3話 真実とグリコ(1)
「さぁゲームを始めようか」
緊迫した空気の中ゲームが始まろうとしている。(マジかよ!?ホントに始まんのか、しかも負けたら異界の住人って、俺どうなるんだよ、念願の異世界生活ってことですかぁ〜)
「それでは、ゲームのルールを説明する」
・まずじゃんけんをする。
・次にグーを出したら3歩進める、チョキとパーで6歩ずつ進むことができる。
(えっこれ『グリコ』ですやん!?)
・そしてアイコが3回続くと前に居る方は3歩進み、後ろに居る方は3歩下がってしまう。 最初のじゃんけんでアイコになった場合どちらも3歩後ろに行く
・スタート地点は出口と崩れた場所の中心地点から始まる。
「以下がルールだ分かったな?」
「なるほどね、オッケ~」
おいおいマジかよ、俺の運命はこのグリコで決まるのかよ、ホントに大丈夫か?
正直運ゲー、いやどちらも言い表せない雰囲気があるから、駆け引きと言った方がいいな(頼むよ、灰原さん)
「ルールは分かったようだな。ではもう始めるぞ位置につけ」
「あぁ、そうそう言ってなかったな、このじゃんけんの前に一回ずつ質問し合う。この質問は絶対に嘘はない。」
「…なるほど分かった」
(嘘って、大丈夫か?)
「では始めにお前はパーを出すか?」
(きた!いきなりだ、アイツの作戦は確率を2分の1に減らして勝負するってことか?まぁ正直俺でもそうする。灰崎さんも同じ様に質問して同じ土俵で勝負してくるんじゃ)
「いや、出さない」
(灰崎さんは出さないと答えた。
これで、灰崎さんはグーかチョキということになる。つまりは相手が出すのはグーが普通だ。いや待て?これ、堂々巡りじゃないか、どっちもアイコのパターンなんじゃないか。灰崎さんがグーとチョキしか出せないなら灰崎さんは、グーか、パー封じる質問をする。
けれどこれじゃアイコにする一手をどちらも出し続けなければならない。
そうなるとどっちも落ちてしまう。そしたら、灰崎さんは死に僕はこの異界にずっとぉ…)
(灰崎さぁぁぁん)
「グーを出すか?」
「いいや、出さない」
(これで出すのは両者チョキ!)
「それでは最初はグーじゃんけんチョキ
アイコでチョキアイコでチョキアイコでチョキ」やはりか これじゃ埒が明かない。
「このままじゃ死んでしまいますよ!」
わかってると言うような笑みで灰崎さんはこちらを見た。
「さぁお互い3歩下がろうな」
今の位置からあの崩れた場所までは20歩ほどだ。つまり、あと6回同じ事が起こったら。
「そこのガキもやっと気づいたようだな!このルールには引き分けがあるその場合俺は負けていないから俺は死なない!けどお前は脆い身体のせいで落ちて死んでしまうだろう」
毎回呼吸するたびに息がよく吸い込めなくなるのがわかる。
「何言ってるのか分からないけど、まだゲームの途中でしょ、ほら、続きいくよ」
(灰崎さん…)