第0話~プロローグ~
普通・・・・・・それは良いとも悪いとも言えないものであって、物事に基準がつけられない時によく使われる便利な言葉だ。しかし、「普通」なんてものは人によって異なるため、ろくに基準もつけられない。
下手をすれば自分の「普通」が周りにとっておかしかったり、思いもよらぬ出来事を生んだりするかもしれないという欠点がある。
……なら、どうやって基準をつけるのか?
特に学校や社会ではこれがかなり重要になってくる。まず人はその基準をつけるために世間一般の常識を印象として他人に与える。
たとえば、頭が良い、面白い、性格が良い、明るいなど、こういった人たちはクラスで「良い」印象が与えられてクラスの中心的な人物、又は人気者になりやすい。
まぁ例外で猫被りというのもありえるが・・・・・・。
逆に感じが悪い、態度が悪い、性格が悪い、暗いといった人たちはもちろん「悪い」印象を与えてしまい、なかなかクラスに馴染めなかったり、除け者にされたりするかもしれない。
一応これが評価基準だ。良い印象を与えることが出来れば、高校三年間は楽しい楽しいリア充ライフになること間違いナシ。
悪い印象を与えれば高校三年間は寂しい思い出にしかならない。故に高校生活はシーソーゲームみたいなものだ。「良い」の方に印象がたくさん乗れば、シーソーは良い方向に傾く。
「悪い」の方に印象がたくさん乗れば当然、シーソーは悪い方向に傾く。
まぁここまではいいだろう。次がもっとも肝心だ。
そして、普通とはシーソーが釣り合っている状態だ。
どちらに傾くこともなく平行が保たれている状態・・・・・・しかしこの状態にするにはかなりの操作が必要だ。どちらかに一つでも印象が多く乗れば、それだけで均衡は崩れる。普通を目指すなら細かいことにも気をつけなければならないのだ。
天才になるよりもバカになるよりも、楽しい楽しいリア充ライフをおくるよりも寂しい思い出になるよりも、「普通」が一番難しい。きっとどんな事よりも難しいだろう。
だから普通を目指す人は極々一部の人たちだけだ。きっとみんなは普通よりも上、優秀を目指すだろう。
だが、ここに普通を目指す少年がいる。名は神谷 修 この春から高校二年生になった。普通を目指しているだけあって容姿、性格、学力共に普通がぴったり合うような少年だ。
彼はこれまで、自分の作った人生通りに学校生活を送っていたが、ある日を境に彼の人生は徐々に崩れていく。
……いや、もしかしたら「普通」を目指した時点で彼のシナリオは崩れていたのかもしれない。
それは彼にとって幸なのか不幸なのか、彼自身にしか分からないことだった。
どうも鳳タクマです。
初作品ですが、生暖かい目で見守ってくださいw