「天」「ガイコツ」「最強の殺戮」 / 「学園モノ」
phekkaは「天」「ガイコツ」「最強の殺戮」を使って創作するんだ!ジャンルは「学園モノ」だよ!頑張ってね!
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「なんであんなのがここにいるんだ?」
生物室の扉を開けて中を覗き込んで思わずつぶやいた。
そもそもの発端は数時間前にさかのぼる。夏休みも中盤、夕食後に特に何をするでもなくだらけていたところにマキから電話で呼び出されたのだ。「今から学校へ来て」と。何事かと急いで駆けつけた耕平にマキは一言、
「こんな暑い夜には肝試しをしよう」
「いきなりなんだそれ。っていうか他に参加者はいるのか? 脅かす役の奴でもスタンバってるのか?」
「他には誰も。夜の校舎を耕平と二人で歩くのも楽しいかなって」
目を輝かせてそう言われてしまっては付き合うしかない。まぁ特に危険なことも無いだろう。そう判断して二人で校舎に侵入することにした。
「まずは音楽室かな。ピアノが鳴ってたりしないかなぁ」
「壁に貼ってあるベートーベンが睨んでくるとかあるかもしれんな」
非常灯の緑色の光に照らされている廊下は想像以上に雰囲気があるが、そんなことを考えているとは知られたくないが故に軽口を飛ばしながら音楽室へと向かう。
「まぁ分かってたけど、ピアノも鳴ってないし肖像画が睨んでくることもないし、肖像画のズラがずれてたりもしないよなぁ」
「次はどこ? 美術室?」
「ブルータスの目が光ったりするのかなぁ」
「何それ」
「デッサンの授業でつかったヤツ」
「あぁ、あれってブルータスだったのかぁ。お前もかぁ」
当然のことながらデッサン用の胸像の目が光ったりなんてことは無い。
「むぅ。あとは生物室ぐらいだねぇ」
「ガイコツが動いてたりするかなぁ」
そうしてやってきた生物室にそいつはいたのだった。
「なんであんなのがここにいるんだ?」
「なになに? なにがいたの?」
耕平の後ろからマキも覗き込む。扉から一番遠い所、生物室の後ろの壁際にいたのはホラー映画最強の殺戮者…最強かどうかは異論があろうが、知名度では上位に位置するであろう、ホッケーマスクをかぶった大男だ。
「改めて確認するが、誰かに脅かし役を頼んだってことは無いんだよな?」
「うん。私も知らない」
「動いていないようにも見えるけどマネキンだったりするのか?」
確認してみようと一歩踏み入れた瞬間ソイツは動きだし、教室の後ろの壁を威嚇するかのように音をたてて叩いた。いきなりの大きな音に背後のマキが崩れ落ちるのを感じる。
(おいおい、言い出しっぺがこのザマかよ……)
大男がゆっくりとこちらに向かって歩きはじめたのが見える。状況がよく分からないが、そうはいってもこのまま迎え撃つわけにはいかないだろうし、気を失っているマキを放置して一人で逃げるわけにもいかない。マキを廊下へと引っ張り出し、扉を閉めて鍵をかける。
(そういえば、開けるときには鍵がかかっていなかったような)
マキを背負い、生物室から離れながらヤツについて考える。ヤツは俺たちが肝試しをしていると知って生物室で待ち構えていたのだろうか。誰かに見られていた様には感じなかったし、他に人がいたようにも感じなかったが、守衛の人でもいてお灸を据えてやろうと茶目っ気を出したのだろうか。それにしても気を失っている人を背負うのは重いなぁ。重いなんて言ったらどうなるか分かったものじゃないからとても口に出してはいえないが。思考がずれた。なんにせよ、ヤツが学校関係者なら壁や扉を壊して生物室から出てくるということはないだろうから一先ずは安心か。とはいえマキがこの状態だからなぁ。
考えているうちに校舎から出ていた。ふと見上げると天には満月が架かっていた。マキはまだ起きる気配はない。
学校を出しておけば学園モノって言い張れないですかねぇ