平民の聖女が現れたら追放!でも研究室を手に入れたのでポーションとスコーンで悠々自適!元婚約者は仕事ができる女が嫌いだったみたいだけど、本当になにもできない人ならば問題が起きたときにどうするのだろう?
婚約者が醜い顔で責め立ててきた。
「フィオリーナ!貴様の歪んだ嫉妬は公爵令嬢としてあるまじき行為だ!婚約は今すぐ破棄する!わかったかっ」
フィオリーナは婚約者の第二王子たるガウザーサ様に婚約破棄を言い渡されました。
例によって光の聖女と呼ばれる平民出の少女、コンマティーテが現れたせいです。
「錬金術なんていう胡散臭い趣味で、貴様は一体何を企んでいるんだ!」
王子は錬金術師としての才能をいつも快く思っていませんでした。嫉妬ですわよきっと。
「結構ですわ?ただし、一つ条件がありますの」
追放の代わりに国境近くの寂れた街にある、使われていない大きな屋敷を要求しました。巨大な地下室があったからです。
寂れた街へ追放されたが不自由はありません。なぜなら、錬金術があるからです。
屋敷の巨大な地下室を最高の研究室に改造しましたのよ。自分だけの秘密基地ってワクワクしますのよ?
王都の規制に縛られず、あらゆる薬草や素材を自由に試せるというのは夢のような話。
従来の回復薬だけでなく、リラックスできる安眠ポーションや肌を綺麗にする美肌ポーションなど日常に役立つ薬を開発。
完成したポーションを売るため、屋敷の一階を改装してポーション喫茶のカフェとしてオープン。
たとえば「回復ポーションください」という人よりも「最近疲れて眠れないの」「シミが気になるの」というお客さんが多いことに気づいた。ポーションをハーブティーやスコーンと組み合わせて、提供することにしました。
「当喫茶店のメニューは全て私のオリジナル錬金術によるものですわ」
優雅な空間と身体を整える、ポーションという名のハーブドリンクが大評判となり、ポーション喫茶は大繁盛。王都の生活よりずっと充実した研究と経営の毎日。
ポーション喫茶の経営に夢中になっていたある日、王都からの旅人が喫茶店を訪れました。旅人から元のつく婚約者であるガウザーサ王子と、聖女コンマティーテの噂を聞く。
政務のストレスで胃を悪くし、深刻な不眠症に。コンマティーテが作る聖なる水は全く効果がないらしい。
聖なる力、実はポーションの材料を大量に浪費するだけで効果が薄いことが露呈。国中のポーションが不足し、国民が困り始めている。旅人は深刻な顔で語りました。
「王子の不眠症はもう限界らしいですよ。でも、国中どこにも安心して飲めるポーションがないんです……フィオリーナ様、もしよかったらあなたのポーションを」
「ほほほ!まさか」
ニコリと微笑み、一番人気の安眠ポーションとアールグレイのセットを出しました。
「残念ながら私にはもう王都の方々の健康を気遣う義理はございませんの」
王子の不調は彼が追放し、国を危機にさらした結果です。いた頃は開発したポーションが全ての問題を解決していたのに。
「でも、このセットはサービスです。旅の疲れを癒やしてくださいね」
静かに今日も最高の癒やしを提供するポーションを錬成し続けるだけです。自分のために。
ティーとスコーンは癒やしを求める人たちの間で伝説となり、街は癒やしの街として発展した。
ある時、王都から追放された元貴族が、喫茶店で安眠ポーションを頼む。
「王都はもう疲れきって、誰も笑えません。あそこで必要なのは聖なる力ではなく、貴方様の確かな技術だったのですよ……」
気づいても、時すでに遅し。ポーション喫茶のカウンターで静かに微笑む。
「あら。私は今、ここでこの街でたくさんの人を癒やしていますわ」
失われた力よりも、今自分の手の中にある確かな技術と自由な研究生活こそが私にとっての最高の幸せだと断言できる。
錬金術師は今日も穏やかな笑顔で、客たちに温かいポーションと安らぎを提供する。
にこりと笑い、最高級の液体をゆらす。相手が驚愕の顔になるのが面白いからやめられそうにない。ポーションでいろんな味に作ろうと今も色々、実験をしている。
コーヒー味、サイダー味、コーラ味。ポーションではなくジュース屋だと言われる日も近いだろう。
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