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バブルをうまいことした世界線1

今回は大半が日本のバブル経済の説明となっています。

 「バブル崩壊後日経平均株価最高値を更新、しかし国民に実感はわかず」「合計特殊出生率、過去最低を更新」「電気代高騰、生活さらに苦しく」「総理は失われた30年を脱却する景気刺激のためとし・」


 今は昼ご飯の時間です。岡田先生は電子黒板に「ニュースはみんな見ないとダメだよ」ということで今日のお昼のNHKニュースを映しています。相変わらずスポーツ以外は暗いニュースばかりです。




「ねえ、そっち座っていい?」


「ど、どうぞ」


「楓もこっち来なよ」


「今行きます~」


 未来と楓さんが私の近くの席を「使っていい?」とその席の男子に聞いた後、持ってきました。

私と涼子、未来と楓さんという初めての組み合わせです。


「改めて楓も自己紹介しますね~っ、清水楓です~っ、内山さん、よろしくお願いします~」

「こ、ここ、こちらこそ、よ、よろしくお願いします」



「日本はこれから大丈夫かな」


 ニュースを見てなんとなく涼子と話してみます。


「30年後に日本があればいいけど」


「ま、まあ日本はあるだろうけど・・・年金はあるか分かんないし、しっかり貯金しないと。

新NISAとかもやったほうがいいのかな、株とかよく分かんないけど・・・」

 将来何が起こるか分かりませんからね、堅実に行きましょう。


「結婚とか子育てとかできんのかな、私はしなくてもいいかなって思ってるけど」


「しないんだ」

 まあ私もマイホームじゃなくて賃貸のアパートやマンションでいいと思ってますし。私に結婚してくれるような変わり者もいなさそうです。


「日本はこのままではいけないからね、だからこそ日本はこのままではいけないね」


「元環境大臣の迷言やめて」

 あの人悪い人ではないんでしょうけどね。それはともかく不安は募るばかりです。





 未来や楓さんも話に乗ってきました。


「今バブルがどうとかニュースで言ってたけどバブルの時ってすごかったんでしょ?」


「すごかったらしいよね、タクシーをお札で引き留めてたとか、採用試験でお金やハワイ旅行チケットが配られたとか」


「確か~、アメリカやヨーロッパでいろいろなものを日本の会社が買収したって聞いたことあります~」


「結局バブルってなんで崩壊したの?ずっと続けばよかったのに」と未来が質問。


「・・・バブルは英語の意味通り泡。つまりバブルは土地や株の値段が実際の価値以上に泡のように膨れ上がったの。

 確か日本の場合は土地の値段を安くする総量規制を急速なスピードでやったことが直接の崩壊原因だけど、まあやらなくてもいつかは泡のように割れて消えたはず。」


「な、なるほど・・・」


 未来はわかったような顔をしてうなずきメロンパンを食べました。本当にわかっているのかな。




「なんでバブルの状態になったの?」と今度は涼子が聞いてきました。


「あんまり自信ないけど説明するね・・・えっとこの頃の日本はアメリカに大量に物を輸出していたけど、代わりにアメリカ国内でアメリカ製品が売れなくなってアメリカは困った。


 えっと・・・だから1985年のプラザ合意で円高ドル安、日本製品がアメリカ製品より高くなるようにした。困ったのは日本。物が海外で売れにくくなったからね。


 それで当時の中曾根康弘内閣は公共事業を増やして日本の中だけで景気をよくしようとして、大蔵省も低金利(低くなった分だけ毎月返済する額が減る)にして土地や株を買いやすくした。


 そしたら『これからはモノづくりではなく土地・株の時代だ』とばかりに土地を買う人がたくさん現れて、どんどん土地や株の値段が上がっていった。


 さらにこの時期に国土庁が東京のオフィス需要は2000年までに2倍に増えるって言っちゃったからまた

土地が上がった。銀行や証券会社もどうせ土地買えば永遠に儲かるからってどんどんお金を貸した、そしてバブルになったの・・・こんな感じでいいかな?」




 「じゃあ総量規制ってなんですか~っ?」


今度は楓さんが質問しました。


「えっと、さっきの土地をみんな買いたがる現象のせいで、サラリーマンなんかは土地が高すぎてマイホームが作れなくなった。山奥の水道も電車も通っていないところに家を建てる人もいたし、新幹線通勤も増えた。地価の高い土地を買う地上げ屋に、暴力団が進出してトラックで家に突っ込んだり火事を起こしたり。」


「えぇ~っと大変ですね~っ・・・」


「この頃には無理がある計画がどんどん出た、たとえば東京バベルタワーっていうんだけど

このタワー何メートルだと思う?」




「スカイツリーが634mですから~800mくらいですかね~」と楓さん。


「1000mは超えそうだよね、2000mとか?」とは涼子。


「いやここは10000mで!」とふざけたのであろう未来。






「未来正解!!高さ10000m、基礎は山手線の内側全部、総工費3000兆円、建設に156年かかる計画よ」


「いやいやいや」「控えめに言って馬鹿なの?」「まるで未来都市ですね~すごいです~」と口々に驚きます。


「こんな話も出るくらいバブルの浮かれ具合は凄かったの」


「だから土地の値段を下げろ、物価を下げろという運動がおこったの。政府はこれに対応してどんどん規制していったけど、規制のスピードがあまりに早すぎて投資で土地を買う人が減ってバブル崩壊。さらに土地を担保に土地を買った人やお金を借りた人が大損して破産。それに不正までしてお金を貸した銀行や証券会社も倒産、この不況で就職氷河期も発生。」


挿絵(By みてみん)


「負の連鎖になったんだね」


「アメリカも冷戦が終わったから日本を支援する必要も無い、むしろ貿易摩擦でスーパー301条とか対立してたからね」


「アメリカさんにとってバブル崩壊は都合が良かったんですかね~?」


「この頃の政府はリクルート事件、首相のスキャンダルとかで内閣がころころ変わっていたからまともに対策も打てなかった、この後は銀行とかに税金を投入して救済するかが問題になったよ(住専とか)」


「有名なのが山一證券。多額のお金を貸していて大赤字のお金と別に隠された不正会計(簿外債務)が発覚して1997年に自主廃業。社員は悪くない、悪いのは自分達社長だと述べた会見は有名だね。」


「この社長かっこいいね」「責任転嫁の会見する人も見習ってほしい」と3人は言いました。


「しかもこの社長何も知らなくて社長就任数日後に不正会計を伝えられたらしいからね」


「「「社長何も悪くないじゃん!」」」


「しかも最後まで社員の就職を支援し続けてる」


「いい人ですね~」「少し違えば優秀な社長だったんだろうなあ」


 「ちなみにバブル崩壊で日本全体で110兆円以上のお金が失われたとされるよ」


「ひぇっ」「もったいない~」「このお金が別なところに使われていたら・・・」


「ちなみにここから見える静岡銀行はバブルでもお金を貸さなかったらしいね」と涼子は言います。


「へーそうなんですか~、なんでそんなこと知ってるんです~?」


「お父さんがこの前愚痴ってたよ、シブ銀だって」

 静銀こと静岡銀行の蔑称です。ああ、確か涼子のお父さんって・・・


「それにしても内山さんもよく知ってますね~楓初めて知りました~」と感嘆する楓さん。


「ゆ、ゆっくり解説動画でなんとなく・・・」

私、こういうことに関してはすらすら言えますよね。




その時、私に未来が耳打ちしました。この流れはもしかして。


「ねえ沙羅、タブレット使っていい?」と未来。


「バブルをうまいことやった世界とかに行くの?」


「そうだよ、よく分かったね」


「なんとなくそう来ると思ってた」


「景気がいいってどんな感じなのかな?」私も好景気って体験したことないですからね。


 二人でこっそりとタブレットに「バブルをうまいことした世界」に行きたいと言うと、「バブル景気を実際経済に転換できた世界線」が出てきました。


いつものようにボタンを2人で押しました。 (さて、どんな世界になるのかな)

次回は年表となります。

↓参考にした物

https://www.youtube.com/watch?v=Y0jMsXpUaa4 バブル経済の発生・失敗の要因【バブル解説】バブル経済

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