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召喚勇者の異世界攻略  作者: ナナシリア
召喚の勇者
7/20

7話 学院の授業

 黄色と黒に染まった。黄色は光属性だと聞いているが、黒は何なのだろう。わからないことがあれば挙手しろ的なことも言っていたので手を挙げる。


「先生」

「はい、なんでしょうか?」


 俺は黄色と黒に染まってしまった紙を先生に見せて質問する。


「黒く染まったんですが、これはどういうことなのでしょうか?」

「ええっと……すみません、私ではわかりません。あとで王立図書館で調べてはみますが、期待はしないでください」

「あ、はい」


 というわけで、どうやら先生にもわからないらしい。結果はこの時間中にはわからないだろう。

 暇になってしまったので、ふとアリアの方を見ると、その紙は白いままだった。正確にはアリアの血の色だろうか、赤が混じって入るのだが、属性を示す色は全く見られない。




 授業が終わるまで国王にもらった魔術の教科書を熟読していると、直ぐに授業は終わった。ちなみに教科書の内容は、魔術の使用は119番目の元素である魔力を消費し、空気中の物質と化合させて何たらかんたらと、よくわからない内容が書き綴られていたが、確かに納得は出来るような気がした。


 今日は全ての授業が初めてなので、2時間連続で行われるという。

 午前だけの授業で、1,2時間目が魔術、3,4時間目が武術という、なんとも武闘派といった感じの授業だ。


 10分間の休み時間の間、先生はどこかに行っていたが、2時間目が始まるとすぐに教室に入ってきて俺に話しかけた。


「この勝界人全集で何かわかると思って読んでみたのですが、黒色は精霊術と呼ばれる術が使えるそうです」

「はあ」


 勝界人というのは、これまで聞いた話によると過去で一番活躍したともいわれる勇者であり、様々な文献などを残したようだ。

 その中でも勝界人全集というのは有名で、勝界人が知ったすべての事象を載せたものらしい。王立図書館に置かれるほどの正確性と知識量を誇るようだ。


「精霊術に関しては放課後にでも勝界人全集を読んでいただければよくわかると思います。私も学んでおくので、教えられるようにしておきます。外部から講師も探しておきますのでしばらくはご自分でよろしくお願いします」

「あ、はい」


 そういう事情があったが、俺は光魔術にも適性があるようなのでまずは皆と同じく魔術の授業を受けることとなった。




 魔術の授業が終わった。やはり魔術の教科書に書いてあることを教えているのだが、先生が時々、秘匿されていそうな重要そうなことをポロっと零してくれるお陰でかなり魔術に関する認識が深まった。


 3,4時間目は武術の授業があり、訓練場で各々刃を潰した得意武器を持って戦うらしい。俺に得意武器などないが、聖剣使いとして剣の使い方に慣れておきたいので、剣を選択しようと思っている。

 アリアは元から剣が得意で、ラファエルさんも同じく剣が得意のようだ。


 まずペアを組んで剣の型をやるという話なので、アリアに王家で使われているという【王龍剣術】を教わることにする。これには2桁にも上る数の型が存在しており、その一つ一つに長所と短所が存在しているらしい。


 アリアにある程度基本技の原型を教えてもらうと、直ぐに校舎に囲まれたところにある闘技場へと向かう。そこには既に半数以上の生徒が集まっており、授業まであと3分。ちなみに先生はもう闘技場にいる。


 授業が始まり早々、まずはお手本という事で、アリアとラファエルさんが一度交えることとなった。そもそもラファエルさんの相手はアリア以外が務めても一撃で決着がついてしまうので判定できないということでもあるらしい。


 そうしてアリアとラファエルさんの対戦が始まったが、一撃で終わりとまではいかないが一方的な勝負になっている。勇者でありスペックが高い俺と、元ベテラン冒険者で神都でも名を馳せていたらしい先生は何とか目で追うことができているが、他の生徒は全く見えていないようだ。


 アリアも恐らく見えておらず、恐らく戦闘勘で見ているのだろう、ラファエルさんが動き始めた途端、回避行動を始めている。


「ラファエル殿下の実力はもうわかりましたから、そろそろやめて頂けると……」

「わかった」


 先生のやめてほしいという希望に対し、ラファエルさんは快諾し、直ぐにアリアへの攻撃をやめた。ふとアリアに視線をやると、彼女は息を切らしている。まああれほどの猛攻を受けたらそうなるのは仕方がないだろう。


 先生の指示により、俺は不良のような人、先生によるとその人はドミニクという名らしいが、彼と戦うことになった。

 と言っても俺は戦いのやり方など全く分からないので、勘の導く通りに剣を振るしかないのだが。


 それだけでも素のスペックがかなり高い俺はかなり対抗できていたようで、技術はからっきしなのにドミニクを圧倒していた。

 ちなみにドミニクの技術は教官も目を剥くほどだった。


 それから他にもかなり実力の高い人たちがいたが、最初に戦った3人に技術で及ばず、スペックの面で見た場合は俺に及ばない者ばかりだった。とはいえ相当な実力であるのは確かだ。




 それからしばらく剣の使い方を教わったり、放課後精霊術について軽く調べたりといろいろあったが、初授業の日は平穏無事に終わりを迎えるのだった。


 精霊術は魔力を使って精霊に術を行使してもらうもので、自分の魔力制御が狂っても問題なく発動できるという点があるらしい。そのため、自分に対してかける催眠魔術を精霊に使ってもらうことで安眠効果があるという。


 また、魔術を行使するのは大気中に存在する精霊なので自らの熟練度が低くても、あるいは今の俺みたいに皆無でも効率は悪いが精霊術を扱うことができる。


 その催眠魔術を使ってもらい、眠りにつくのだった。

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