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不思議な扉

作者: あたちゃん

ーこの世界は真っ暗だ。


いつからだろう、この世界が光を失ったのは。

幼少時代の自分は明るい未来を想像していた。早く大人になりたいと思っていた。

しかし時間が経つにつれてそんな思いは少しずつ薄まっていき、最終的には味のないスープになった。明日も味のないスープを飲むなんてもう嫌だ。

泥だらけになった重い足で屋上に向かう。屋上から見た景色は相変わらず真っ暗のままだった。光がないことを再認識し飛び降りようとした瞬間、突然眩しい光が自分を包む。


「......うぁ、」


今日初めて自分が発した声は、砂漠で遭難した人みたいにカラカラだった。

恐る恐る目を開けるとそこにはたくさんの扉が綺麗に並んでいる。ここは一体どこなんだろう。なんだかよくわからないが、身体が軽いように感じる。身体が軽くなった自分は少し探索をする。

真っ白い場所にたくさんの扉。

扉の上には数字が並んでいる。

2013....2014....。

気になった自分は「2013」とかかれた扉を開けた。

するとそこには懐かしい光景が広がっていた。

スマホも持っていない自分が遊んでいる。この頃の自分は将来に希望を抱いていた。

自分はそんな過去のじぶんに話しかけたくてうずうずしていた。

すると過去のじぶんが今の自分の存在に気がついた。


「だぁれ?なんでみてるの?」

可愛らしい声で自分に話しかけてきた。自分は不思議な扉から来た未来のきみであることを伝えると、純粋だったじぶんは疑うことなく信じた。今の自分とは真逆だ。まわりの人を疑って生きる自分とは。自分はこの頃のような純粋で疑うことのないじぶんに戻れるのだろうか。

そんなことを思っていると、過去のじぶんは扉の中へと入っていってしまった。

後を追うと「2025」とかかれた扉が開いている。

中を覗いたその先には、目を一番星のようにキラキラさせているじぶんと、これまでにないほどの笑顔で生きている今の自分がいた。



       " そ ん な は ず は な い "



2025は笑顔も希望もない真っ暗な世界のはず。

なのにどうしてこんなにも光り輝いているんだろう。


そして自分は気づかされた。


そうか、そんなことなのか。

この世界を真っ暗にしていたのは自分自身だったのか。

何事も挑戦せずに夢を諦めて生きていた。

だから光がない世界に見えていたのか。

この世界に光を与えることができるのは自分自身。

目に光を取り戻した自分にじぶんが話しかけてきた。


「みらいの"じぶん"は、なんのとびらにはいるの?」



答えは決まっている。




自分は「2025」とかかれた扉の中に入った。

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