日本が南北に分断された世界線12
未来視点
ドーンという爆発音が大きく聞こえる。
それにしてもあんま痛くない。一瞬で死んだからかとどこか納得して目を開けると、沙羅と勝子の姿が目に映る。天国かな、そして船がそのままの姿でー
あれ?そのまま?え?
「あれ?」と沙羅も言ってる。あの世ではたぶんなさそう。
窓の外を見ると雨が急に弱まって視界が開けており、近くでミサイルが爆発し煙が大きく立ち上っている。
「もしかして!!」
勝子が指さす海図とレーダーを見るとこの海はー
軍事境界線の向こう側、そう、日本共和国の領海内だ。海の奥をとっさに見てみると・・・
「も、もしかしてあれって!」
あたしが言う方を沙羅が見ると見ると雨が止んで、雲の隙間から月明かりが注ぎます。海上にいくつか大きな船の影が見えます。大きな平べったい船が真ん中に1隻、周りに軍艦。
「日本国防海軍の第一機動艦隊!!」
どうやらミサイルはあの船のどれかがミサイルか何かで迎撃したよう。
<こちらは日本国防海軍です。貴船は日本の領海を侵犯している 直ちに引き返しなさい>
後ろを見ると北の軍艦がゆっくり下がっているのが分かった。さすがにここで攻撃したら戦争待ったなしだからって沙羅は言う。勝子は船に旗を掲げます。勝子によると国際信号旗のV旗(白地に赤のバツ印)で援助を求むという意味らしい。奥から白に青いラインが入った船やヘリが近づいてきました。
「海上保安庁だ」と沙羅はぼやきます。
<本船は日本国海上保安庁の巡視船である 船首への放水を開始します>
放水が始まりました。
「こ、怖かったー」と呆然とする沙羅。
「助かったってこと!?」あたしは自分に言い聞かせるように言う。
「そ、そうだよね!!」
「元に戻れるんだ!!」
「最期かと思ったよ」
「私も」
「・・・二人で最期に何か叫んだような気がするけど何だっけ?」
「・・・あれ?何だったっけ」
あたしも沙羅もさっきのショックが大きすぎて2、30秒ほど記憶がありませんでした。
「おーい、二人とも顔を出さないと隠れてると思われるわよ」
外へ出ました。
「すごい」とあたしは思わずぼやく。
私たちや北の船に砲を向け続ける海軍の軍艦や海保の船が何隻もいます。上空には海軍や海保のヘリ、さらに上には海軍の哨戒機や空軍の早期警戒機が飛んでいるのが勝子や沙羅の説明で分かった。
この世界では自衛隊ではなく、憲法改正が実行されて日本国防軍となっている。北の軍事力に対抗するため、空母や原子力潜水艦の保有、在日米軍との連携強化がされている。
「未来、改めてこれからも一緒にいようね」
「え!?こ、こちらこそよろしくね!!」
しばらくすると私たちを北の船の攻撃から守るように海軍が進路を塞ぎ、海保の船が接舷して海上保安官が厳戒態勢で飛び乗ってきた。
「乗船者は全員前に立って手を後ろに回して下さい」
ボディーチェックか。映画のワンシーンみたいだ。後ろでは他に隠れている人や密輸品がないかを捜索しているよう。
勝子「その前に一つ、そこの二人はこの前拉致された沙羅ちゃんと未来ちゃんよ」
「!?」
めちゃくちゃびっくりしてて笑った。念のため私たちもボディーチェックを受けた後、本人確認をする。当然本人だと確認されると、また大騒ぎ。勝子は政治亡命を宣言していた。船はロープでつながり、茨城の日立港というとこまで引っ張るようだ。
「おかえりなさい、日本に」
保安官から言われたこの言葉にすごく重みを感じた。自由の空気?を感じた気がした。
私たちはヘリコプターに載せられることになった。勝子はまだ船に残っていろいろ説明しなきゃいけない。つまり勝子とはここでお別れ。
「「勝子、今までありがとう!!」」
「いえいえ、こちらこそどうもありがとうございます」
「本当に・・私たちだけならここまで来れなかったですよ」
「本当にそれ、ありがとう!!」
「先にどちらからヘリに乗りますか?」と海保の人が声をかける。
「じゃああたしが先で」
あたしをヘリに乗せるロープをつける作業をしている。
「もうお別れなのね、楽しかったわ、その前にちょっと一言」
なんだろう?
「沙羅ちゃんが好きなんでしょ?お付き合いできる事を私、応援してるわよ」
な、なんでばれてるの!?
私の体温がどんどん上がって、顔が真っ赤になりました。
「そ、それじゃあバイバイ!!またいつか会おうね!!」
あたしの体がゆっくりと上に上がっていきます。
「バイバーイ!!」
勝子が大きく手をあたしに振っている。あたしも大きく手を振りかえす。
しばらくすると沙羅もヘリに乗ってきた。
「私、タブレットのこと勝子に話したの」と沙羅。
「どうして?」
「いつかこの世界の私たちも勝子と再会すると思う、でもこの世界の私たちは戻ったら拉致のことなんて知らない・・・だから私たちのことを覚えててほしいなって」
「そっか、勝子はなんて?」
「信じられないけどそんな世界があるならきっと恵まれた世界だし私も全然違う人生だったと思うから、その幸せをかみしめなさいって」
ヘリに乗ると私と未来は勝子が見えなくなるまで手を振り続けました。
「あれ・・・涙が・・・」
「・・勝子・・バイバイ!!」
あたしは泣くのを少し我慢していたのに、沙羅の涙につられて結局泣いてしまった。
ヘリから陸が見えてきた。北側は明かりも無く、果てまで真っ暗。しかし南側は街灯や街の明かり、その境に軍事境界線のライトがどこまでもどこまでも続いていた。南北の格差が一目でわかる。
(日本が分断されなかったのは、勝子の言うとおりとても幸運だけど朝鮮半島は今もこの状態が続いて、日本との拉致問題も未解決。私たちのように戻って来れない人が多くいる。
いつか朝鮮半島が平和になりますように)
あたしと沙羅は祈りました。これが私たちに出来る精一杯のことだ。
「ところで高いところ大丈夫になったんだね、未来!!」
沙羅の一言により急に現実に気づいてしまった。・・・高い高い高い高い
「・・・きゃあああああああああ!!」
楓「なんで最後が劇場版名探偵コナン2作目のオチみたいになってるんですか~?」




