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第一話

「こんな感じですね」

 差し出した右手のひらの上に置いた、何の変哲もない透明なビー玉が消失。それとほぼ同時に、左手のひらの上に同じような透明なビー玉が出現した。

「なるほど。確かに瞬間移動しているようだね」

 瞬間移動らしきものを披露した学生服を着た男子生徒。その前には長机が置いてあり、その向こうには一様にきっちりとした服装の大人たちが三人座っている。さっきのセリフの主は、男子生徒の側から見て一番左の人のものである。

「単一物質なら何でもいい……というわけではないんでしたか?」

「はい。僕がその物質の性質、及び構造を理解している必要があります」

 三人のうち真ん中の人物が書類をめくりながら独り言のような質問をし、男子がそれに答えた。

「なるほど。ところでもし、その条件を満たさないものを瞬間移動させようとすればどうなるかわかりますか?」

 右の人物からの質問。

「場合によります。移動できなかったり、一部だけ移動したりします。例をお見せしましょうか?」

「お願いします」

 右の人物からの肯定を受けて、男子は鞄から手のひらサイズの小さな黒無地の箱を取り出した。

「これは鉄製の箱です。中には鉄ではないものが入っています」

 彼はそう言いながら、さっきと同じように手のひらを上に向けて、その片方にその箱を乗せる。そしてさっきと同じように「能力」を発動させる。すると、左手にはさっきの鉄の箱、右手にはお守りがポトリと落ちた。

「このように、鉄の箱だけ移動します。今回は中身が何であるか事前に知っていましたが、中身を知らなかったり、他に何が入っていたとしても、僕が鉄の箱の構造を認識している限り、転移は成功し、鉄の箱のみ移動します。次にこのお守りで試すと――」

 今度はお守りの方に能力を発動しようとするそぶりを見せる。が、何も起こらない。

「このように、転移しません。これはお守りの細かい構造を知らないことが主な原因です」

 彼はそう言って合格祈願のお守りを箱に戻し、ついでにビー玉も入れた。

「他に何かありますか?」

 彼は三人に向かってそう言った。三人は顔を見合わせて質問があるかどうかの確認を取りあい、彼の方を向いた。

「こちらからは無いようです。白井君は何か質問ありませんか?」

「ありません」

「わかりました。では退出してください」

「はい。ありがとうございました」

 彼は椅子を立って一礼し、部屋を出るときにも挨拶をして一礼した。そして扉が閉まると『やっと終わったか』とばかりに急に気を抜き、目から鋭さが消えた。そして欠伸をかみ殺すようなしぐさをした後、その建物の出口へと足を向けた。

 ――もうお分かりの人もいるだろうが、さっきまで行われていたのは面接試験である。ただしここは高校で、更に言えばここは普通の学校ではない。

 そもそも、さっきの面接からして面接試験と銘打たれてはいるが、基本的に落とされることはない。そういうものは、一次入試の学力試験で終わっているのだ。

 ではなぜそんなことをするのかと言えば、学校側の都合であり、またその理由は二つある。

 一つはクラス分けのため。もう一つは入試要項を合格者が満たしているかの確認である。

 入試要項の確認など、なぜもっと初めにやらないのかと思われるかもしれないが、この確認は一人一人ちゃんと面接をしないと分からないことが多いので、手間を省くために学校側の都合で最後に行うのである。

 その入試要項とは――"超能力者である"こと。

 そしてクラス分けは、"能力のタイプ"で分類される。

 そう、この世界には超能力者と呼ばれるものが存在する。それも多数。具体的には、三人に一人程度。

 そしてこの学校はその超能力研究の最先端、国立超能力研究所付属の、高等学校である。

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