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高校卒業

桜花は24歳で高校を卒業します。

 24歳の春、私は高校を卒業した。N高校は卒業率は毎年五割くらいだ。同級生が次々と退学していくのを見送るのは悲しかった。別れの挨拶もなくある時からぱったりと来なくなる生徒も多かった。24歳と言えば、普通の人はとっくに短大や大学を卒業している年齢だ。だけど私は人と違っていることを気にしない。N高校の進路指導の先生にも進学を勧められたが、私は体系的に専門的に学びたいと思う学問を見つけられなかったし、経済的にも余裕がなかった。H動物霊園ではアルバイトから正社員にしてくれたが、経済的にゆとりがあるわけではなく、学びたいことは独学でやっていこうと決めた。私の行動の規範はおばあちゃんとクラウスだ。「おばあちゃんならこう言うだろうな」とか「クラウスに恥ずかしくないように」とか、常に二人は私の心の中にあった。一人暮らしでも、家や庭や畑を整え、家事に手を抜かなかった。丁寧に生活することを心掛けた。ラジオやテレビで、ドイツ語に触れるようにした。さっぱりわからないままに。

 H市の広報誌にドイツ語を学ぶ市民サークルがあるのを見つけ、入会した。行ってみて分かったのだが、本当の初心者は私一人だった。他のメンバーは皆ある程度はできていて、「忘れないように」とか「もっと話せるようになりたい」といった動機で入会していた。それでも私は門前払いされることなく、迎え入れられた。そして皆が親切にアドバイスしてくれた。メンバー自身がかつて使った参考書なども譲ってくれ、勉強法もあれこれと教えてくれた。私はせめてものお返しにと思い、ドイツのお菓子を作って持っていくようにした。すると、皆とても喜んでくれて、そのお菓子がきっかけになり、またドイツに関する会話が日本語もドイツ語も入り乱れて盛り上がるのだった。

  

お読みいただき、ありがとうございました。

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