通学路
いつも通ったあの道は、何ら変わらない道なのにとても思い出の道だった。
君と私は同じ目線で、色んなものを見てきたね。
行き帰りの平凡な道は私にとっては、デートでしかなくて、毎日がとても幸せな毎日だった。
日に日に、私を追い越す君は色んなものを見ていたね。
段々、私との歩幅は離れていくばかりで、先へと進んで行ってしまう。
待ってよ! 置いて行かないでよ!
そんな言葉が喉の奥で引っかかり、君の耳へは届かなくて、君を立ち止まらせることは出来なかった。
そのうち君の隣には私じゃない人がいた。
おめでとう。こんな言葉は言いたくない。
これじゃあ私は悪い子だね。
でも、それほど君のことが好き。
いつもの道をこれまで通り、君の隣で歩くのはいつも私って思ってた。
これまでも、これからも…
そんな路を今歩いてみると、大きかったはずの路は、今では小さな路になっていて、ふと見上げればあの時と変わらない遠い空が広がっている。