東京と自分と私
東京と自分と私
誰かが言った。川の向こうは東京だと。相変わらず、都会はよくわからない。みんなが頭をまっすぐ向けて歩くのに、自分はフラフラ。一年に一度も東京都内でどこかに降りることがない私。
どこにいるんだ、自分。
切符を買い間違えた私は、乗る電車も間違えていたようで、途中でここですよ、って教えてもらっておろしてもらった。
どこにいくんだ、自分。
降りた駅で、改札のことを聞くと、あー、あっち。
次に、聞くと、あーこの突き当たり。
最後に聞くと、ここでいいですよ。
とりあえず、ついた自分。
基本的に方向音痴は直せないが、回避はできる。パソコンの技術に頭を下げれば、外は歩ける。
合ってるよな?ここだよな?
用が終わったら、さっさと帰ろう。なんだか、見慣れないところは、都会でも田舎でも落ち着かない。
いや、でも名所くらい見てく?
誰もが、普通の顔をしている中、自分だけカメラで写真を撮る。
誰もが素通りしていく中、高そうなカメラで電車をとる人たち。
私には、ただの電車でも、彼らにはダイヤモンドなのだ。
よくわからないけど。
帰りは急いで帰らなくてもいい。夢の中で、駅で流れる曲を聞きながら、ゆっくり帰るのだ。きっとおぼえてはいないけれど。
しばらくは、また来ないぞ、自分。通過するだけだろう。用がないのだから、しかたがない。
川の流れも見ないうちに、戻ってきた。
都会はしばらくまた、いいや。