詩 彼女の影を踏んでみる
掲載日:2026/05/19
夕方、彼女の影を踏んでみる。
「えい」
「何、急に?」
彼女が不思議そうに、俺を見つめてくる。
猫みたいに可愛いらしい瞳。
つい吸い込まれそうになって、首を横に振る。
それから首を傾げる彼女に言う。
「こうしていると、2人でキスしているように見えない?」
「え」
彼女は驚いたようで、2人重なった影を見てみる。
確かに、俺の大きな影が、彼女の小柄な影を守るというか、頭と頭がくっついて、ラブラブに見えるというか、少し照れくさい。
彼女も頬を赤らめ、色っぽい息を吐き出す。
「どう? 嫌だ?」
「あの、その」
言葉を探しているのか、カバンを肩にかけ直す。
「…確かに、キスしているように見えるね」
「そうだろう?」
自慢げに言うと、満足して彼女から離れようとしたのだが、ブレザーを引っ張られる。
「何? どうしたの?」
「もう少し、このまま」
影を見つめながら、彼女が延長を口にする。
俺は文句なく、黙って影を見つめる。
いいな、影。
実際にキスしてみるか。
そう思い、彼女のリンゴのような顔に、唇で触れてみる。
「え、え?」
彼女は慌てて、ジタバタする。
ふふ、っと笑う俺。
リンゴ、ひと齧り頂きました!!




