玄関に転んだ、こおりのキラキラ
掲載日:2026/01/13
おかあさんとふたり、おうちにかえってきた。
玄関はまだ寒いけど、髪がぐちゃぐちゃになったりしない。
「さぁ、コートを脱いでね」
おかあさんは、赤い可愛いコートを脱いで、ハンガーにかけている。
わたしも、お気に入りの水色のコートをぬいだ。
…コロン。
何かが転がった。
あれ?なんだろう? ポケットには何も入れてなかったけど。
玄関に転がっていたのは、絵本にあるようなこおりのキラキラだった。
さわったら溶けちゃいそう。
でも、もっと、よく見てみたい。
「どうしたの? なにかあった?」
「おかあさん、これなーに?」
キラキラを指差した。
おかあさんは、しゃがんで、目を細めた。
「あら。こんなの、はじめて」
指でさわりそうになって、やめた。
キラキラは、コロン、コロンときれいな音を出していた。
「間違えてはいってきちゃったのかしら」
おかあさんが、玄関の扉を開けた。
キラキラは、大きく震えて見えた。
外から風が吹き込んできて渦をまいた。
「あ…」
キラキラが、ふわりと浮かんだ。そのまま、外へ、空へと帰っていく。
キラキラはそのまま灰色に混ざる。
「あら、雪が降ってきたわね」
おかあさんの声で周りを見ると、
大粒の雪がしずかにふりはじめていた。




