ドイツでの三日間
桜花は、クラウスの両親に受け入れてもらえます。
クラウスの実家で夢のような三日間が過ぎた。四人で食事したり、出かけたり、くつろいだりしているうちに、時間が瞬く間に過ぎていった。私が日本へ帰る日には、クラウスの両親も車で空港まで送ってくれた。
いよいよ搭乗ゲートに入る時間が近づいてきたとき、クラウスが私の正面に立ち、私の眼をひたと見つめ、ひざまずいて日本語で言った。
「桜花、僕と結婚してください」
私は嬉しすぎて恥ずかしすぎて真っ赤になって、でもドイツ語ではっきり答えた。
「Ja, gern (はい、喜んで)」
この瞬間を待っていなかったと言ったら嘘になる。ドイツにやってくることを決めた時から、いいえもっと前、クラウスが留学生だった時から、私はいつまでも彼と一緒にいたいと思っていた。
いつの間にか私たちの周りには人垣ができていて、歓声と拍手さえ起っていた。クラウスの両親は少し離れたところに立って笑顔で何度もうなずいてくれていた。他に一人の知人さえいないドイツの空港で、私は幸福に酔っていた。私の目にはクラウスしか映っていなかった。
別れ際、クラウスのお母さんは私をハグして「Meine Tochter(私の娘)」と言ってくれた。胸がいっぱいになった。私がこの三日間で私がもっとも使ったドイツ語 Danke Shöne(ありがとう) をここでも何度も何度も繰り返した。 夢見心地で飛行機に乗り込み、何度も何度も幸せを反芻して、私は熱くて甘い酔いに身を任せていた。
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