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HannaH II  作者: LR エルアール
序章
3/8

第1話 休暇

読者の皆さまへ


※仲間に攻撃的になるのは控えましょう

2163年2月5日(月)17:35 アウェインホテル2F

ルーガ軍の再侵攻が始まってから、半年以上経った。だが、そんな戦争中にも関わらず世間は全く呑気なものだ。

何しろ街は普通に商売しているし、通りを見れば当たり前の如く人々が行き交っている。

「戦争」という言葉が全く聞こえないと言うわけではないが、攻められているのはこちら(バース)側なのに、国民の顔には危機感の「き」の字もない。


ハンナは窓の外の港町を眺めながら、ハァと溜め息をついた。

「せっかくの休暇なんだから、そんなにピリピリしなくてもよくない?」

ダントはハンナの感情を察知して言った。

「今この瞬間に、街が炎の海になってもか? 」

そう言いながら、ハンナはダントの左隣にスッと座った。白いフードに隠されていても、こちらを睨み付けているのがわかる。

「そう言われると本当にそうなりそうだからやめて・・・。」

普段からやたらと的中率が高いハンナの予測。

ダントは若干の不安を感じた。


二人が居るのはバング地方では有名な温泉旅館だ。その中の休憩スペースのような広い場所で、10人足らずほどの人数の客の中に混ざって漫画を読んでいる。

ここにはハンモックや室内用テントもあり、部屋じゃなくても開放時間内なら寝て過ごすことができるので、ゴロゴロするのが好きな二人には最適な場所だ。


と、隣に座っていたハンナが、いびきを立て始めた。

〔もう寝てるの・・・?〕

あまりにも速すぎる就寝だ。まだ時刻は6時にもなっていない。だが、コレもハンナにとってはよくある行動だ。

ダントはハンナの肩に毛布をかけてやっていると、ポケットのスマホがブオンと振動した。

ハクからのメールだ。


ハク

____________________

イヤッホー!! 

休みを楽しんでいるか、ダント!

コッチは久しぶりに甥っ子と遊園地だ!

ハッハッハ!

たまにはこういう息抜きもしておかないとな!

そっちはどうだい?兄弟とは仲良くしてるか?

共々、日頃の絆を強めて任務に励もうぜ!

まあ、俺は今日も明日も妹の尻に敷かれてるぜ!

物理的にも社会的にもな!

羨ましいだろう• • • 。

じゃあ、またな!


追伸

ここのジェットコースター、マジでスリルパネエから一度乗ってみな!飛ぶぞ!

____________________


「?•••??•••???•••????」

ダントは混乱した。この文面はあの真面目な人が送ってくるメールにしては明らかにおかしい。

しかも絵スタンプがところどころ貼られていて、まるでおじさん構文だ。こんなメールをあのハクが送ってくるだろうか?


「へへ、俺が盗んだんや。」

突然前から声がした。スマホから目を離し、前を見るとシフォルンが立っていた。

「え、シフォルンもここに来てたの?」

ダントは驚いた。

まさか基地からだいぶ離れたところで同じ部隊の戦友に偶然会うとは思わなかった。

「おうよ。最近、ナウナ好きの奴と仲良くなってな。」

シフォルンがニカッと笑いながら後ろを指差す。

後ろには数人の大柄な男達がいた。

彼の名はシフォルン。

ハクの親友で、ハクとは対照的に陽気な性格だ。

シフォルンはダントの横のハンナを見ると、

「へえソイツとコ↑コ↓に来たんか。大変やな• • • 。」

と、同情した様子で言う。

「どちらかと言うと連行されたんだけどね• • • 。」

苦笑いしながらダントは答えた。


そこでダントはハッと重要事項を思い出した。

「あ、そう言えばさっき、ハクのスマホ盗んだって言わなかった?」

「おん。でも大丈夫や!あいつは連動させたスマホをもう1個持っとるからな!ハッハッハ!」

そう言ってシフォルンはニカッと笑う。

「イヤ・・・そういう問題• • •なのか• • •?」

ダントとシフォルン達がそういう会話をしていると、ハンナが、突然ムクリと体を起こした。

「あ」

ダントはしまったと思った。

ハンナがシフォルン達に向かって冷たく低い声で、

「・・・五月蝿(うるさ)い。睡眠の邪魔だ。」と言った。


一瞬で空気が凍りつく。


ハンナはダント以外の人間には半年前のこともあり、だいたい怖がられている。もちろんシフォルンも例外ではない。

「じゃ、じゃあな、ダント。サウナ行ってくるわ。」

と、シフォルンは気まずそうに言うと、他の男達と一緒に出て行った。

それを確認すると、ハンナは再びいびきをかいて寝始めた。


シフォルン達が去っていったところで、ダントは寝ているハンナを見ながら、ため息をついた。

〔本当にハンナは何なんだ・・・。〕

ダントは先程の彼女の行動を思い返した。

ハンナは常に怒っているような雰囲気で、何故か周りの人間に対してやたらと攻撃的な態度が感じられる。

もちろん、相手を恐喝するような単語も、相手を挑発するような台詞を頻繁に使用するわけではないが、彼女が言葉を話す時の、一切の上下がない口調や感情のこもっていない低い声色に、そこそこの頻度でする会話中の舌打ちは、どう考えても愛想が良いとは言えない。

また、一度だけ自分の幼少期について皆で喋ろうとした時も、ハンナは自分の事について語るのを頑なに拒んでいて、それ以来皆、彼女の過去には触れるのを避けている。


近くに設置されている室内ハンモックに寝そべって、漫画のページをめくった。

〔へえ~。この発言がこっちの場面に繋がるのかあ。〕

そんな事を考えながら、ダントは読書(漫画を、読書と言えるのかは不明だが)を楽しんだ。


ーーー


18:43 同所


〔いやあ、面白い漫画だったなあ。流石、ニュースになるだけの事はある。〕

ダントはハンモックから降りると、体をググ~ッと伸ばした。

〔お腹減ったから、食堂いこうかな。〕

そう思って出口に向かうと、先程ハンナに追っ払われた人達が入ってきた。


「よっ。ダント。」


シフォルン達が温泉から上がってきたらしい。

〔浴衣姿似合ってるなあ〕

そんな事を思っていると、後ろにさっきとは違う人が増えているのにダントは気付いた。

ハクだ。

シフォルンらとお揃いの浴衣姿をしている。

「よう。休暇楽しんどるか?」ハクが言う。

「あれ、ハクが何でこんなところに?」

ダントは驚いた。

「ああ、実はコイツに盗まれた携帯を返してもらいにきたんや。」

ハクはシフォルンを右腕で指しながら言った。

「それで遥々ここまで来たの・・・?」

約一時間ぐらい、仕事を放棄してやって来たのだろう。ダントはハクに同情の目を送った。


ダントはシフォルンは悪い奴だと思った。


「ハク、お前は働き過ぎなんだよ。たまにはガキの頃みたいに遊ぼうや。ちょっとは息抜きしないと、過労死するで?」シフォルンが笑顔で言う。


ダントはシフォルンは良い奴だと思った。


「いや、それは嬉しいんやけどな、わざわざスマホを盗む必要ってあるんか?」ハクが怪訝な様子で言う。


ダントはシフォルンは悪い奴だと思った。


「だってお前、上司からの、定時でも帰らせないオーラ出す系パワハラがウザいとかゆうてたやん。こうすれば、その場から逃げれるし、休暇も楽しめるやろ?」シフォルンが、違うか?と言いたげな顔をする。


ダントはシフォルンは良い奴だと思った。


「そっか・・・ありがとう。・・・じゃあスマホの中勝手に見る必要あったん?」ハクは一瞬照れたが、すぐに大真面目な顔で質問した。


ダントはシフォルンは悪い奴だと思った。


「すまん・・・それは魔が差して。」シフォルンは低頭平身謝罪する。

「でもありがとうな。俺を連れてきてくれて。」

ハクはシフォルンの肩をポンポンして感謝の意を示した。

そうやって二人は笑い合った。


ダントは二人は本当に仲良しな親友だと思った。


「あ、そうそう。それからダント、お前に用があってな。」

シフォルンがダントに体の方向を向けた。

「ん?どうしたの?」

ダントは不思議そうに尋ねた。

「この旅館の食堂に、美味いやつが出てくるらしんや。一緒に食べに行かんか?」

シフォルンは眼をキラキラさせながら言った。

見事にグッドタイミングだ。断る理由がない。

「奇遇じゃん!ちょうど俺も今から食堂に行こうと思ってたところ!ハンナは•••」

「やめといた方が良いんちゃう?こうゆうの誘っても、来る奴ちゃうし。起こしたらまた、キレられるやろ。」

ハクが助言した。

「それもそっか。じゃあ、行こう。」

ダントは納得して、シフォルン、ハク、他と一緒に部屋を出た。


ーーー


19:11 アウェインホテル1F食堂


「ウッッッマ!!このラーメンうっま!!」

ダントは席に運ばれてきたラーメンの旨さに驚愕した。

「でしょ?使ってる素材がかなり貴重なヤツだからね。」

シフォルンやハクと一緒にいたうちの一人がダントに話しかけてきた。

ビット•リゲイト。

シフォルンとよくつるんでいて、こうしてたまにダントとも話す。

「実は使っている出汁(だし)ってゆうのがね•••。」

ビットはダントに耳打ちした。

「え、それって相当貴重なヤツでしょ?それなのにこの値段?」

ダントは驚愕した。

「だから、期間限定かつ数量限定やねん。ささ、今日は俺の奢りや。遠慮せず食えよ。」

シフォルンがグッドサインをして、ニカッと笑った。


ラーメンは絶品だった。

キャラ図鑑1


ダント•ジーバンブー



身長163cm 体重50kg 18歳♂8月7日誕


血液型O型


趣味:漫画、剣道


嫌いなもの:お偉いさんとのやり取り、一発芸をさせてくるタイプの人


好きなもの:正直な人、揚げ物、イルカ


外見:緑髪で、眼鏡をかけている。緑色の目をしているが、カロワから渡された眼色の影響で右目の結膜が赤色になっている。


得意:持久戦、精神戦、水中戦


不得意:パワー勝負、頭脳戦


エナジーレベル:62(フェーズ2)

眼色:緑、赤(カロワから渡されたもの)

戦闘タイプ:タンク

ステータス

攻撃:☆

速度:☆☆

頭脳:☆

能力:☆☆☆

体力:★★★★★★(Max)


ジーバンブー血族の直系の次男として産まれる。

親戚との関わりが多い。

かつてはバース政府に叛逆行為を行ったため、身柄を拘束され、処刑されそうになるが、家族の計らいで、軍への非正規隊員転用に変更された。

敵軍幹部のバッシーガに連行されて消息不明となった師匠カロワ•ヴァンテルアを捜すために、利害が一致したハンナと協力関係を結ぶ。

馬鹿で勉強が苦手だが、勘が鋭い。


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