う~ん、もっ、もうちょっとだけ」ちゅっ。「う~~~ん、・・・」
ルイーズの唇が僕から離れる。
「優、目を開けて、私とドロシーを見て、いっぱい感じて」
僕の目の前には、膝に跨るルイーズ、その奥に視線を移すと、そこは僕の部屋ではなく、何処か作物を刈り取った後の田舎の風景。
「おーーーーーーーーーーーーーーーっ、何、これ、ここ何処、凄ぉーーーっ」
「私の幻影魔法、ここはカンザスの田舎町、あっ、でも気を付けてねっ、幻影だから、部屋の大きさが変わった訳じゃ無いの」
「凄い、凄いよ、ルイーズ」「いっ、痛いよ、優」
僕は余りにもリアルなこの風景に興奮して、腕に力が入ってしまった。
「あっ、御免」「やっ、優しくしてね、ねっ、ねぇ~ぇ」
ルイーズ、揺すっちゃ、こっ、これ。
「私、優なら」
「ねえ、トト、この道の向こう、あの丘の向こう、そして青い空の向こうに、私が見た事も、聞いた事もない世界があって、魔法の世界もあるかもしれない」
「ドロシィーーーーーっ、もう少しだったのにぃーーーーーっ。優、私の事も見てて」
そう言うとルイーズは、僕の腕から抜け出して姿を消した。
「そこに素敵な人が居るかもしれない」
「トト、私、行ってみたい、素敵な人に会いたい」
「♪Somewhere over the rainbow(どこか虹を超えたところ)」
「♪Way up high(ずっと上のほう)」
おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ、ドロシー、うっまっ。
顔はのっぺらぼーではなく、最初に見た、可愛らしい顔、うーーーっ、素敵だ。
聞き入ってしまった。
おっ、竜巻、逃げ込んだ家が、家が飛ばされる、凄い風だ、本当に吹いてる。
もう少しでスカートが、・・・ああっ、・・・見えた、はっきりくっきり生で見た。
「私、虹を越えたんだわ」あっ、誰か空から来た、魔法使い、ルイーズ。
降りて来た、スカートが捲れあがって、・・・おっ、全部見えた。
「あなたは良い魔女、悪い魔女」「私はカンザスから来たドロシーよ」
「マンチキンが東の悪い魔女を家ごと倒したって言ってるわ」
おわっ、いつの間にか、誰かが飛ばされてきた家の下敷きに、赤い靴が出てる。
「私はグリンダ、良い魔女、マンチキン達は大喜びよ」
「マンチキンて誰なの」「この街に住んでる小さな人達よ、出てきなさい」
「ほら、優、ねぇーってば、優」
「えっ、僕」「そう、優、早く」えーっ、これ参加型なの。
「♪さあ、皆出てらっしゃい、星から降りて来たお嬢さんに挨拶をして」
「ちょっと、ルイーズ、僕台詞とか分らないよ」
「大丈夫、私がいっぱいキスしたから、教授の魔法、って、ラノベで読んだ」
ラノベって、あっ、解る。「♪マンチキン市にようこそ」すげぇー。
おっ、もう一人魔女らしい人が、・・・煙の中からじゃ、見えないよぉー。
でも、凄いな、ルイーズ、同時二役、これも魔法かな。
「姉さんを殺したのは誰だい」「事故だったの」「事故でごまかすのかい」
「西の悪い魔女、ルビーの靴は良いの」「そうだったね」
西の悪い魔女が靴を取に行くと目の前で消え、ドロシーが履いている。
「何処へやった、お前か、返しな」「私、取った訳じゃ」
「その靴、魔力が強いから欲しがってるの」
「ここでは何も出来ない、返さなければ、その犬とお前の命はないよ、絶対逃がさないからね」
と悪態をついて去って行く。
「西の悪い魔女を敵にしてしまったわ、オズの国を出てお家に帰った方が良いわ」
「どうしたら帰れるの」「それを知っているのは、偉大なオズの魔法使いだけ」
「良い魔法使い」「謎は多いけど立派な方よ、エメラルドシティーに住んでるの」
「どうやって行くの」「千里の道も一歩から、マンチキンが町のはずれまで案内するわ、黄色いレンガの道をたどっていきなさい」
「優、マンチキンの出番」「おっ、おう」
「好きにして良いからね」ほぉー、好きにして良いと、むふふっ。
ドロシーが黄色いレンガの道の上を歩き始め、僕はドロシーの前に行き。
「♪♪僕が連れていってあげるよぉ~」と、役を利用して、抱き着いて、お尻をなでなで、むにゅむにゅ。
「あっ、ちょっ、優」手を取って広がって、また引き寄せる。
「♪♪僕に負ぶさって、連れていってあげるよぉ~」と、しゃがむ。
「優、そんなシーンないわ、・・・もう」
ドロシーが渋々僕の背中に、おーーー、ドロシー、柔らかい、良い匂い。
ドロシーと手の間にスカートがあると滑るので、上手く避けて背負う。
「「♪♪黄色いレ」」
「♪♪ンガの道よ」
「ん~の~道よ」もみもみ、すべすべ。幸せ~。
「「♪♪黄色」」
「♪♪いレンガの道をたどって」
「い~ン~道をたどって」さわさわ。
「♪♪たどれたどれ黄色い道を」とんとんとん。ドロシーが肩を叩く。
「♪♪さあ、会いに行こう、大魔法使いに」
町はずれまで来たので、名残惜しーけどドロシーを降ろす。
あれっ。ドロシーが降りない。
「ばかばかばか、えっち」「ごっ、御免、つい調子に乗っちゃって」
しゃがんでドロシーをゆっくりと下ろし、両手を取って、立ち上がらせる。
「♪美少女と野獣、ずっと同じ」
僕とドロシーは踊り出す、何故か背景も変わる。
「えっ、ちょっと、別の演目、私の魔法なのに、私、ティーポット」
「♪いつの世も、ずっと変わらず、確かなこと、太陽が昇るように」
抱き寄せてキス。「はうっ、・・・もう~~~」
背景が戻った。「魔女に戻った」
「♪♪さあ、会いに行こう、大魔法使いに」
そして進むと、トウモロコシの畑で賢くなりたい案山子に会う。
「♪頭を掻けば、名案も浮かぶ、脳みそがあれば」
「「♪♪オズの魔法使いに会いに行こう、賢さを貰いに」」
またまた進むと、森の中で錆びたブリキマンに会う。
「空なんだ、ブリキ屋さんが心を入れ忘れたんだ」
「♪♪心さえあれば」
「「 「♪♪オズの魔法使いに会いに行こう、心を貰いに」 」」
更に進むと、何かが潜んでいそうな暗い森の中、ライオンに出会う。
「勇気がなくて、自分の事も怖いんだ、夜も眠れない」
「♪♪もう大丈夫、魔法使いが勇気をくれる」
「「 「「♪♪もし願いを叶えて来るなら」」 」」
「♪♪僕は賢くなりたい」
「♪♪わしは心」
「♪♪おれは勇気」
「「 「「♪♪オズの魔法使いに会いに行こう」」 」」
西の悪い魔法使いが水晶で、様子を見ている。
「私の警告を無視したねえー、皆一緒に殺してあげる、ルビーの靴が手に入ればそれでいいのさ」
そんなこんなで、エメラルドシティー到着。
大魔法使いオズ(ルイーズ)は、願いを叶える資格があるか試すと言う。
その資格とは西の悪い魔女のほうきを持って来る事、ドロシー達は怖々向かう。
そして西の悪い魔女が、案山子に火を点けた。
それを消そうとドロシーは、傍に有った桶を掴み水を掛ける。
案山子の後ろにいた西の悪い魔女にも水が掛かり溶けてします。
ほうきを持って帰ったドロシー達、しかしオズは、魔法使いではなく発明家だった。
オズは、案山子、ブリキマン、ライオンが欲しがっているものを既に持っている事を諭し、教えてくれる。
「ドロシー、ここにいなよ」
「嬉しいは、でも、ここはカンザスじゃないの、エムおばさんが私の事を忘れちゃうかもしれない、案山子どうしたらいいの」
おっ、北の良い魔女が空から降りてくる。
もうちょっと、もうちょっと早く降りてルイーズ。
「あの人が助けてくれるよ」「助けてくれる」あーーーぁ、今回はダメだった。
「助けはいらないわ、自分で帰れるもの」
「どうして早く言わないのさ」
「賢い案山子には分るでしょう、言っても信じないわ」
「どうすればいいの」「その靴が連れっててくれるわ」
「今すぐに」「いつでも」
「みんな大好きよ、さようなら」「用意は出来た」
「トト、さよならをして」「出来たわ」
「では踵を3回打ち鳴らして、やっぱりお家が一番って念じるの」
「やっぱりお家が一番、やっぱりお家が一番、やっぱりお家が一番」
「起きなさい」ドロシーは自分のベットで目が覚める。
傍らにはエムおばさんがいて、ドロシーはオズに行った事を訴える。
「静かにして頂戴、悪い夢を見たのよ」
「魔法の国に行ってたの、そして、あなたも、あなたも、あなたもいたわ」
ドロシーは家族のいる家に帰って来た。
えっ、何故エンドロール。




