第1話~これが普通!?~
桜が散り、もうすぐで梅雨の時期に入る五月の半ば―――――― 一人の少年が双方に広がる道を見てなにやら難しい顔をしている。彼の名前は神谷 修。今年の春に高校二年生になった。容姿は普通で、髪は所々に寝癖がたっている。身長は170前後といった感じだ。
「う~んどっちにするべきか・・・・・・」
そんな修は今悩んでいる真っ最中である。
(どちらの道から帰れば俺の普通は保たれるか・・・・・・)
そう、修は今学校からの帰りで駅に向かおうとしていたのだが、二つの分かれ道で立ち止まってしまった。駅までの最短の道は大通りと路地の二つしかなく、両方ともあまり駅までの距離は変わらない。ただ大通りの方は人通りが多く、巨大なショッピングモールやファーストフード店、レストランなど多種多様な店が多く立ち並んでいて登下校でたくさんの生徒が使っている道だ。路地の方は普段の人通りこそ少ないものの、下校時間にはそこそこ使う人はいると言った感じだ。
正直どちらでもいいような気がするが、修にとっては今後の「普通」がかかっている。帰り道くらいでなんとも大げさな話だ。なぜここまで普通に執着するのか、それは追々話していく事にしよう。
五分程度悩んだ末、修は大通りを選んだ。 現在の時刻は五時過ぎ。他の生徒に比べてかなり遅めの下校だ。さすがに時間が遅いせいか、修は大通りのショッピングモール内にあるハンバーガーショップで小腹を満たそうと思っていた。
修は財布の中身を確認してそれなりの金額があることを把握し、大通りの方へと歩いていった。
大通りに出ると巨大なショッピングモールがすぐに見えた。ちなみにこの巨大ショッピングモールは地上四階地下一階の構造で、敷地面積もかなり広い上にショッピングモール内は各階ごとに様々な店舗が店を構えている。ほとんどの日用品はここで揃うので、修もよく来る所だ。
修はショッピングモールに入るとハンバーガーショップへ行く為、一階のフードコートへと向かった。
フードコートの付近までくると中華料理や定食のおいしそうな匂いが、修の腹を刺激して余計に食欲がわいてくる。
フードコートについてからは目的のハンバーガーショップに並んでさっさと注文し、会計を済ませた。注文したのはチーズバーガーのセットだ。ちなみにここのチーズバーガーは修の大のお気に入りで、友人達と帰りに寄る時も必ずチーズバーガーを食べている。本人曰く、ここのチーズバーガーは今まで食ってきたものとは比べ物にならないらしい。要するにとても美味いということだ。
とりあえず、適当に空いてる場所を見つけ、トレイを丸型のテーブルへ置き席へと着いた。
修はジュースを手に取り一息ついて周りを見渡していたが、修にとっていい光景ではなかった。その光景と言うのが他の周りにいる人達の半数以上がカップルとだと思われる二人組みだと言うこと。
(ここはリア充の巣窟か)
別に彼女がほしいわけではないが、やはりこういう光景を見ると気分が沈んでしまう。やはり彼女と言うものには誰しもが興味がわいてしまうのだ。
修はため息混じりに息を吐いた。すると隣の席からなにやら女の子の嫌がる声が聞こえた。目を向けるとそこには一人の女の子が三人のガラの悪い男に囲まれている。どうやら男三人が女の子の方に言い寄っているようだが、女の子は頑なに拒否している。修はこの女の子に見覚えがあった。
(あの子は確か同じ学年の・・・・・・)
修は一瞬悩んだ挙句、困っている奴を助けるのは普通だと考え、やれやれ、といった感じでため息をつくと席から立ち上がった。
次あたりからまともになっていく予定です、、、