表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚勇者の異世界攻略  作者: ナナシリア
召喚の勇者
4/20

4話 鍛錬

 俺が召喚されてから2日目の夜、3日目の予定が発表された。どうやら朝から魔物モンスターを討伐するらしい。防御力が非常に高く、並の冒険者ではオーガよりも戦いにくいというスライムをメインに倒すようだ。


「スライムって俺の世界では雑魚キャラとか言われてたんだけど、そんなに強いの?」

「それはもう強いですよ。粘性で殆ど全ての物理攻撃を受け流し、魔法攻撃を軽減する粘液まで身に纏っています。殆どの攻撃が効かない上に、攻撃面においても、対処法が少なく厄介な毒、粘性を利用し変形させた身体で殴りつける打撃など、強力なものが多いです」


 えっ。

 せっかく物理職取ったのに、効かないのか?

 いや、勇者だから……勇者だから効くに違いない……多分。


 冗談はともかく、俺が役に立たないことは分かった。そしてスライムが途轍もなく強いことも分かった。ならばどうやって対処するのだろうか。


「対処法とかってあるのか?」

吸収ドレインくらいしか思い浮かびませんね……国でも吸収ドレインを使うよう定められているはずです」

吸収ドレイン?」

「相手の魔力や生命力そのものを吸収する魔術の一種です。魔術の中では比較的簡単に習得出来て、強力で汎用性の高いスキルなので冒険者は習得することが推奨されています」


 そこらへんでアリアとの会話は終わりにして、各自の部屋へ戻り明日に備えて就寝。




 朝がやってきた。今日はスライムの討伐に行く日だ。スライムの討伐と言っても複数体のスライムを討伐するのではなく、賞金首というのだろうか、1体に大金が懸けられている強力なスライムを相手するらしい。


 個体名などは付けられていないが、どうやらスライムと悪魔のハーフのようだ。それを果たしてスライムと呼ぶのかどうかはわからないが、神国では便宜上スライムと呼んでいるのだそうだ。


 というか、スライムも悪魔も無性なのに、スライムと悪魔の子供が生まれること自体謎である。性別がなくても子供を作ることはできるのだろうか。


 それはさておき、そのスライムはかなりの強さを誇るらしい。アリアも言っていたように、スライムのほとんどは強敵となりえるが、そのスライムは余程のようだ。これまでも、騎士数百名が犠牲になり、神国最強と言われ4名の騎士、『神国四戦騎』の内の1名、『神騎』ことギルダーさんにも、勝つのは相当苦労する言わしめた猛者である。


 そのような猛者と戦闘するにあたって、いくら勇者と言えども全くの無訓練で挑むというのは無謀が過ぎるし、そもそも現状の俺自体ギルダーさんより圧倒的に弱いので、この世界では相手を殺さずともレベルが上がり、勇者はレベルが上がり易いとの特性を利用してギルダーさんと訓練という名のレベリングをすることになり、今は俺もギルダーさんも騎士団で利用されている訓練場にいる。


 訓練が開始される。それとほとんど同時にギルダーさんの剣が真正面から迫ってくる。

 速い。

 視えない。


 どうやら勇者と言えども最初からそこまで強い力を持っている、という事はないようだ。まあ先ほど言ったように神国最強のギルダーさんだから別格なのかもしれないが、勇者であるからと言ってそこまで強い自覚はない。


「くっ……」


 咄嗟に手に持った訓練用の剣を掲げ、ギルダーさんの重い斬撃を受ける。なんとかギルダーさんの斬撃を受け切ったものの、思いっきりよろけて隙を晒してしまう。


「受けが甘い」


 流石騎士団長というべきか、そこに透かさず蹴りを加えてくる。

 どうやら騎士団長は、なんというかお行儀のよい剣術だけで戦う訳でもないらしい。ギルダーさんは体術と剣術を織り交ぜた戦いをしている。確か65歳とのことだが、戦闘センスの衰えなど全くないようだ。


 そんなことを悠長に考えられるのは既に俺の敗北が決定しているからである。ギルダーさんに蹴られて俺が怯んだ時点でギルダーさんは次の攻撃を決めている。


 痛いのは嫌なので――


「降参です、流石にこの状況からはドブェ!?」

「す、すみません……」


 降参した後結構な勢いで一度蹴られてしまったが、それがレベルが上がるきっかけになることは基本的にはない。経験を積んでいるのではなくいたぶられているだけだからだ。


「今の戦闘でどのくらいステータスが上がりましたかな?」

「むむむ……」


名前:金堂勇

性別:男

年齢:16歳

職業:剣聖ソードマスター

種族:人間

Lv.20

筋力:40000

耐久:20000

速度:40000

知能:20000

魔力:20000

スキル:剣聖覚醒Lv.1

称号:勇者


 パッと見この時点で結構インフレしているのだが、筋力と速度だけ成長効率が高い。これが剣聖ソードマスターの職業補正か。まあ知能が2万とか意味が分からないが、恐らく魔術を使用する際の威力補正だろう。


 剣聖覚醒、というのはスキル名からして明らかに剣聖の固有スキル的な何かだろう。ステータスプレートをタップできるようだが……


剣聖覚醒:剣聖の固有スキル。筋力と速度が魔力量に比例した時間3倍になる。


 お、おお。なんかものすごくメタい解説。固有スキルとか、3倍という具体的な数値。うん、強い。


「なっ……!? なんという成長速度。この短時間でレベル20に届くか」

「そんなにすごいんですか?」

「まずステータスの伸びが通常の10倍程度です。通常は1レベルに初期ステータスの1割程度で、そこに補正が加わる感じです。そしてレベルの上がり具合が異常です。剣術が初めてならば儂とやり合えば10レベル程度は上がりますが、勇者様の場合はその2倍」


 総合的にみると一般人の20倍という事だろうか。単純な戦闘性能では隔絶してしまいそうだ。


「とはいえ、才能によって左右されますがな。儂は勇者様の半分程度という、結構な成長速度です」

「一般人の10倍と考えると相当ですね」


 それからしばらく――具体的には昼まで戦い続け、ひたすらレベルを上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ