「火」「金庫」「役に立たないツンデレ」 / 「王道ファンタジー」
phekkaは「火」「金庫」「役に立たないツンデレ」を使って創作するんだ!ジャンルは「王道ファンタジー」だよ!頑張ってね!
#sandaibanashi http://shindanmaker.com/58531
「あななたちの3人の課題はこのダンジョンです」
金庫を連想させる重々しい雰囲気の扉を開き、中から1枚の地図を取り出しながら冒険者養成学校の副校長レイナは続けた。
「このダンジョンの奥の小部屋からイェンダーの宝玉を持ち帰ることで課題達成となります」
目の前の光景から逃避するかのように先日の学校での光景を治療士であるアンナは思い出していた。ダンジョンに突入してもう何度目になるか分からない光景が目の前にはあった。盗賊であるミーナに期待されるのはダンジョンのあちこちに設置されているトラップの解除だ。その作業をミーナはある意味では成功させていた。そう、全て発動させ自分自身が被害を受けることによって。今もトラップによって逆さにつり下げられているミーナを剣士アレスが救出しようとしているところだ。
「いつも危険な目に遭わせてすまないね」
とアレスがミーナに言えば
「べ、別にアレスのためにやってるわけじゃないし」
毎度の茶番にため息をつき、無事ミーナが救出されたのを見て念のため軽くヒールをかけておく。
「わざとやってるわけじゃ無いのよね?」
アレスには聞こえないところで一度問うたことがある。本来のミーナはここまでポンコツでは無かったはずだ。
「だ、だってその……じっと見つめてくるから……」
「ああ、はいはい。聞いた私が悪かったわよ。でもこれ課題ダンジョンだから死ぬようなトラップは無いでしょうけど、あまりふぬけていると強制的に中断、失格にされても知らないわよ」
そんなこんなで全てのトラップの効果を確認しつつも、教師たちに強制介入されることもなく、無事に奥の小部屋までたどり着いた。
「お、あれが宝玉の入っている宝箱だな」
駆け出そうとするアレスをミーナが引き倒した。
「ば、ばかっ。ト、トラップがあるに決まってるじゃ無い!」
「あ、ああそうだな。ありがとうミーナ」
アレスのほほえみにミーナは真っ赤になってなにやらゴニョゴニョ言っている。どうせ「アレスのためじゃない」とかそんなところだろう。しかしこのアレスめ。わざとやってるのか自覚無しにやってるのか。どちらにせよ害悪でしか無いが。ともあれ今は課題が先だ。
「じゃぁ最後のトラップになるのかな? ミーナお願いね」
声をかけると、はっと現実世界に戻り、さすがに緊張した面持ちでミーナは部屋の中の観察を始める。
「床板がスイッチになっているタイプのトラップね。踏んでも大丈夫なところに印をつけていくから、そこからはみ出さないように付いてきてね」
ミーナを先頭に続いてアレス、最後に私の順で一行はゆっくりと、ときに大回りをしながら部屋の中を進んでいく。
――カチッ
ああ、やっぱりやらかしたらしい。ミーナが泣きそうな顔で振り返るのと、天井から何かの機械らしきものが頭をのぞかせたのが見える。あれは火炎放射器か。先端にちろりと火が見え始めている。距離のある私の所までは影響なさそうかなぁなどと計算しているとアレスが走り出すのが見えた。勢いのままにミーナを抱え込み、そのまま宝玉の置かれている台座まで一直線。その背後を炎が襲ったが、どうやら間一髪逃げ切れたようだ。アレスが台座から宝玉を持ち上げるとトラップも機能停止するようで、はき出されていた炎も止まった。真っ赤な顔をしてミーナが何か叫んでいるが……本当に最後まで役に立たないツンデレ娘だ。
ともあれ、課題クリアである。
王道かどうかはさておき、冒険者にしておけばファンタジーっぽくなるだろうと冒険者の卵の話にしてみたけれど、「役に立たない」と限定されたツンデレをどうしようかと考えた結果こんなことに。いざ自分で書こうとするとツンデレも難しいねぇ