日本が南北に分断された世界線4
・・・あれ、私寝てたんだっけ・・・ここどこ?
なにこれ、袋の中?
何があったんだっけ・・・
確か私はボランティアに清水に来て、未来と一緒に倉庫に来て・・・思い出した!!
後ろから着た人に睡眠薬嗅がされて黒い袋に押し込められたんだ!!
つまり私は誘拐されたんだ!!未来、お母さん・・・
「だ、誰か助けて・・・」
恐怖で体がプルプルと震えます。
混乱しながら必死に何で誘拐されたのか考えてみます。犯人さん、うちは身代金を用意できるような家庭じゃないですよ。そもそもお金目当てだったら涼子誘拐するよね。じゃあなんで私が誘拐?・・・体目当て・・・ますます私の理由がないから違う・・・もしかして猟奇殺人鬼!?きっと「あー人殺してえな、なんかそこにすごい地味でブスな女いるからあいつでいいや」って適当に誘拐したんだ!!
いやそんな猟奇殺人鬼の話聞いたこと無いけど・・・もしかして私が一人目の被害者ってこと!?
しばらくたって揺れてるしエアコンも効いてるからたぶん車なんだろうなあと妙に冷静になりました。この革かナイロンの袋は空気孔が小さく開いていて少し外の音が聞こえます。ゴソゴソと何か動く音と気配、横の車線をトラックが走る音がします。お母さんも、未来も、涼子も楓も心配してるよね。生きて帰れるかな。殺されちゃうんじゃないかと怖い想像が頭をよぎります。
その後、車がどこか急にでこぼこした場所に入ると停車しました。
「さて、そろそろ起きちゃったんじゃないか、確認しろ」
袋が開かれ男がのぞき込みました。もしかしたら山奥とかでこれから埋められちゃうんじゃないかな。
やだ、殺されたくない!!
「だ、誰かぐっ!」
男に口を思いっきりタオルで塞がれた後、男が袋を閉めると私の袋を担ぐのがわかりました。しばらくすると車がまた動き出しました。
逃走車を乗り換えたんだろうなとか思いながら絶望して、しばらくすると睡眠薬?の効き目からまた私は意識を失いました。
しばらくして目覚めるとラジオの音が聞こえてきました。まだこのクルマ走ってて、私は未だに誘拐されてるんだ。
「22時のニュースをお伝えします」
もうそんな時間なんだ・・・
「本日正午頃、静岡市にある清水港で女子高生二人が行方不明となりました。警察に入った電話では「助けて!!」との声の後に物音がして会話が出来なかった、という状況から警察は誘拐などなんらかの事件に巻き込まれた可能性が高いとして捜索活動を続けています。静岡県警は現在まで各所で検問などを行っておりますが・・・」
私のことだ。もうニュースになってるんだ・・・二人??電話??
「事件に巻き込まれた可能性が高いのは静岡市内の高校に通う焼津市在住の内山沙羅さん17歳、同じ高校に通う藤枝市在住の鈴木未来さん16歳です。情報提供については・・・」
み、未来!?なんで、てことはさっきから隣でしてる気配は未来なの!?え、なんで・・・
「馬鹿だよな警察、もう埼玉だから見つかんねえぞ、逃走車も2回変えたし」
あ、寝てる間にも1度乗り換えてたんだ。
「茶髪のほうも馬鹿だよな、一人で戻ってたら拉致なんかしなかったのに」
未来は馬鹿なんかじゃないんですけど!!訂正して!!
そもそも複数犯なんだ。逃げるのは無理かな・・・
「しくったよな、あの側溝に落ちた電話が警察に繋がってたなんて」
もう埼玉県まで来てたの?どおりでさっきから車が進んでは止まってを繰り返してるわけだけど・・・。
未来は偶然私が誘拐されるのを見てしまったのかな。私のせいだ。未来、本当にごめんなさい。どうにか未来だけでも逃げられる手段ないのかな・・・と考えてみたりもしましたがそんな手段をただの女子高生が思いつくわけもなく。
「結局なんであいつを誘拐したんだ?どっからどう見てもただの女子高生だぞ」
「さあな、きっと深い考えがあるんだろ 一応言っとくが傷物にするなよ」
「分かってるさ」
指示役がいるの!?一体何人グループなんだろう・・・しかも会話内容からして私は計画的に襲われたってことだよね・・・
そういえば、とふと思い出しました。私たちを誘拐した犯人、この前ガラガラの電車に乗ってた男二人じゃん!!ずっとチャンスをうかがってたってこと!?
ところで私たちはどこまで連れて行かれるの?
「栃木県に入りました」とカーナビの音が聞こえました。どこまで行くの?これより北は福島、山形・・・
あれ、この世界って栃木県より北は独裁国家の北日本だよね。まさか、まさかね。
男「うわっ、また国防軍の戦車かよ」
とても大きな音が横に響きます。本当に軍事境界線近くの栃木県の北部に来たようです。この軍事境界線付近には北日本を見下ろすアメリカのコーヒーチェーン店があります。また盛んに民間の団体が北にアニメのUSBなどが入った風船を飛ばし、北はお返しに糞尿風船や爆弾風船を飛ばしてくるようです。末期の大日本帝国かな?
しばらく山の中を走った後、男が私が入った袋を担ぎ上げて暗い空間に入りました。狭い洞窟のような場所をゆっくり歩く感覚がします。軍事境界線付近の狭い洞窟・・・まさか工作用トンネル!?
工作用トンネルは有事に前線を超えて後方攪乱するために兵士を送り込むため密かに作ったとされるトンネルです。確か朝鮮半島でも2つくらい発見されてたっけ。
てことは誘拐じゃなくて北日本への拉致!?もう戻れない!?そんな・・・
トンネルを出てしばらくするとまた車に載せられて袋から出されました。知らない天井です。
「み、未来!!」
「沙羅!!」
車の中でようやく再開できました。とりあえず二人とも怪我無く無事でした。軍用車はまっすぐの高速道路を走っています。いやこの高速道路地形をほぼ無視して無理矢理まっすぐになってない?上空には軍用のヘリコプターが飛んでいます。
「で、ここどこ?」
「あ、えっとね、、多分私たち、今北日本に拉致されてる・・・」
「・・・え?は?はー!?拉致!?拉致ってあの拉致!?なんで私たちが!?」
現実の北朝鮮の拉致のパターンは北朝鮮と国交がある国の日本人旅行者を拉致、日本人になりすますため海岸でその日本人をだまして拉致する、というパターンがあります。韓国では船の拿捕やハイジャックというパターンもありますね。確か韓国でも私たちくらいの学生が拉致されたこともあったはず・・・てそんなこと今はどうでもいいですね。
「ちょっと元の場所に帰らせてよ!!」未来は暴れましたがすぐに取り押さえられました。
「それは出来ない。君たち、いや正確には茶髪の君はただの事故だが、喜ばしいことに北南日本の統一のため、あの偉大なお方のご配慮で地上の楽園に招かれたのだぞ」
「そうだそうだ」と周りの男もいいます。
「あの偉大なお方って誰ですか、てか何のために」
「だ、誰か助けて、ください!!」と大声を出す私。
男「あーうるさいしもう一回眠らすか」
「待て待て、大人しくしていれば北南統一の暁には重要な役職につかせてやるから」と説得しにかかります。
この軍人さん偉そうなのに服がおじいさんの服をずっと使っているようなボロボロさがありますね。
もう戻れないのかな。




