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 頭が、ちょっと重い感じがして、目が覚める。喉乾いたけど、いつまでも眠ってたいような気だるさ、甘酸っぱい香り、少し汗ばんだ素肌が触れる、しっとりとした感じ、ぼやけた視界でもわかる、邑さんの笑顔。

 知らないベッドの上、ようやく、ちょっとずつ昨日のことを思い出す。すっごく、気持ちよかった。勢いで、何度も何度も求めて、それに全部受け止めて、応えてくれて。最後、邑さんから「私も、気持ちよくなりたい」なんて、……自分から、求めてくれるのが嬉しくて、……体力が尽きたから一回だけだったけど、めちゃくちゃにかわいくて。

 

「智恵も、もう起きたか?おはよう」

「あ、邑さん……、おはようございます」


 優しい声、昨日のことなんて、なかったみたいに涼しい。ちょっとくらい、照れてくれてたらいいのにな。なんてわがまま、さすがに求めすぎ、だよね。一緒に身を起こすと、エアコンをつけたままの乾いた空気が当たる。


「水、飲むか、私の飲みかけだけど」

「別に、いいですよ」


 ぼんやりしたまま、渡されたペットボトルを取る。そのまま、飲み干すと、ほんのり邑さんの味がして。間接キスなんて、今更なのに。


「ふふ、顔赤くなってるな」

「なんか、ちょっと恥ずかしいですね。……昨日、あんなすごかったのに」

「あ、ああ……そうだな」


 少し、声が乱れる。そっちを見ると、ちょっと、ほっぺが赤くなってるような。かわいくて、ドキドキする。いつもは、かっこいいとか優しいとか、そんなことしか思わせてくれないのに。


「すっごいプレゼント、貰っちゃいましたね、……指輪、また付けてくれませんか?」

「そうだな、また付けあうか。……ネックレスも、今日買いに行こうか」

「そ、そうですね、……」


 眼鏡と、横に置いてあったリングケースを手に取る。リングケースを手渡すときに、眼鏡越しに見えた顔は、やっぱり、赤い。

 

「ほら、手、出して」

「は、はい……」

「……ほら、……智恵も」

「は、はい」


 邑さんの指、しっかりしてて、それなのに長くて、綺麗。私のより、一回り大きな指輪を、それに通す。そんな手で、いっぱい触られちゃって、……なんて、まだ昨日の夢から醒めてないみたい。


「着替え、しないとですね、……あ、その前にシャワーも浴びなきゃ」

「……そんな余裕なかったもんな、昨日は。……シャワーは、部屋にあるけど」

「……そうですね」


 昨日の話になると、会話がたどたどしくなる。お酒飲んだからって、忘れてるわけじゃなくって、……逆に、全部覚えちゃってるから。多分、邑さんも。

 身を起こす隙に、さりげなく、ほっぺにキスされる。お返ししたくなって、その隙も、簡単に作ってくれる。

 赤らんだ頬に、唇を乗せる。軽く吸って、ちゅって音を立てると、くすぐったそうに笑って、髪を撫でてくれた。


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